増山江威子
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2021年、第15回声優アワードで「功労賞」を受賞した[23]

2024年5月20日肺炎のため死去した。88歳没。葬儀は本人の意向により家族葬として行い、訃報は、6月3日に青二プロダクションより発表された[24][25]。増山の死去により、『ルパン三世(第2シリーズ)』における主要キャスト5名全員が故人となった[26]
人物

幼少期から宝塚歌劇団の大ファンであった。宝塚に入団しようとした時期もあり、バレエを習っていたのも受験に備えるためだった[14]。肺病により受験を断念したが[14]、結婚後も宝塚への思いは残り、夫の仕事が落ち着いた2005年から約9年間、宝塚大劇場付近に住んでいた。タカラジェンヌや関係者とも組に関係なく幅広い交流があり、一人暮らしをするタカラジェンヌに自宅でカレーなどの実家を連想させる料理を振る舞うこともあったことから、タカラジェンヌの間では「不二子ママ」の愛称で慕われていたという[27][28]

児童劇団時代に麻生の引率で劇団東童の公演を見学し、そこで王子様役を演じた俳優に憧れ「あの人と同じ舞台に立ちたい」と思った。その俳優こそが後に『ルパン三世』で40年近く共演し続けた納谷悟朗だった[29]

デビュー当初は本名で活動したが、演出家の星野和彦に「こんな名前じゃねぇ、やっていけないよ」と高島易断に連れていかれ、現在の芸名となった[30]

同年代の仲間からは「トンチ」と呼ばれた。本人によると、二人の実姉が“イッチー”“キョーチ”と呼ばれていたため本名が「トモコ」の増山も“トンチ”と呼ばれ、それが仕事仲間にも広がったという[31]

井上喜久子はデビュー前に見た『アタックNo.1』の再放送がきっかけで増山のファンとなり、プロになってから増山と同じ青二プロダクションに所属する久川綾に自身を紹介してもらったといい、3人はそれぞれの誕生日にお祝いで食事に行ったりするなど交友があった[32]。井上によると増山は「会えば会うほど素晴らしく、いつも輝いている素敵な人物」「会うたびにたくさんの愛をくれる、永遠に憧れの人」とのこと[32]

夫は、TBSテレビのチーフ・プロデューサーを務めた政田一喜(2022年没)[8]。娘がいる[2][17]
特色・役柄

声種は「上品で情熱的なメゾソプラノ[33]」。

役柄としては、少女役から大人の女性役まで演じ[20]、色っぽいキャラクターを演じる一方で、優しい母親役も多かった[14]。2005年のインタビューでは、老け役がより若い感じの役が多いため「いつまでも若手で行くか!」という感じであった[12]

自身の声について、歳を重ねるにつれ少しずつ(音程が)下がっているといい、若いキャラクターを演じるための音程を維持するトレーニングに苦労していることを2005年に明かしていた[12]

アニメソングの歌唱も数多く担当していた。これは『ひょっこりひょうたん島』で出会った宇野誠一郎が増山をよく起用するようになったためで、当初は「私でいいの?」と思ったが、後に「とても嬉しいことだった」と回想した。

海外作品では、ハンナ・バーベラ作品にも複数出演している[20]。吹き替えではリー・レミックを数多く担当している[17][34]。リー・レミックとは佇まいや骨格が似てると言われ、一番アテやすいという[17]。『ハイウェイ』もよかったが、特に『酒とバラの日々』には感動しており、とてもやりがいがあったという[17]
仕事に対する姿勢

アフレコの際は「絵が主役」であり、「絵があるからこそ声もピッタリ合う」との考えを持っている。また、絵がないと演じてきた色々なキャラクターの声が混ざってしまうので、絵もなく突然「○○の声をやって下さい」と言われるのは苦手だと発言している。

役作りに関しては、まず自分で作ってから演出側に披露し、それがを判断してもらったりアドバイスを受ける形が理想だとしており、先に演出側から細かく注文を受けるのは苦手な趣の発言をしている[35]

アニメのアフレコの際に絵がほとんど入らないことに苦言を呈している。ある作品ではこのことが原因で台詞を入れ忘れたように見えるシーン[注 2]が完成してしまった他、絵と演技が一致しない場面が放送され「何で増山さんは何年もやってるのにこれ(演技)が出来ないのか」と投書が来てしまったことから、その後ある現場では「恥はかきたくない」「何とか収録時には絵が欲しい」と頼んだこともあるという[36]

以前はテレビ番組のゲスト出演など顔出しの出演も多かったが、近年は「みんなの知ってる私の声はハニーや不二子などの若い声。そんな若いキャラクターのイメージを壊したくない」という理由で顔出しをあまり好んでおらず、『大胆MAP』では顔出しを拒否するような発言もしている[20]。ただし、同番組ではアフレコをしている様子を遠目で録るという条件で承諾し出演した。2019年9月21日放送のNHK BSプレミアム『セカンドの美学』でも同様に顔を映さないことを条件にインタビュー出演した[37]
キューティーハニー

1973年放送の『キューティーハニー』で、初代ハニーの声を担当した。リメイクである『キューティーハニーF』では友情出演として、神崎美津子の声を担当した。『Re:キューティーハニー』では別世界からやってきたという設定で初代ハニーを再演した。2005年に再びハニーを演じた際は、「こんないい作品に出会えたということはそれだけで嬉しいものですね」とコメントしている[38]

増山によると、それまでは可愛らしい役柄を演じることが多かったため、ハニーはセクシーな役を担当するようになる転機だったという[39]
峰不二子

1977年の『ルパン三世 (TV第2シリーズ)』より、峰不二子役を沢城みゆきに交代する2011年まで演じた。

元々、2本製作された『ルパン三世 パイロットフィルム』では増山が不二子を演じており『ルパン三世 (TV第1シリーズ)』にも参加予定だったが、実際に放送されると録音監督の田代敦巳から謝罪があり、不二子役が二階堂有希子に代わっていた[40]。『TV第1シリーズ』の演出を担当したおおすみ正秋はこの交代についてに後に「ルパンが不二子に挑みかかる場面があるんですよ。ところがその場面になるとシーンとしちゃって」「『どうしたの?』って聞くと『どうしてもできません』って」と、増山がお色気シーンをできなかったため仕方なく変更したと発言している[41]。なお、『TV第1シリーズ』第14話「エメラルドの秘密」ではキャサリン・マーチン役としてゲスト出演し、二階堂演じる不二子と会話を交わすシーンが存在する。

その後も不二子への思いが強かった増山は、『TV第2シリーズ』放送前のオーディションに参加[注 3]。見事不二子役を担当することになった[42]

『パイロットフィルム』が一般に知られていなかった当初は、「何故不二子が二階堂さんじゃないんだ」という抗議の投書が殺到した。


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