多数決
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より良い多数決の方法を求めて

選択肢が3つ以上の場合を考慮した、様々な多数決の方法が提案されている。詳細はen:Voting system

Approval voting
他の方法とは逆に、戦略投票のある方が良い結果を出す。

単記移譲式投票
不採用が確定した選択肢に投じてしまった票に、まだ不採用が確定していない選択肢への再投票を行なわせる方法。最後には、採用される選択肢に全ての票が集まるため、多数決の全面的なやり直しを伴わずに全会一致が得られる。

シュルツ方式
コンドルセ方式の一種であり、IT業界で良く使われている投票手法。代表的なところでは、Wikipedia運営元のウィキメディア財団[5]や、オープンソース界隈 (Debian[6]Ubuntu[7]等) がこの方式を使用している。新しい手法であるため政治方面ではまだあまり使われていないが、IT系政党である海賊党はこの方式を使用している。
多数派とは何か?

これら様々な多数決の方法は、必ずしも同じ結果にならない。従って多数決の方法を変えれば、それに応じて多数派も変わってしまう。

この事は、多数決の方法を選択できる立場に居る者は、どの選択肢が多数派になるかをある程度操作できる事を意味する。

投票理論家ドナルド・サーリは以下のように述べる。「金をくれたら、次の重要な選挙の直前にあなたの組織に入ろう。誰に勝ってほしいかを教えてほしい。私は投票者たちの話を聞いて、どの候補者に人気があるかを判断する。それから全候補者を投票対象とした「民主的投票方法」を考案しよう。選挙では、あなたが希望したとおりの候補者が勝つだろう。」[8]
採用に必要な票数

通常は二者択一なので、

1/2 (50%) 以上、(下記と違い、一票でなく、%である)

半数 (1/2) + 一票


通常は、投票権のある人数は、偶数になるようにしてあり、引き分けになった時のみ、その投票を以て決着をつける権限が、議長に与えられている場合が多い(これは、国会・協会や学会等で議長席を巡って争いがおこる原因ではない。何故なら、議長は大抵の場合投票権のある人から選ばれ、議長の投票を含めても引き分けになる場合、議長は投票権を剥奪され行使できないからである。議長席の争いの原因は、議決に掛ける議案の順序で議決結果を左右できる
投票の逆理のため。 ⇒[2]を参照)。

で決着がつくことが多いが、上記のように(目で見える程度の差としての)

2/3 (66.66 ..... %)

か、それ以上(憲法改正や組合や組織の定款改正等の場合)を要求されることが多い。また、特殊な場合には、

3/4 (75%)

か、それ以上が必要であると規定されている場合もあるが、

全会一致を必要とする場合もある。
しかし、全会一致は、特別な場合を除いて採用されなくなってきている。歴史的な例: スパルタの成人式や、ある時代までのローマ教皇を決めたコンクラーヴェ

採用に要求される票数が半数を超えると、二つの選択肢(「採用」か、「廃案」か)に同等な被投票権が与えられている場合、両者とも採用に必要な票数を取れない事が起きる。すると、コンクラーヴェの様に決定がなかなか行えず、その間、集団としての行動が麻痺する。これを防ぐため、「廃案」「前例踏襲」「君主に判断」「執行部に一任」「無作為」などの選択肢には特別な地位が与えられていることが多く、普通に提案された案を採用できない場合、これらが自動的に採用される。

憲法改正、有効投票数の2/3以上で採用…有効投票数の1/3超で「前例踏襲」が採用。

国際連盟全会一致…一票以上で「無作為」を採用。



三つ以上の同等な被投票権を持つ選択肢から採用する場合、「死票」と同様に、多数決の方法によっては「採用に必要な票数」が無意味だったり定義できない場合がある。

優先順位付連記投票制…すべての票がひとつの選択肢に集まってしまう。

脚注[脚注の使い方]
注釈^ メイの定理は、選択肢が2つのとき、いくつかの望ましい条件 (選択肢や投票者を平等にあつかうこと、選択肢にたいする支持の増加がマイナスの効果を与えないことなど) をみたす投票ルールは単純多数決しかないことを主張する。一方、アローの不可能性定理は3つ以上の選択肢があるときの集団的決定の困難性について述べた定理である。なぜ選択肢が3個未満と3個以上のときとで歴然とした差が出るのかをより一般的にしめしたのが中村の定理で、これは選択肢の数が「中村ナンバー」とよばれる整数未満であれば意思決定ルールはうまく選択を行え、その整数以上であればひとびとの選好によってはサイクル (投票のパラドックス) が起きることを示している。多数決の中村ナンバーは (投票者が4人のケースを除けば) 3であることから、中村の定理より、多数決は2個までの選択肢からならうまく選択を行えることが分かる。 過半数を超える支持 (全体の2/3など supermajority) を要求するルールでは中村ナンバーが3より大きくなることがあるが、そのようなルールはべつの条件を満たさないため、アローの定理が不可能とした望ましいルールには該当しない。

出典^ a b c d 松澤浩一著 『議会法』 ぎょうせい、1987年、457頁
^ a b c 樋口陽一・中村睦男・佐藤幸治・浦部法穂著 『注解法律学全集3 憲法V(第41条?第75条)』 青林書院、1998年、117頁
^ a b c d e 参議院総務委員会調査室編 『議会用語事典』 学陽書房、2009年、274頁
^ 佐藤功著 『新版 憲法(下)』 有斐閣、1984年、731頁
^ 2008 Wikimedia Board Election results ウィキメディア財団
^ Debian 投票情報 Debian Project
^ Ubuntu IRC Council Position Canonical 2012年5月17日
^ 出典「選挙のパラドクス?なぜあの人が選ばれるのか?」(ウィリアム パウンドストーン (著)、篠儀直子(訳))236頁 。


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