夕張市
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石油ショックの克服を大義名分とした官民の多岐にわたる国内資源振興策も決定打とはならず、その後の安価で良質な海外資源への雪崩現象、そして政府の合理化政策の前に各炭鉱の経営が悪化の一途を辿り、企業は国内の炭鉱から次々撤退。国内第一の規模と炭質を誇った夕張もその例外ではなかった。1990年平成2年)に最後まで残っていた三菱石炭鉱業南大夕張炭鉱が閉山した。

夕張は元々炭鉱の開発により山あいに開かれた都市であり、平坦地が少なく大規模な農業には向かない地域であった。石炭産業以外の産業基盤が乏しかったために雇用の受け皿がなく、働き手の若者が都市へ流出し、人口が激減。街には高齢者が残る結果となり、急速に少子高齢化が進んだ。炭鉱の閉山対策、観光シフトの頓挫がもたらした問題については「財政再建問題」を参照。

最盛期からの夕張市の人口減少率は、全国の自治体でもワーストクラスである。2016年9月30日時点の住民基本台帳では、北海道歌志内市に次いで、全国で2番目に人口が少ない市[注釈 1]である。これに加えて1991年(平成3年)より、北海道開発局によって夕張川に夕張シューパロダムの建設計画に伴い、大夕張地区の住民188戸が移転した。2006年(平成18年)よりダムは本体工事を開始し2015年(平成27年)3月に竣工した。ダム完成による莫大な固定資産税収入や水源地域対策特別措置法による周辺地域整備のための国庫補助などで、新たな観光拠点育成としての期待がある一方で、世界的に稀有な橋梁形式である三弦橋の水没や公共事業依存が懸念されている。

現在は気温の寒暖差を生かしたメロン栽培(夕張メロン)、花畑牧場の誘致、「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」開催などで、観光の町として地域おこしを進めているが厳しい状況にある。これに加えて、2015年からは市中心部に人口を集約して行政サービスの簡素化を図る「夕張市まちづくりマスタープラン」が進められており、人口減少社会のモデルとして注目が集まっている。
沿革

1858年安政4年)- 松浦武四郎が夕張を調査の為、漁村カマカ(現:千歳市釜加付近)へ。著作に『夕張日誌』がある。

1874年明治7年)- 北海道開拓使雇ベンジャミン・スミス・ライマン探検隊が夕張川の上流に炭層の存在を推定。

1888年(明治21年)- 北海道庁の技師、坂市太郎がシホロカベツ(志幌加別川)川上流にて大炭層の露頭(「夕張の石炭大露頭」)を発見。

1890年(明治23年)- 登川村を設置。村界告示され、岩見沢村戸長役場の管轄となる。開拓者らの入植を開始。

1892年(明治25年)- 夕張炭山の採炭開始。北海道炭礦鉄道 追分 - 夕張間開業(現在の石勝線)。

1893年(明治26年)- 角田村(現在の栗山町)、長沼村とともに、由仁村に併合される。

1897年(明治30年)- 由仁村戸長役場より分離、登川村戸長役場として独立。

1906年(明治39年)4月1日 - 二級町村制が施行されて夕張郡登川村(のぼりかわむら)となる。

1907年(明治40年)- 大夕張炭鉱会社が設立。

1912年大正元年)- 大夕張炭鉱会社を三菱合資会社が買収。12月23日、登川村の夕張炭鉱で爆発。死者213名[2][出典無効]。

1913年(大正2年)1月13日 - 夕張炭鉱で爆発事故が起き、最終的に53人が犠牲[3][出典無効]。

1918年(大正7年)2月11日 - 登川村が町制施行・改称し、夕張町となる。

1919年(大正8年)4月1日 - 一級町村制施行。

1920年(大正9年)- 第1回国勢調査、夕張町人口51,064人(全国45位、北海道6位)。

1937年昭和12年)8月 - 現在の市章となる町章を制定する[4][5]

1943年(昭和18年)4月1日 - 市制施行、夕張市となる。

1953年(昭和28年)- 地区によって集まっていた炭鉱が、夕張川本流の流域(南部地域・鹿島地域など)が三菱系、その支流の志幌加別川流域(本庁地域・若菜地域)が北炭系にあったという事情もあって、南部・鹿島両地域(大夕張)の自治体分割案が出る。住民投票では、賛成6448、反対1338、白票120の賛成多数を以て市議会へ。しかし、市議会議員による投票は、賛成12、反対13、白票6と、1票差で反対多数となり分割は否決された[6]

1958年(昭和33年)- 三弦橋が敷設される。

1959年(昭和34年)- 市長に橘内末吉が就任。

1960年(昭和35年)

- 第九回国勢調査にて最多人口116,908人を記録。

2月1日 - 北海道炭礦汽船夕張鉱業所第2坑3区付近でガス爆発が発生。死者42人(救助隊の二次災害による死者3人を含む)、重軽傷22人[7]

6月 - 市内を中心にポリオが流行[7]


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