夏時間
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彼が出した解決策は、夏の間だけ時計を進めるというもので、この提案は2年後に発表された[35]。自由党所属のロバート・ピアース(英語版)議員は英国議会でこの提案を取り上げ、1908年2月12日に最初の日光節約法案 (Daylight Saving Bill) を議会下院に提出した[36]。この問題を調査するための特別委員会が設置されたものの、ピアースの提出した法案は成立せず、その後に幾度か提出された他の法案も成立を見ることなく廃案となった[12]。ウィレットは1915年に亡くなるまで、この提案について国内でロビー活動を続けた。

世界で最初にサマータイムが制定された都市は、カナダのオンタリオ州ポート・アーサー(英語版)(現在のサンダーベイ)で、1908年7月1日のことだった[13][37]。これに続いて、同州オリリアが市長ウィリアム・ソード・フロストの市政期 (1911?1912) にサマータイムを導入した[38]。初めて全国規模でサマータイム(ドイツ語: Sommerzeit)を採用した国は、第一次世界大戦中のドイツ帝国とその同盟国オーストリア=ハンガリー帝国で、戦時中に石炭を節約するために1916年4月30日に開始された。イギリスとその同盟国のほとんど、およびヨーロッパの多くの中立国も、すぐさまこれに追随した。ロシアと他の数か国は翌年まで待機し、アメリカ合衆国は1918年にサマータイムを採用した。1918年の終戦後、カナダ、イギリス、フランス、アイルランド、アメリカ合衆国などの例外を除き、ほとんどの国ではサマータイムが廃止された[39][40]。その後、第二次世界大戦中に再び採用されて一般化(中にはイギリスのように二重のサマータイム[注 8]を採用した国もあった)し、1970年代に起きた石油危機以後、アメリカやヨーロッパで広く採用されるようになった。それ以来、世界各地でサマータイムの制定、調整および撤廃の動きが見られる[41]

アメリカ合衆国では、第一次世界大戦中に7か月間の戦時措置として、エネルギー資源を節約するために日光を利用可能な時間を増やす目的で、1918年に標準時法 (Standard Time Act) が制定され、初めてサマータイムが実施された[42][43]。第二次世界大戦中の1942年には[40]、一年中サマータイムとする "War Time が実施された[42]。戦後、サマータイムを標準化する統一時間法 (Uniform Time Act) が1966年に制定されるまでは、各州や地方にサマータイムの実施の可否や実施期間を自由に選択できる権限が与えられており[42]、混乱を引き起こす元となっていた[40]。1973年から74年の冬のシーズンに恒久的なサマータイムが制定されたが[40]、冬の間、暗い中を通学する子どもたちや、真っ暗な中を通勤・始業する労働者から苦情があり、1年後に廃止となった。
実施手順「各国における夏時間」も参照.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{display:flex;flex-direction:column}.mw-parser-output .tmulti .trow{display:flex;flex-direction:row;clear:left;flex-wrap:wrap;width:100%;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{margin:1px;float:left}.mw-parser-output .tmulti .theader{clear:both;font-weight:bold;text-align:center;align-self:center;background-color:transparent;width:100%}.mw-parser-output .tmulti .thumbcaption{background-color:transparent}.mw-parser-output .tmulti .text-align-left{text-align:left}.mw-parser-output .tmulti .text-align-right{text-align:right}.mw-parser-output .tmulti .text-align-center{text-align:center}@media all and (max-width:720px){.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{width:100%!important;box-sizing:border-box;max-width:none!important;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow{justify-content:center}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{float:none!important;max-width:100%!important;box-sizing:border-box;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow>.thumbcaption{text-align:center}}夏時間を開始する際には、朝かなり早いうちに時計が1時間(まるで1時間飛ばすかのように)進められる。夏時間を終了して標準時に復帰する際には、朝かなり早いうちに時計が1時間(まるで1時間繰り返すかのように)戻される。時刻の変更を実施する指定時刻は地域により異なる。

通例、関係当局は平日のスケジュールに混乱を来すことがないよう、週末の真夜中(あるいは、真夜中過ぎ)に時計の時刻を変更する予定を立てる。1時間の変更が慣例となっているが、過去には20分や2時間の変更が実施されたこともある[注 9]。季節に応じてサマータイムを実施する(つまり、夏に実施して冬に実施しない)すべての国では、春に時計が標準時からサマータイムに進められ、秋に時計がサマータイムから標準時に戻される。そのため、春に時計に変更を加える日は一日の長さ(常用時)が短くなり、秋に時計に変更を加える日は一日の長さが長くなる。春の深夜0時に行われる変更では、現地時間のデジタル時計表示は23:59:59.9から01:00:00.0に飛ぶかのように見える。同様に、秋に行われる変更では、現地時間は23:59:59.9から23:00:00.0に飛び、深夜0時前の1時間を繰り返すかのように見える。

季節に応じたサマータイムを実施しているほとんどの国では、冬期の時刻は、各地域の中央付近の地方平均時に一致する標準化されたタイムゾーンの時刻に従って[44]、法的に「標準時」の名称が付けられている[45]。ただし、アイルランドでは例外的に、冬期の時刻はオフセット (UTC±00:00) と法的な名称(グリニッジ標準時)がいずれもイギリスと同じであるが、夏期の時刻はイギリスと同じオフセット (UTC+1:00) でありながら、イギリス夏時間とは対照的に[46]、法的な名称は「アイルランド標準時」である[47][48]

サマータイムのために時計を切り替えるほとんどの国では、冬期には標準時、夏期にはサマータイムを実施しているが、モロッコでは(2019年以来)ラマダーン月(英語版)以外、毎月サマータイムを実施している。聖なる月であるラマダーン月(当月の日付は太陰暦によって決められるため、グレゴリオ暦との対応では年によって日付が変動する)の間は、モロッコ市民の時計は西ヨーロッパ時間(UTC+00:00、地理的に同国の大部分が重なる)に合わせられる。


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