声優
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ナレーションは日俳連の協定によるランクの縛りがなく[注 38]、また、ギャラはアニメ・ゲーム・吹き替えよりもはるかに高額とされる。新人・若手声優だったころはアニメに多く出演していたが、のちに中堅・ベテラン格になるにつれてアニメの仕事が徐々に減っていき、ナレーションが中心になるという傾向にある。なおベテラン声優を1回のみ登場、台詞が少ないなど収録時間が短い役に起用する例もあり、アニメやゲームの出演が無くなるわけではない。

ベテラン声優の中には前述のとおり本業の傍ら、声優事務所の経営、声優の養成所や専門学校の講師、カルチャースクールの喋り方教室の講師、音響監督などといった業を副業として、収入の少なさを補うためにしている者もいる。また、ベテランになると、経済的にはむしろそのような副業のほうが本業という声優も珍しくないといわれている。
現状

声優を目指す人々は増加傾向にあるが、職業としての声優として第一線で活躍できる者は少ない。オーディションでほかの声優との競争に勝てず、仕事がもらえずに無名のまま脱落し、経済的に自立できずにわずかな期間でやめる、またはプロダクションから「今後、第一線級の声優として売れる見込みがない」と判断されて契約を解除されるという新人・若手声優が多いという[290][291]。実際、一例として内田彩は、2015年(平成27年)9月のインタビューにて「声優の仕事一本で食べていけるようになる2、3年くらい前まで、声優の仕事が空いているときは派遣のアルバイトをやっていました」と打ち明けている[292][注 39]内山夕実のように(家の都合で)一度引退後に復帰する例[293]もある。

1996年(平成8年)発売のキネマ旬報刊『声優名鑑』には約2,400人の声優が掲載されていたが、この時代でも声優としての地位が確立されている者は約300人だけで、しかもそのうち声優業だけで食べていける者は約半数であるという[294][注 40]

しかし、昨今では声優のタレント化が進みつつあり、「付加価値のついた声優」=「アイドル化/タレント化した声優」という価値観が構築されており、世の中に認知される流れへ乗り進んだ「アイドル化ならびタレント化」した声優は通常よりも多くの報酬を手にすることが可能となっている。だが、その一方で声優のタレント化のしわ寄せとしてマネージャー側が行なうべき業務量が以前のものより倍化しているという問題点が各所で露呈するようになった。そもそも声優事務所は「タレント=声優」一人当たりに対する人的リソースが、もともと少ない傾向にあり、声優という職種に就いている人物に対する人件費は潤沢に存在していない。声優としての業務以外ではアイドル・タレント的な業務に対して面倒を見れるだけのリソースが乏しい一面を抱えている。また、声優が人気になると、様々なスキャンダルや事件を発生させてしまったときは事務所がその対応にも追われることになり、事務所の利益(取り分)を考えれば本来そこまでするようなことではない案件にもリソースを割かねばならない状態でもある為に、手が回らないのが現状となっている。加えてタレント化した声優のマネジメント業務は一朝一夕に習得できるものでもない点から、声優事務所の社員それぞれの努力ではどうにもならない逼迫した状況が続いている[295]

