増岡弘
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死去を受け、同年3月29日放送の『サザエさん』では追悼のテロップが流れ、増岡の後任でマスオ役を担当する田中秀幸も「増岡さんとは昔からたくさんの番組でご一緒させて頂きました。優しい笑顔、楽しいお話し、穏やかなお人柄。全部ずっと覚えています。どうぞ安らかにお眠り下さい」と追悼のコメントを発表した[19]。また『有吉くんの正直さんぽ』では、同年4月4日放送分にて序盤にテロップが流れた後、番組終了後には追悼のVTRを放映した[20]
人物・エピソード

声種ハイバリトン[7]

「声質が変わらない」と評されることが多く、これについて「きっと声というのは心が出すものだから、心さえ変わらなければ、いつまでも変わらないでできる…声というのは年を取らないという風に思ってますよね」と語っている[21]

特撮作品では悪役が多く、数々の怪人を演じ、俳優として出演した作品もある。

声優業のほかにも、趣味の味噌作りでテレビ番組に出演することがあり、味噌作りに関する著書もある。『徹子の部屋』に出演した際は、おもに味噌作りの話と西武鉄道から廃品の枕木を買い、それを使ってログハウス風の自宅を建てた話などを披露した。

特技のひとつは落語[10]二代目柳家さん助の門下で、高座名は益々家ちゃん助(ますますや ちゃんすけ)[2]

1967年寺山修司らが結成した劇団天井桟敷の第一回公演『青森県のせむし男』でタイトルとなった「母恋のせむし男(大正松吉)」役を演じたが、同劇団員ではなく外部出演であった。

若手時代、吹き替えで「素手でこい」という台詞を緊張の余り「ステテコでこい」と言いNGを出したことがあり、ディレクターに「アメリカでステテコはないだろう」と叱責されたという[22]

アニメで役作りをする際には、最初に不相応な芝居を考えたうえで、そこから演技方針を狭めていくという。これは若手時代に、黒人役という先入観で声を潰して演技をしたところ、ディレクターから「その人物の置かれた立場を演じて欲しい」と言われた失敗談から、声優の仕事は「声を作ること」ではなく「人物を作ること」だと再認識したためだとしている[23]

宮内幸平とは家族ぐるみの付き合いをするほど仲が良かった[24]

兄弟もたくさんいる次男で、兄、妹がいる[10]
マスオ関連

フグ田マスオ役について、近石真介から役を引き継ぐ際にはオーディションが行われなかったため「自分の姓が増岡(ますおか)だから選ばれたのだろう」と考えたという[25]

近石は先輩にあたるが、趣味の味噌づくりなどを通して交友があった。また、新人時代に増岡は近石から「増岡さん、役者というのは一つの会社に例えるとよくわかるよ。何を作るか、作ったものは今の世に必要か、宣伝して誰もが知っていることか、売れるものの確認、それらを行う社長や社員はみんな自分の中にあるんです。自分を一つの会社と思ってみてください。そうすると、おのずと皆で仲良く協力していいものを作れるし売れないはずはない」との言葉をかけられたといい、自身の役者人生に大きな影響を与えたという[26]

演じる際は「えぇ?!?」など何気ない台詞や感嘆詞に独特の台詞回しをすることで知られており[27]、これらは増岡のアドリブなのだという[28]

マスオ役の経験から、「役を引き継ぐ際は、前の役者さんの演技を意識しない方が良いと思ったんです」と語っている[24]

一番好きなマスオの台詞には、平凡だが温かい響きがそこにあるとの理由で「ただいま?」「いってきま?す」を挙げている[29]

『サザエさん』の収録については、日常生活のようなものになっていたため仕事をしたという実感がまったくしなかったが「そこが良さでもある」と語っている[30]。待遇面に関しては苦言を呈することもあったが[31]、番組自体については、さりげなく礼儀作法など大切なことを教えてくれる作品だとしている[13]
ジャムおじさん関連

ジャムおじさん役については、一生懸命それを子供たちにわかってもらえるよう、冷たい言い方をせず、「言葉の温度」を意識し、演じていたという[30]。また「(共演者)みなさんの優しさがちゃんと言葉の温度になっていて、あれは子供たちに受け入れやすいと思うんですよね。」「だから『アンパンマン』は満足感があり、いい作品だなーって。いつまでも世界の子供達に見てもらいたいと思い続けている作品です」と語っている[30]

長年共演してきたアンパンマン役の戸田恵子は、増岡について「(レギュラー陣の中で)年長者なので、私達は「師匠」と呼んでいる」と話し[32]、カレーパンマン役の柳沢三千代は思い悩んでいたころ、増岡からそっと茶に誘われ励ましの言葉をもらったという[33]。また、戸田によるとレギュラー陣のひとりであるホラーマン役の肝付兼太の訃報を受けた際、増岡はかなり落ち込んでいたといい「同世代ですものね。当然ですよね」と述べている[34]
『正直さんぽ』関連

『正直さんぽ』では有吉弘行の毒舌をたしなめるナレーションが特徴だった。有吉によると増岡がレギュラー番組を降板後、『正直さんぽ』の続投に関しては不透明だったものの、「まぁ、さんぽぐらいやるかぁ」と増岡が続投を承諾したことにより「すごいよね。うれしいよ。愛着あるんだなぁって思って」「増岡さんが元気にやってくださってるみたいで、いいなぁって。うれしいなぁって思いました」と、増岡の続投を喜ぶコメントをしていた[35]。有吉は増岡が逝去した際「正直さんぽを特別に可愛がってくださって感謝しかなかったです。一回ぐらい一緒に散歩しましょうという願いが叶わなかったのが残念です。」とコメントし、増岡を偲んだ[36]

生前最後の収録となった2020年1月25日放送分の『正直さんぽ』では、関係者によると同月23日にスタジオ入りした際には体調が芳しくなく、終始苦しげな表情を見せていたが、収録に入ると、姿勢を直していつもどおりの声を吹き込んだといい、最後まで「これぞプロ!」とスタッフが驚嘆する仕事ぶりを見せたという[37]
後任

増岡の高齢に伴う卒業・体調不良に伴う降板および死後、持ち役・ナレーションを引き継いだ人物は以下の通り。

後任役名作品後任の初担当作品
池田昌子ナレーション『お坊さんバラエティ ぶっちゃけ寺』2019年8月12日放送分
バッキー木場諏訪部順一のとびだせ!!のみ仲間』2020年3月7日放送分
玄田哲章有吉くんの正直さんぽ』2020年10月31日放送分[注 2][38]
山寺宏一ジャムおじさんそれいけ!アンパンマン』2019年8月16日放送分
森田了介右大臣不明[注 3]
田中秀幸フグ田マスオサザエさん』2019年8月25日放送分
高岡瓶々アル・パウエル『ダイ・ハード2』テレビ朝日版スター・チャンネル追加録音

出演(俳優)
テレビドラマ

レモンのような女 第5話「夏の香り」(1967年、TBS

大河ドラマ / 竜馬がゆく(1968年、NHK) - 郷士

プレイガール 第41話「早く彼女にタオルをあげて」(1970年、12ch / 東映

特別機動捜査隊 第477話「指名手配」(1970年、NET / 東映) - 星野

おんな組アクション控 最終話「“火の用心”にご用心」(1972年、12ch / 三船プロ) - いたちの要助

木下恵介・人間の歌シリーズ / それぞれの秋(1973年、TBS)

八州犯科帳 第6話「夜空に燃える炎の女」(1974年、CX / C.A.L) - 十助


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