銀行間取引を大別すると、スポット取引(直物取引)、先物取引、スワップ取引に分かれる。スポット取引(直物取引)は、取引の対価の受渡しが原則として取引日の翌々営業日(2営業日目)に行われるものである。先物取引は、対価の受渡しが将来の特定日に行われる取引であるが、通常直物取引の受渡し日を基準にして1か月や6か月などの月単位で区切った確定日を受渡し日としている(順月確定日渡し条件)。スワップ取引は、直物取引とその反対方向の先物取引、または受渡し日が異なる相互に反対方向の二つの先物取引を同時に同額、同一の相手方と行うものである。
銀行間市場で成り立つ為替相場は、為替銀行の対顧客相場の基準となるが、貿易業者などはこの対顧客相場をいわば与件としてさまざまな対外取引を行い、そこから生じた外国為替の需給が再び銀行間相場に反映される。銀行間市場は、当事者が毎日特定の場所に集合して外国為替の売買を行う取引所がある場合(ドイツ、イタリア、フランスなど)と、電話・ファックス・電子的媒体(コンピューター回線など)で個々に行う取引を総合した抽象的な場を指す場合(ニューヨーク、ロンドン、東京など)に分かれる。取引所がある国々の銀行間市場でも、取引所取引以外の銀行間取引が活発に行われている。取引所取引で成立する為替相場は、通常為替銀行の小口の対顧客取引の基準相場となる。
このように、証券取引所のような具体的な取引所は存在せず、時間の経過とともに、取引の中心となる市場が移り変わっていくことから、「眠らない市場」とも呼ばれる[1]。 国際決済銀行(BIS)は、2022年に1日当たりの外国為替の取引額の統計を公表している[2]。国別では、1日当たりの為替取引が最も大きいのはイギリスであり、3兆7550億ドルと世界の38.1%を占めており、首都ロンドンが世界の為替取引をリードしていると言える。通貨別の1日当たり為替取引額ではアメリカドルが6兆6410億ドルであり、圧倒的な取引量を誇っている。上位10か国・10通貨は以下の通りである。 国別の1日当たり外国為替取引額(2022年)順位国取引額世界シェア 通貨別の1日当たり外国為替取引額(2022年)順位通貨取引額世界シェア
世界での取引規模
1 イギリス3兆7550億ドル38.1%
2 アメリカ1兆9120億ドル19.4%
3 シンガポール9290億ドル9.4%
4 香港6940億ドル7.1%
5 日本4330億ドル4.4%
6 スイス3500億ドル3.6%
7 フランス2140億ドル2.2%
8 ドイツ1840億ドル1.9%
9 カナダ1720億ドル1.7%
10 中国1530億ドル1.6%
1 アメリカドル6兆6410億ドル88.5%
2 ユーロ2兆2930億ドル30.5%
3 日本円1兆2530億ドル16.7%
4 イギリスポンド9690億ドル12.9%
5 人民元5260億ドル7.0%
6 オーストラリアドル4790億ドル6.4%
7 カナダドル4660億ドル6.2%
8 スイスフラン3900億ドル5.2%
9 香港ドル1940億ドル2.4%
10 シンガポールドル1830億ドル2.2%
脚注[脚注の使い方]
出典^ “眠らない市場?外国為替市場の『朝』?
^ 国際決済銀行の統計 2022年12月1日閲覧。
関連項目
為替
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