夕焼け
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1883年のクラカタウ火山の大噴火の後にも観測されている。

また1998年や2003年には、アメリカ、カナダ、中国での大規模な山火事の煙が影響し、夕焼けの色が薄くなったことが観測されている[3]
夕焼けに関する諸現象
光学現象

非常に稀だが、見通しの良い場所で、夕焼けや朝焼けの太陽の上端が緑色に光る
グリーンフラッシュという現象がみられることがある。

夕焼けや朝焼け時に「太陽の蜃気楼」(Sunset Mirage) と言われる現象に、太陽が“だるまさん”に見える、だるま夕日・朝日(達磨太陽・達磨朝日)がある。

アーベントロート

登山者の間では、夕焼けが山肌に反射して山が赤く見える現象を、「アーベントロート」(Abendrot)とドイツ語で呼ぶ習わしがあるが(朝焼けの場合は「モルゲンロート」(Morgenrot))、これは日本近代登山黎明期の大学山岳部以来の伝統である。
観天望気

日本には「朝焼けは雨、夕焼けは晴れ」[6]や「夕焼けの次の日は晴れ」[7]ということわざがある。夕焼けの発生は西には雲がない状態と考えられ、日本では特に春から秋にかけて移動性高気圧と温帯低気圧が交互にやってくることが経験則となったものである[6]。この傾向は世界の中緯度地方に共通のもので、同じようなことわざもみられ[3]、新約聖書中にイエスのたとえ話で一般人でも知っていることとして出てくる[8]など、かなり古くから知れ渡っている。

また、「夕焼けの翌日は晴れ」から派生したことわざとして「夕焼けに鎌を研げ」がある。これは夕焼けがでると晴れるため、翌日の農作業に備えよという意味である。
文化
イメージと関連作品
沈みゆくもの

夕焼けは空や山々、町並みを赤く染めあげて美しいものであるが、明るい昼間の時間が終わり暗い夜がやって来る合図でもあり、比較的短時間で終わってしまう現象である。そのため夕焼けの情景は文学楽曲、映像作品において儚さや切なさなどをあらわすものとして用いられる。
ノスタルジー

また「子供の頃友達と遅くまで夢中になって遊んでいて、帰宅する時に夕焼けを見た」といった共通体験から、子供時代を懐かしむときの表現としても多用される。

例としては三木露風の童謡の『赤とんぼ』や中村雨紅の『夕焼小焼』がある[注釈 1]

また西岸良平の一連の作品に冠せられたタイトル『夕焼けの詩』(三丁目の夕日)など、まさに郷愁の象徴であるところからの命名であろう。
一日の終わり、安息ジャン=フランソワ・ミレー『晩鐘』

前近代において日の出とともに起きて働き日没とともに一日の活動を終えていた。夕焼けは一日の労働の終わりを象徴するものでもある。

例としては北島三郎の歌う『与作』がある。
秋の夕焼け

秋の空は空気が澄み夕焼けが美しく、また日の長かった夏から徐々に日没が早くなっていくため夕焼けをとくに意識しやすい。

清少納言も『枕草子』のなかで「秋は夕暮れ 夕日のさして山の端いとちかうなりたるに、からすのねどころへ行くとて三つ四つ、二つ三つなど飛びいそぐさへあはれなり」と記している。ちなみに俳句においては、「夕焼け」は「朝焼け」とともに夏の季語であり、秋の夕暮れを詠むときは「秋の夕焼け」などとする。
夕焼け・夕日の名所

夕焼け、特に日没時は短時間ながら叙情的な光景であり、日本全国に多数の名所がある。日本の夕陽百選も選定されている。
ギャラリー.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}ウィキメディア・コモンズには、夕焼けと朝焼けに関連するメディアがあります。

夕焼け

夕焼け無数の鳥

渡良瀬橋に沈む夕日

火星の青い夕焼け。スピリットによる撮影。

今子浦の夕焼け

トゥドゥマリの浜(月ヶ浜)の夕焼け

江川海岸の夕焼け


朝焼け

別府湾の朝焼け

赤石岳からの雲海に浮かぶ富士山と朝焼け

蝶ヶ岳から望む朝焼け

島原湾の朝焼け

脚注[脚注の使い方]
注釈^ なお、これらの歌詞に出てくる「小焼け」は詩の語調を整えるための造語で特に意味はない。ちなみに雨紅の出身地である八王子市には「夕焼小焼」というバス停がある。

出典^ a b c d 小倉義光 『一般気象学』(第2版補訂版) 東京大学出版会、2016年、第2版。ISBN 4-13-062706-6 pp.124-126.
^ a b c 岩槻秀明 『最新気象学のキホンがよ?くわかる本』第2版、秀和システム、2012年 ISBN 978-4-7980-3511-6 pp.242-244.
^ a b c d e f g Stephen F. Corfidi (2014年9月). “The Colors of Sunset and Twilight”. Norman, Oklahoma: Storm Prediction Center, National Weather Service. 2023年3月11日閲覧。
^ a b 小石眞純 (2001). “マテリアルサイエンスにおけるミクロ構築技術の流れ”. 色材協会誌 (色材協会) 74 (3). doi:10.4011/shikizai1937.74.142. 
^ a b 籔内一博 (2007). “講座:光と色と物質 空が見せる多彩な色 -光の進み方を理解する-”. 化学と教育 (日本化学会) 65 (1). doi:10.20665/kakyoshi.65.1_28. 
^ a b “5.雲と天気の変化”. 啓林館. 2019年10月26日閲覧。
^ “マリンレジャー安全リポート 第63号”. 第七管区海上保安本部. 2019年10月26日閲覧。
^マタイによる福音書』第16章の冒頭部より

関連項目ウィキクォートに夕焼けに関する引用句集があります。ウィキメディア・コモンズには、夕焼けに関連するメディアおよびカテゴリがあります。


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