増山江威子
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アニメソングの歌唱も数多く担当していた。これは『ひょっこりひょうたん島』で出会った宇野誠一郎が増山をよく起用するようになったためで、当初は「私でいいの?」と思ったが、後に「とても嬉しいことだった」と回想した。

海外作品では、ハンナ・バーベラ作品にも複数出演している[20]。吹き替えではリー・レミックを数多く担当している[17][33]。リー・レミックとは佇まいや骨格が似てると言われ、一番アテやすいという[17]。『ハイウェイ』もよかったが、特に『酒とバラの日々』には感動しており、とてもやりがいがあったという[17]
仕事に対する姿勢

アフレコの際は「絵が主役」であり、「絵があるからこそ声もピッタリ合う」との考えを持っている。また、絵がないと演じてきた色々なキャラクターの声が混ざってしまうので、絵もなく突然「○○の声をやって下さい」と言われるのは苦手だと発言している。

役作りに関しては、まず自分で作ってから演出側に披露し、それがを判断してもらったりアドバイスを受ける形が理想だとしており、先に演出側から細かく注文を受けるのは苦手な趣の発言をしている[34]

アニメのアフレコの際に絵がほとんど入らないことに苦言を呈している。ある作品ではこのことが原因で台詞を入れ忘れたように見えるシーン[注 2]が完成してしまった他、絵と演技が一致しない場面が放送され「何で増山さんは何年もやってるのにこれ(演技)が出来ないのか」と投書が来てしまったことから、その後ある現場では「恥はかきたくない」「何とか収録時には絵が欲しい」と頼んだこともあるという[35]

以前はテレビ番組のゲスト出演など顔出しの出演も多かったが、近年は「みんなの知ってる私の声はハニーや不二子などの若い声。そんな若いキャラクターのイメージを壊したくない」という理由で顔出しをあまり好んでおらず、『大胆MAP』では顔出しを拒否するような発言もしている[20]。ただし、同番組ではアフレコをしている様子を遠目で録るという条件で承諾し出演した。2019年9月21日放送のNHK BSプレミアム『セカンドの美学』でも同様に顔を映さないことを条件にインタビュー出演した[36]
キューティーハニー

1973年放送の『キューティーハニー』で、初代ハニーの声を担当した。リメイクである『キューティーハニーF』では友情出演として、神崎美津子の声を担当した。『Re:キューティーハニー』では別世界からやってきたという設定で初代ハニーを再演した。2005年に再びハニーを演じた際は、「こんないい作品に出会えたということはそれだけで嬉しいものですね」とコメントしている[37]

増山によると、それまでは可愛らしい役柄を演じることが多かったため、ハニーはセクシーな役を担当するようになる転機だったという[38]
峰不二子

1977年の『ルパン三世 (TV第2シリーズ)』より、峰不二子役を沢城みゆきに交代する2011年まで演じた。

元々、2本製作された『ルパン三世 パイロットフィルム』では増山が不二子を演じており『ルパン三世 (TV第1シリーズ)』にも参加予定だったが、実際に放送されると録音監督の田代敦巳から謝罪があり、何故か不二子役が二階堂有希子に代わっていたという[39]。一方、『TV第1シリーズ』の演出を担当したおおすみ正秋はこのことに関して後に「ルパンが不二子に挑みかかる場面があるんですよ。ところがその場面になるとシーンとしちゃって」「『どうしたの?』って聞くと『どうしてもできません』って」と、増山がお色気シーンをできなかったため仕方なく変更したと発言している[40]。その後、第14話「エメラルドの秘密」でキャサリン・マーチン役としてゲスト出演し、キャサリンは前述の二階堂演じる不二子と頻繁に会話を交わしており、初代・二代目両不二子声優による共演回となっている。

その後も不二子への思いが強かった増山は、『TV第2シリーズ』放送前のオーディションに参加[注 3]。見事不二子を担当することになったという[41]

『パイロットフィルム』が一般に知られていなかった当初は、「何故不二子が二階堂さんじゃないんだ」という抗議の投書が殺到した。日本テレビのスタッフからこれを聞いた増山は、「どうあがいても二階堂さんにはなれないから、私の持ち味でやるしかない」と発奮して演じ続けたという[19]

増山は「不二子はすべての理想を兼ね備えた女性であり、いつも憧れている」と語っており[42]、不二子のファンは女性が圧倒的に多いと語っている[41]。ルパンについては、裏切っても不二子のことを想う所が「男性の可愛さみたいで、好きですネ」と語っている[43]

不二子を演じる際は「健康的な色気」を意識していたといい、「絵がセクシーなだけで、言動はそこまで色っぽさが無い」「あの人(不二子)自身が色っぽい訳ではなく、仕掛けや武器として色気を使っている」と考えていた[38][44]。また、作品によってキャラクターデザインが変わりそれらの要素も異なる部分は、「泥棒のように手を変え、品を変え。相手によって芝居を変える」役者としての自身と重なり面白かったという[44]

自身が演じた中で思い出深いルパン作品には『ルパン三世 カリオストロの城』を挙げている。増山自身は、『カリオストロの城』での不二子の勇ましさに「これが不二子の本当の姿じゃないか、ベースはこれなのかもしれない」と感じたことを明かしているほか、クラリスに「捨てられたの?」と聞かれた不二子が「ううん、捨てたの」と答える場面が好きだと話している[44]

2019年に原作者のモンキー・パンチが死去した際は、「役者は作品との出会いが全てです。私の財産となった『峰不二子』に出会えたこと。モンキー・パンチ先生に感謝しています」とコメントしている[45]
バカボンのママ

天才バカボン』はこれまでに5回テレビアニメ化されているが、主要キャストが変わる中、バカボンのママだけは4作目『レレレの天才バカボン』まで一貫して増山が演じていた。これは原作者である赤塚不二夫の希望であり、4回目のTVアニメ化に際して、赤塚からの唯一の希望が「ママの声だけは(増山から)変えないで欲しい」だったという。それまでに増山以外の声優が演じたのは1作目の第70話「パパとママがけんかをしたのだ」の1回だけ北浜晴子が代役で演じたのみである[20][注 4]

増山は私生活でも母親だったことから、ママ役を抵抗もなく自然と演じることができたという[46]。また、初めてママの絵を見た際「私、絶対ピッタリだわ」と思ったという

ある番組の収録で青梅赤塚不二夫会館(2003年10月-2020年3月運営)へ行った際、壁に様々な赤塚のコメントが貼ってある中で実際に「ママは絶対増山さんじゃなきゃダメだ」と書かれているのを見つけた時は、「自分が勝手に言ってる訳ではなく、本当に原作者である先生に認められていた」という気持ちで、とてもうれしかったという[47]
その他作品

『ひょっこりひょうたん島』ではテケ役を演じた。当時は少年役にキャスティングされることなど想像もつかず「プリンちゃんかしら、チャッピーかしら」と女の子役だと思い込んでいたところ、NHKのプロデューサーに「いえ。男の子のテケですよ」と告げられ「エエーッ!私、男の子の役なんて、やったことないんです……」と思わず言ってしまったという[14]。しかし、演じていたところ意外に楽しく、後に「やらせていただいて良かった」と述べている[14]

演じていて楽しかったキャラクターに『オバケのQ太郎 (アニメ)』のU子役を挙げている。それまで自身が演じたことのないようなキャラクターだったため、第一声を発した際は「こういう風にやるのか、と録音スタッフがひっくり返った」と冗談交じりで述べており「それまでのキャリアと異なる新しい役作りの楽しさ、声の仕事の醍醐味を再認識した作品」としている[48]


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