ある程度の知名度、出演本数、活動年数があったにもかかわらず、声優業で生計を立てていくことが難しいという理由で引退した者も少なくなく、継続して仕事を維持するのも厳しい世界である[291]
脚注[脚注の使い方]
注釈^ ただし、これは無声映画作品に声をつけたものとして放送されており、本格的なラジオドラマとは質が異なる。
^ 後述するように『読売新聞』では1926年の時点で「声優」という言葉が使われていた。
^ 村田美弥子(当時は村田美禰子)、村田竹子(いずれも女優・村田嘉久子の妹)とともに「スター」として取り上げられていた[48]
^ 第1期生の加藤道子が死去した際、読売新聞は「声優の草分け」と紹介[57]
^ 「太平洋テレビジョンの労働争議」について若山は実名を避けながらも証言をした数少ない一人である。
^ 特に新人女性声優向けに同時期文化放送の『SOMETHING DREAMS マルチメディアカウントダウン』内のプロジェクト『ドリカンクラブ』(1996年発足)や、バンプレスト、ニッポン放送、AICによるメディアミックス声優ユニット企画『Kirakira☆メロディ学園』(1999年?2001年)などの大人数グループが誕生していた。
^ 他には、ANIMAX MUSIX(2009年開始)、リスアニ! LIVE(2010年開始)など。
^ 2007年に、BS11による『アニメ+』が創設されて以後、この傾向が年々顕著になってきている。
^ a b 男女合計。
^ ただし、アニメ・日本語吹き替え・ゲームのナレーションはランク制の対象となる。
^ M-1グランプリ参加資格はプロアマ問わず結成15年以内のコンビにあり、二人は事務所に所属するプロとしてエントリーした模様である。
^ 特に「ラブライブ!」から生まれたμ'sは、2016年3月31日・4月1日に声優ユニットとしては初めて東京ドームでの単独コンサートを開催し、両日とも満席であった。
^ 2016年にも東京ドームでの単独コンサートを開催したほか、同じ年には声優だけでなくソロ歌手としても初となる阪神甲子園球場でのコンサートを実現している。水樹は阪神タイガースファンとして知られており、甲子園球場でのコンサートは自身の念願の一つでもあった。
^ 声優として初めて野球場・ドーム球場での単独コンサートを開催したのも水樹奈々であり、2009年に西武ドームで開催したのが初めての例となる。東京ドーム・西武ドーム・阪神甲子園球場のほか、横浜スタジアム千葉マリンスタジアムでも開催した。なお、野球場・ドーム球場での単独コンサートを開催した声優は2023年6月現在、水樹奈々以外には存在しない。
^ 水樹はその後も毎年出場を続け、2009年から2014年の計6回にわたり連続出場した。
^ 声優ユニットのμ'sが2015年に、水樹に次いで声優2組目となる紅白出場を果たした。
^ 阿澄佳奈とされるVTuberのなちょこや鈴村健一とされるなんでも屋の29歳りんくろーなどのケースなど、いくつか謁見される。
^ 中には『スパイラル ?推理の絆?』ではドラマCDで主人公の声を担当した男性声優がTVアニメではライバルのリーダー格となる少年へ配役転換され、ドラマCDでライバル役をしていた声優が降板するなどの変更があった。
^ 機動戦士ガンダムSEEDにおけるアイシャの例がある。
^ トラック運転手を経て文学座こまつ座などで俳優としての活動はしていた。
^ 2011年までスタジオジブリ海外事業で勤務していた人物。宮崎駿が本人をモデルにした役を設定し起用した。
^ テレビアニメ『化物語』(2009年)ではオープニングでアニメ版と実写版を用意し、実写版ではアニメ・キャラクターの声をあてる声優(堀江由衣)が実写映像でキャラクターを演じ、それぞれを対比して見られるよう意図した演出がなされているが、実写版と敢えてテロップに示されることで、全容がはじめて理解できる演出になっている(内藤(2017))。テレビアニメ『夢色パティシエール』(2019年 - 2020年)では、声優が番組の最後にコーナーを設け顔出しをしていた。
^ 一例として、『声優バイブル2016』22頁-29頁(入野自由のインタビューページ)、『声優バイブル2017』18頁-25頁(関智一のインタビューページ)など。
^ 作品限定の声優ユニット活動を行うこともある。
^ 「主婦の友インフェス」より発行されている「声優グランプリ」の付録『声優名鑑』2018年度版に掲載されている「声優」の人数は女性800名、男性571名となっており、2021年の「声優名鑑 女性編」の掲載人数は前年の907人から955人、「声優名鑑 男性編」は前年の595人から今年は600人超となる。男女比は女:男で6:4。
^ エイベックス・プランニング&デベロップメント(旧アクシヴ。声優プロダクションとしては縮小化したのち、グループ再編でエイベックス・ピクチャーズの1部門となった)、KADOKAWAプロダクション・エースアニプレックスボイスアンドハート(廃業の後、アニプレックスから独立)、ドワンゴアーティストプロダクション(ドワンゴ プランニング アンド ディベロップメント。現在のMAGES.となるAG-ONEへ会社統合の後、廃業)など。
^ MAGES.-アミュレート(ドワンゴアーティストプロダクションの事実上承継先)、学研プラス-office EN-JIN(2019年に所属者が居なくなり事実上の事業終了)、エイベックス・ピクチャーズ(エイベックス・プランニング&デベロップメントから一部受け入れ)、ポニーキャニオン-スワロウ、ブシロード系の制作子会社による


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