全国の外事警察を統括するのが警察庁警備局の「外事情報部」である。外事情報部は都道府県警の業務の統括、外国情報機関からの窓口としての役割のほか、独自の対テロ捜査部門、通信情報部門も保有している[5]。
外事情報部の中には「外事課」と「国際テロリズム対策課」があり、外事課が防諜や不正輸出対策、国際テロリズム対策課が国際テロ捜査を担当している[1]。 先述の通り、外事課には「外事技術調査室」(ヤマ、または8係と俗称される)通信傍受機関が存在するといわれる[6]。東京都日野市を中心として日本国内に多くの通信所や車両を持っているとされる[7]。 日本国内の諜報通信の傍受、分析、暗号解読が主な任務であり、外国から日本に来る通信や、日本にいる工作員が発する通信の内容や位置等を細かく特定することが出来るといわれる。殆どは暗号がかかっているが、暗号の種類なども大事な情報である。ヤマが北朝鮮の工作船が日本に向かっていることをキャッチした場合、直ちに関係警察本部の公安部や警備部に「KB(コリアン・ボート)情報」が発令される[7]。 外事技術調査官は警察庁警備局外事情報部外事課に1人、東北、中部、近畿、中国の各管区警察局広域調整部にそれぞれ1人、九州管区警察局広域調整部に2人配置されている。主に外事技術調査官が配置されている管区に、外事通信所が置かれている。外事通信所の職員は、家族にも仕事の内容を話すことを禁じられている[8]。 戦前の陸軍省兵務局兵務課防諜班(通称「兵務局分室」)のコードネームも「ヤマ機関」であり、日本国内で各国の大使館や公使館の通信の盗聴を行ったり、陸軍の反東條派や政府内の親英米派の監視を担っていた[9]。 以上の他、これらを補完する施設が国内(石垣島等)に配置されている。 本荘、高浜、白浜、丸亀、小郡、枚方、和白、守山、小牧、館山、丹後の各通信所は閉鎖された。本荘、高浜、白浜、丸亀、小郡の各通信所は国有財産売却リストに入っている[8]。多くはすでに民間に売却済みである。 仙台無線通信所は、東日本大震災による津波で破壊されたが、場所を移転して2015年より機能している。 第二無線通信所はかつて送信機能を保持していたが、2021年7月より解体工事が行われており、2022年初旬までには撤去予定。 横須賀通信所 (三浦市長井、国際刑事警察機構 (ICPO、インターポール) 用短波送信施設、1999年運用開始、中野送信所の代替施設として整備) は 2016年度に解体、撤去済み。 当別通信所(石狩郡当別町、国際刑事警察機構用短波送信施設、副局)も解体、撤去済み。 現場でスパイや国際テロの捜査を行うのが、警視庁公安部・各道府県警察本部警備部の外事課である。 最大の陣容を誇るのは警視庁公安部の外事課であり、三課体制で合計350名程の外事課員がいるといわれる[10]。中規模以上の道府県警察本部では警備部に外事課があり、数十名の外事課員が配置されている[10]。小規模の県警察本部では警備第一課、公安課などの中に外事対策室が存在する[11]。 近年は、不法滞在や外国人犯罪の捜査がメインとなりつつある[12]。 例として警視庁公安部の外事課を挙げる。
外事課の組織
第1係 庶務 外事警察の協力者工作(作業)を統括・指導している。また公安警察すべての協力者工作を統括する警備企画課のゼロへの報告も行う[5]。
第2係 通信傍受・分析
第3係 対ロシア防諜
第4係 対中国防諜
第5係 対朝鮮半島防諜
外事技術調査官(ヤマ機関の通信所、車両を扱う)
外事調査官(ヤマ機関の情報分析)
経済安全保障室
拉致問題対策官
不正輸出対策官
ヤマ
警察庁第二無線通信所:公式には存在しないことになっている。対外的にはICPOの予備通信所として扱われている[8]。
警察庁小平通信所:陸上自衛隊小平駐屯地内に、警察庁外事技術調査室の傍受施設として設置されている[8]。
北海道警察本部警備部千歳通信所
東北管区警察局総務監察・広域調整部仙台無線通信所
中部管区警察局広域調整部守山無線通信所:最も秘匿性の高い施設であり、過去には地図メーカーに削除依頼が出されている[8]。
近畿管区警察局広域調整部信太山無線通信所
中国管区警察局島根分局
九州管区警察局出水無線通信所、若松無線通信所、沖縄無線通信所
各都道府県警察の「外事課」
また大規模警察署の警備課には外事係があることが多い。
警視庁公安部の外事課
外事第一課 ロシア、東欧のスパイ、さらに戦略物資の不正輸出に関する捜査・情報収集を行う。