壺井栄
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1925年に上京し、繁治と結婚[4]東京都豊多摩郡世田谷町字三宿(現在の世田谷区三宿)に居を構え、後に太子堂に移る。この頃、夫の文士活動の影響から林芙美子平林たい子佐多稲子宮本百合子らと親交を持つようになる[2]。この頃から周囲の見様見真似で手習い作品を執筆するようになった。執筆作は夫や周囲の人々の計らいで彼らの同人誌機関誌に載せられるようになる(この時期の作品は基本的に「身内に向けた作品が周囲の手によって雑誌に載せられたもの」であるためデビュー作とはみなされない事が多い)。

1928年、雑誌『婦女界』が読者日記(今で言うなら随筆およびエッセイ)の懸賞を行い、これに『プロ文士の妻の日記』として自身の日記を出す。入選賞となったため同作が『婦女界』に活字掲載され賞金30円をもらう[2](ただし、作家として正規の活動ではないため、デビュー作とはみなされない事が多い)。

1934年、雑誌『進歩』に壺井豊子の名義で、短編「崖下の家」を執筆する[2](変名義作品であるため、この作品もデビュー作とは、みなされない事が多い)。

1936年、佐多稲子に坪田譲治の『風の中の子供』を勧められる[2]。同時に稲子は、栄の作風からプロレタリア文学ではなく、未来に生きる子どもたちのための児童文学童話)を執筆する事を勧めた[2]。ここから本格的な執筆活動を開始する。この時、坪田作品に影響を受けて執筆された作品のひとつが、後にデビュー作と見なされる『大根の葉』である[2]

1938年、雑誌『文藝』に本名名義で『大根の葉』を一般文芸作として発表[5]した。一般には、これ(初の本名名義および意図的な作家活動による作品発表)をもってデビュー作とみなす。のち数多くの作品を執筆するようになる。芸術選奨文部大臣賞を始め、新潮文芸賞[4]・児童文学賞などを受賞。1952年に発表された『二十四の瞳』は1954年木下惠介監督・高峰秀子主演で映画化され[1]小豆島の名を全国に知らしめた。

1961年、高齢により気管支喘息の発作を起こし、慶応義塾大学病院に入院。翌年に退院するが、以降は発作を抑えるために軽井沢にて静養する事が多かったとされる。以降、数度の転院による入院生活を余儀なくされる事となる。

1967年に内海町名誉町民の称号を与えられた。同年6月23日喘息発作のため、自宅近所の熊谷病院にて死去。享年67。

1972年、壺井の文学を顕彰するとともに、郷土の児童・生徒の文学資質の向上と発展を図るために壺井栄賞が創設された[6][7]
主な作品

大根の葉 (1938)

祭着 (まつりご) (1940)

港の少女 (1944)

妙貞さんの萩の月 (1944)

石臼の歌 (1945)

あたたかい右の手 (1947)

柿の木のある家 (1949)

屋根裏の記録 (1950)

母のない子と子のない母と (1951)

坂道 (1951)

二十四の瞳 (1951)

風 (1954)

月夜の傘 (1954)

草の実 (1955)

あしたの風

どこかでなにかが - NHK銀河ドラマのための描き下ろし作。

著書

『暦 他五篇』新潮社 1940 のち文庫

『祭着 他九篇』河出書房 1940

『たんぽぽ』高山書院 1941

『ともしび』博文館 1941

『船路』有光社 1941

『私の雑記帳』青磁社 1941

『石 短篇集』全国書房 1942

『子熊座』三杏書院 1943

『女傑の村』実業之日本社 1943

『海のたましひ』
松山文雄絵 講談社 少国民の日本文庫 1944

『花のいのち』葛城書店 1944

『夕顔の言葉』松山文雄絵 紀元社 1944

『松のたより』飛鳥書店 1945

『ふたたび』万里閣 1946

『赤いステッキ』櫻井書店 少年のための純文學選 1947

『霧の街』北桜社 1947

『三夜待ち』新紀元社 1947

『十五夜の月』鈴木信太郎絵 愛育社 1947

『あんずの花の咲くころ』桜井悦絵 小峰書店 青空文庫 1948

『海べの村の子供たち』松山文雄絵 雁書房 1948

『おみやげ』後藤禎二絵 好江書房 1948

『渋谷道玄坂』新日本文学会 1948

『小さな物語』前島とも絵 桜井書店 こどもかい文庫 1948

『柳の糸』桜井悦絵 東西社 1948

『柿の木のある家』赤松俊子絵 山の木書店 1949 のち旺文社文庫

『たからの宿』弘文堂 アテネ文庫 1949

『妻の座』冬芽書房 1949

『母のない子と子のない母と』森田元子絵 光文社 1951 のち新潮文庫、旺文社文庫、春陽文庫

『右文覚え書』三十書房 1951

『港の少女』前島とも絵 西荻書店 三色文庫 1951

『坂道』深沢紅子絵 中央公論社 ともだちシリーズ 1952 のち岩波少年文庫

『二十四の瞳』森田元子絵 光文社 1952 のち新潮文庫、角川文庫

『花はだれのために』緑川広太郎絵 東洋書館 1952

『あしたの風 壷井栄作品集』全日本社会教育連合会編 大蔵省印刷局 女性新書 1953 のち角川文庫、春陽文庫、ポプラ社文庫


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