4人姉妹の末っ子として生まれる。小さい頃はゆっくりした話し方で、教師に「あなた、ちゃんとお話しできないの?」と言われショックを受けるなど、次第にその話し方に劣等感を持つようになる[13]。
幼少期はバレリーナを目指しレッスンも行っていたが、肺病のため12歳の時に断念した。「何か夢を持ちたい」と思っていたころに、義理の兄[注 1]の紹介もあり、話し方の改善も考え新児童劇団(現在の劇団新児童)に所属し、指導担当だった麻生美代子に師事する。そこで話し方の劣等感を克服し、自然と演技に興味を持つようになる[13][14]。
15歳の頃、児童劇団に所属する年齢でもなくなったため、近い世代の毒蝮三太夫・稲吉靖司・影万里江・北浜晴子・豊原ミツ子らと「劇団山王」を立ち上げる[9][14][16][17]。数年後、浅利慶太に「女優が少ないから」と頼まれ、影万里江とともに劇団四季に移籍した[9][14][17][18]。テレビ出演、海外ドラマの吹き替えの仕事もするようになったという[5][14]。四季にラジオドラマやアテレコの仕事が入って来るうちに声の仕事に興味を持ち始める[19][20]。プライベートで時間の制約ができてしまい、時間が不規則なテレビ、稽古が必要な舞台の仕事が難しくなっていったという[5]。
その後、「声の仕事だけに集中しよう」と決意し、家庭や子育てを仕事と両立させるため、舞台などよりは比較的短時間でできる声優業に専念するようになり、1960年代から青二プロダクションに所属した[5][19][20][17]。
2017年、『東京アニメアワードフェスティバル 2017』において「アニメ功労部門」を受賞した[21]。
2021年、第15回声優アワードで「功労賞」を受賞した[22]。
2024年5月20日、肺炎のため死去した。88歳没。葬儀は本人の意向により家族葬として行い、訃報は、6月3日に青二プロダクションより発表された[23][24]。増山の死去により、『ルパン三世(第2シリーズ)』における主要キャスト5名全員が故人となった[25]。 幼少期から宝塚歌劇団の大ファンであった。宝塚に入団しようとした時期もあり、バレエを習っていたのも受験に備えるためだった[14]。肺病により受験を断念したが[14]、結婚後も宝塚への思いは残り、夫の仕事が落ち着いた2005年から約9年間、宝塚大劇場付近に住んでいた。タカラジェンヌや関係者とも組に関係なく幅広い交流があり、一人暮らしをするタカラジェンヌに自宅でカレーなどの実家を連想させる料理を振る舞うこともあったことから、タカラジェンヌの間では「不二子ママ」の愛称で慕われていたという[26][27]。 児童劇団時代に麻生の引率で劇団東童の公演を見学し、そこで王子様役を演じた俳優に憧れ「あの人と同じ舞台に立ちたい」と思った。その俳優こそが後に『ルパン三世』で40年近く共演し続けた納谷悟朗だった[28]。 デビュー当初は本名で活動したが、演出家の星野和彦に「こんな名前じゃねぇ、やっていけないよ」と高島易断に連れていかれ、現在の芸名となった[29]。 同年代の仲間からは「トンチ」と呼ばれた。本人によると、二人の実姉が“イッチー”“キョーチ”と呼ばれていたため本名が「トモコ」の増山も“トンチ”と呼ばれ、それが仕事仲間にも広がったという[30]。 井上喜久子はデビュー前に見た『アタックNo.1』の再放送がきっかけで増山のファンとなり、プロになってから増山と同じ青二プロダクションに所属する久川綾に自身を紹介してもらったといい、3人はそれぞれの誕生日にお祝いで食事に行ったりするなど交友があった[31]。井上によると増山は「会えば会うほど素晴らしく、いつも輝いている素敵な人物」「会うたびにたくさんの愛をくれる、永遠に憧れの人」とのこと[31]。 夫は、TBSテレビのチーフ・プロデューサーを務めた政田一喜(2022年没)[8]。娘がいる[2][17]。 役柄としては、少女役から大人の女性役まで演じ[20]、色っぽいキャラクターを演じる一方で、優しい母親役も多かった[14]。2005年のインタビューでは、老け役がより若い感じの役が多いため「いつまでも若手で行くか!」という感じであった[12]。 自身の声について、歳を重ねるにつれ少しずつ(音程が)下がっているといい、若いキャラクターを演じるための音程を維持するトレーニングに苦労していることを2005年に明かしていた[12]。 アニメソングの歌唱も数多く担当していた。これは『ひょっこりひょうたん島』で出会った宇野誠一郎が増山をよく起用するようになったためで、当初は「私でいいの?」と思ったが、後に「とても嬉しいことだった」と回想した。 海外作品では、ハンナ・バーベラ作品にも複数出演している[20]。吹き替えではリー・レミックを数多く担当している[17][33]。リー・レミックとは佇まいや骨格が似てると言われ、一番アテやすいという[17]。『ハイウェイ』もよかったが、特に『酒とバラの日々』には感動しており、とてもやりがいがあったという[17]。
人物
特色・役柄