変形菌
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このことは、変形体・子実体形成能の二次的欠失が、変形菌の中で独立に何度も起こったことを示唆している[4][19]
変形体

アメーバ細胞または鞭毛細胞は配偶子としても機能し、対応する交配型の細胞が合体して複相の接合子となる[5][6][7][8][11]。多くの変形菌では、交配型は多型の1遺伝子座で決定されているが、複数の遺伝子座からなる交配型をもつものもいる(モジホコリなど)[6][11][16]。合体する配偶子の間に形態・大きさの差異はなく、同形配偶子である[7]

接合子はアメーバ細胞となり、細胞質分裂を伴わない核分裂を繰り返し、多核の原形質塊である変形体 (plasmodium[注 4], pl. plasmodia) になる[5][6][7][8](下図4a, b)。ただし上記のように、アメーバ細胞が合体を経ずに直接、変形体に発達することもある[9]。変形体は細胞壁をもたないが、しばしばガラクタンを含む粘液鞘 (slime sheath) で覆われている[6][7][8]。変形体中では、多数のがほぼ同調して核分裂する[6]。結果として、変形体は億単位の核をもつこともある[5]。この核分裂は閉鎖型(核膜が維持される)であり、極には中心体が存在しない[6]。変形体はふつう目立つ原形質流動を示し、しばしば規則的な流動方向の逆転が見られる[6][7][20]。このような原形質流動は、アクチン-ミオシンカルシウムイオンが関与している。.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{display:flex;flex-direction:column}.mw-parser-output .tmulti .trow{display:flex;flex-direction:row;clear:left;flex-wrap:wrap;width:100%;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{margin:1px;float:left}.mw-parser-output .tmulti .theader{clear:both;font-weight:bold;text-align:center;align-self:center;background-color:transparent;width:100%}.mw-parser-output .tmulti .thumbcaption{background-color:transparent}.mw-parser-output .tmulti .text-align-left{text-align:left}.mw-parser-output .tmulti .text-align-right{text-align:right}.mw-parser-output .tmulti .text-align-center{text-align:center}@media all and (max-width:720px){.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{width:100%!important;box-sizing:border-box;max-width:none!important;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow{justify-content:center}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{float:none!important;max-width:100%!important;box-sizing:border-box;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow>.thumbcaption{text-align:center}}4a. 変形体4b. 変形体

変形菌に見られる変形体は、以下の3型に類別される[3][4][6][11][21]。ただし、中間的なものも見られる[6][7][21]。可視変形体以外は、野外で確認するのは難しい[3]

原変形体(プロトプラスモディウム[22]; protoplasmodium, pl. protoplasmodia)成長しても微小であり、の数も少ない。網状構造や規則的な原形質流動は見られない。ふつう1個の子実体を形成する。コホコリ属(コホコリ目)、ハリホコリ属(ハリホコリ目)、クビナガホコリ属(クビナガホコリ目)などに見られる[23]

透明変形体(アファノプラスモディウム[22]; aphanoplasmodium, pl. aphanoplasmodia)成長すると、細い原形質糸からなる粗い網状構造となる。原形質は均質で規則的で速い原形質流動を示す。薄く、色は透明、子実体形成直前に着色する。粘液鞘を欠く。ふつう分割して子実体になる。ムラサキホコリ属やカミノケホコリ属(ムラサキホコリ目)などに見られる[24]

可視変形体(ファネロプラスモディウム[22]; phaneroplasmodium, pl. phaneroplasmodia)(図4a-c)成長すると、網状で縁辺が扇形の構造となる。大型であり、幅が 1 m 以上になるものもいる。原形質は顆粒状で規則的で速い原形質流動を示し、秒速 1 mm 以上に達することがある[3]。色はふつう白色から黄色、ときにオレンジ色、褐色、赤色、灰色、緑色、青色など。色は環境条件で変わることもある[20]。厚い粘液鞘で覆われる。ふつう分割して子実体になる。

変形体は基質上を匍匐し(時速数cmに達することもある[7][20])、負の走光性グルコースなどに対する正の走化性を示す[6](下図4c)。変形体の通った跡には、粘液質が残されることがある[6][7]。若い変形体は、同じ遺伝型の他の変形体と融合して成長することがある[6][7][11][20]。また変形体を分断しても、それぞれ独立した変形体となる[7][20]。変形体は、細菌酵母、微細藻、胞子、生きていない有機物片、さらに変形菌のアメーバ細胞や鞭毛細胞などを食作用によって取り込み、細胞内消化する[3][6][7][11]。また少なくとも一部の変形菌は、消化酵素を分泌してキノコなどを細胞外消化し、可溶性有機物を吸収することができる[3][6]モジホコリなどの変形体はオートミールを用いて培養できるが、この際に変形体はオートミールを細胞外消化していると考えられている[20]4c. モジホコリ(モジホコリ目)の変形体の運動4d. イタモジホコリ(モジホコリ目)の菌核


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