洋風の住宅などで、柱を内装・外装で包み、柱を見せない様式を「大壁造」(おおかべづくり)と言う[2]。木造の家で、柱と柱の間に壁をはめこんで柱が外部から見える様式を「真壁造」(しんかべづくり)と言う[2]。
外壁の機能・役目には、室内を外界から守る、ということがあり、断熱性・遮音性・水密性・気密性・防火性・耐衝撃性・耐候性などが求められる[2]。内壁のほうの機能・役割としては、遮音性・防水性・防汚性に加えて、視覚的に美しいこと、触れた感触も良いことなど、感覚的な性質も大切である[2]。
さまざまな機能を持った壁があり、遮音性を特に高めた「防音壁」、音の反響を防ぐ「吸音壁」、火事の際に延焼を防ぐ「防火壁」、放射線が漏れるのを防ぐ「放射線遮蔽壁」、「収納する」機能と「部屋を仕切る」機能が融合した「収納壁」、開閉可能な「可動式間仕切り壁」などがある。その他にも様々な役割を持つ壁がある。たとえば岸壁は船舶が接岸する場所を確保するために、垂直の壁で陸地の土砂を支えるのが目的である。また擁壁は切通しや盛土の法面の崩落を防ぐために設けられるものである。
また、城の周囲に防御機能を持つ城壁が建設されてきた。二つの地域を隔てて、国境線の管理や、特定の人々・文化の隔離を目的に建設された分離壁もある。(イスラエル西岸地区の分離壁、ベルリンの壁等)
材料石壁(マチュ・ピチュの切石積み)
日本と壁漆喰壁(今西家住宅)漆喰壁の断面
壁材として、伝統的には、日本では内壁には土壁、漆喰などが用いられてきた。外壁としては板壁、石、土壁、漆喰など。
明治、大正時代は、土壁・漆喰・板・石に加えて煉瓦が用いられるようになった。
第二次世界大戦後は、土壁・漆喰・板・石・煉瓦に加えてコンクリート、石膏ボードなどが用いられている。
洋風建築の普及に伴い、断熱材等の開発が行われている。防音目的でグラスウール(近年では断熱も兼ねて被覆されたもの)が用いられる場合もある。
屋外ではコンクリートやトタンの上に塗装を行ったりして装飾される。また、石膏ボードの場合にはそれ自体にプラスチック又はアルミニウムなどの板により装飾がされているものもあり、その場合外壁材として直に張られる。
室内は塗料、壁紙などで装飾される。床から1メートルほどの高さまでは汚れたり傷んだりしやすいため、この部分だけ補強を兼ねて板やタイルで装飾されることもある。この部分、あるいはこのような装飾を腰壁という。
崖などに於ける壁材はコンクリートの他に硬化プラスチック製の物がある。主に風化や波による浸食で崩落した場合の景観復元のために用いられている。
また、次世代の壁として愛知万博のパビリオンの様に水のカーテンを壁としている場合もある。
内壁寝室の内壁の装飾の例。Pierre Ranson (1736 - 1786)によるデザイン画(1780年) 。壁紙(Morris & Co. Wallpaper Sample Book. 1915年 - 1917年ころ。)エジプト、ルクソール、トトメス3世の王墓の壁画サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院の食堂の壁に描かれている壁画「最後の晩餐」
概説でも説明したが、内壁では感覚的な性質も重要である。西洋では伝統的に、貴族の館などでは、石壁の内側にタピスリーなどが掛けられた。これは石の壁がそのまま見えているより視覚的に柔らかで優しいということ、また寒い季節などは、石の壁がそのままむき出しでは部屋の中が冷え込んでしまうのでそれを少しでも緩和させる役割もあった。
壁に様々な目的で絵画が描かれることがある。これを壁画という。古代ローマではテンペラ画などが描かれた。
近年の住宅では、内壁には壁紙が貼られることが多い。 壁面線(へきめんせん、building line)とは、敷地境界から外壁面の位置を後退させるラインのこと。通りに面する建物の位置をそろえ、街並みとしての景観を向上させる目的で決められる。一般には地区計画、特定街区、建築協定などで定められる。建築基準法第2節に、建築物又はその敷地と道路又は壁面線との関係等(第43条?第47条)が定められている。 建物の外壁または柱の面から敷地境界線(道路境界線含む)までの距離を壁面後退距離と呼ばれる。これも第一種低層住居専用地域や第二種低層住居専用地域では、良好な住宅市街地形成のために指定されている場合がある。その他の用途地域においても、良好なまちなみづくりや空地の確保などを目的として、地区計画で定められている場合もある。
壁面線
著名な壁
人工の壁万里の長城ベルリンの壁
アントニヌスの長城(スコットランド)
大西洋の壁(フランス 1942年-1944年)
ベルリンの壁(ドイツ)
連盟兵の壁
民主の壁(北京 1978年-1979年)
万里の長城(中国)
ハドリアヌスの長城(イングランド)
ジェリコの壁(旧約聖書)
クレムリンの壁 (ロシア, モスクワ)
レノン・ウォール (プラハ)
ロンドン・ウォール (イングランド)
砂の壁(西サハラ及びモロッコ)
ベトナム戦争戦没者慰霊碑 ザ・ウォールとも呼ばれている。
嘆きの壁 (エルサレム)
平和の壁 (北アイルランド、ベルファスト)
(w:List of wallsより一部翻訳、改変) 壁が内と外とを隔て、外界からの影響を遮断するものであることから、転じて心理的あるいは象徴的に何かを隔てるもの、あるいは行く手に立ちふさがる大きな障害を比喩的に壁と呼ぶことがある。例として、「男女の壁」「夫婦の壁」「世代の壁」「記録の壁」「心の壁」「言葉の壁」「音の壁」「バカの壁」などが挙げられる。
パレスチナ分離壁
グレート・グリーン・ウォール
天然の壁
アルプス三大北壁
アイガー北壁
マッターホルン北壁
グランド・ジョラス北壁
悪城の壁
アンナプルナ北壁
グレートウォール
比喩的な「壁」