増上寺
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この場合、芝の土地を拝領したものの関ヶ原合戦等で伽藍完成が遅れたと考えられる[9]

また、徳川家の菩提寺であるとともに、檀林(学問所及び養成所)がおかれ、関東十八檀林の筆頭となった。なお、延宝8年(1680年)6月26日に行われた将軍徳川家綱の法要の際、奉行の一人で志摩国鳥羽藩内藤忠勝が、同じ奉行の一人で丹後国宮津藩永井尚長に斬りつけるという刃傷事件を起こしている(芝増上寺の刃傷事件)。なおテレビドラマ『水戸黄門・第17部』においては、この一件が水戸光圀の旅立ちのきっかけとして描かれている(光圀の諸国漫遊はフィクション)。

元禄14年(1701年)3月に江戸下向した勅使が増上寺を参詣するのをめぐって畳替えをしなければならないところ、高家吉良義央勅使饗応役浅野長矩に畳替えの必要性を教えず、これが3月14日の殿中刃傷の引き金になったという挿話が文学作品『忠臣蔵』で有名である。畳替えの件が史実であるかは不明。なお、長矩は内藤忠勝の甥である。

明治維新直後には、神道国教化政策の下、半官半民の神仏共同教導職養成機関である大教院の本部となり、大教院神殿が置かれた。参道には、通常は神社に建てられる鳥居が置かれた[10]。のち1874年明治7年)1月1日、排仏主義者により放火される。徳川幕府の崩壊、明治維新後神仏分離の影響により規模は縮小し、境内の広範囲が芝公園となる。

太平洋戦争中の空襲によって徳川家霊廟五重塔をはじめとした遺構を失う大きな被害を受けた。

東京タワーの建設時、増上寺は墓地の一部を土地として提供している。なお、この付近の町名(芝大門)や地下鉄の駅名(大門駅)に使われている「大門」とは、増上寺の旧総門のことを指す。2021年現在の大門は1937年東京市が市民の寄付を募って改築したコンクリート造のものである(詳しくは後述[11]

また、短期間ではあるが西遊記三蔵法師で有名な玄奘遺骨が安置されていたが、太平洋戦争の戦時中の空襲によって移動された。現在はさいたま市慈恩寺にある。ちなみに遺骨は奈良市薬師寺台湾玄奘寺分骨されている。

2022年7月11日、同年同月8日安倍晋三銃撃事件で死亡した安倍晋三首相の葬儀が執り行われた[12]

2022年10月、解脱門の楼上の夜間公開を実施。これは建立以降初めてのことである[13]
伽藍

三解脱門(さんげだつもん、重要文化財) - 戦災を免れた建物の1つで、元和8年(1622年)建立の二重門(重層で、各層に屋根が付く門)。この門をくぐると、三毒(3つの煩悩、即ち)から解脱できるとされる。内部には釈迦三尊像と十六羅漢像が安置されている。

大殿 - 1974年(昭和49年)の再建。室町期の阿弥陀如来像、脇仏に法然上人像、善導大師像がまつられている。

安国殿 - 「黒本尊」といわれる室町時代の恵心僧都作とされる秘仏の阿弥陀如来を祀っている。徳川家康が崇拝し、当初は2尺6寸(約80cm)あった金色の立像であったが、長年の香煙により、黒ずんでしまった。正月15日、5月15日、9月15日にのみ開帳され、「黒本尊」と墨書きされた朱印が授与される。

徳川家霊廟有章院霊廟 鐘楼及び勅額門(戦災で焼失)有章院霊廟 勅使門 (戦災で焼失)詳細は「徳川家霊廟」を参照

増上寺には、徳川将軍15代のうち、6人(秀忠家宣家継家重家慶家茂)が葬られている。

第二次世界大戦前には台徳院(秀忠)霊廟崇源院(秀忠夫人)霊牌所、文昭院(家宣)霊廟有章院(家継)霊廟が旧・国宝(建造物)に指定されており、その壮大さは日光東照宮に引けを取らないものだったが、1945年(昭和20年)に2度の空襲があり3月10日に北廟68棟が被災、続く5月25日に南廟28棟が被災し、その建造物群のほとんどを焼失した。2021年(令和3年)現在は台徳院霊廟の門4棟、有章院霊廟二天門、文昭院霊廟奥院中門(鋳抜門)、ならびに文昭院・有章院等の宝塔8基(後述)を残すのみである。文昭院殿霊廟 拝殿内部 (戦災で焼失)

焼け残った建築のうち以下のものが重要文化財に指定されている。

台徳院霊廟 惣門(芝公園・ザ・プリンスパークタワー東京内)

台徳院霊廟 勅額門、丁字門、御成門(以上3棟はホテル建設に際し、埼玉県所沢市ユネスコ村(現・狭山不動尊)に移築されている)

有章院霊廟 二天門(芝公園・東京プリンスホテル内)柵で仕切られており、塗装も随所に剥げ落ち老朽化が激しかったが、平成の大改修で2015年(平成27年)より約3年の期間をかけて大規模な保存修理工事を行われた。

これらの霊廟に祀られていた遺体は、1958年(昭和33年)調査発掘され、その後桐ヶ谷斎場にて火葬された。徳川家墓所は増上寺安国殿の裏手に移転している。同墓所の入口の門(銅造)は、もとは文昭院霊廟の奥院の中門だったもの。霊廟跡地は、東京プリンスホテル(文昭院、有章院等)、ザ・プリンスパークタワー東京(台徳院、崇源院等)となっている。秀忠夫人の旧・崇源院霊牌所の一部が正保4年(1647年)に鎌倉建長寺に建替えのため移築され、現存する。

増上寺に隣接する芝東照宮は、元は家康を祀る増上寺安国殿であったが、神仏分離令の折に独立し神社化された。安国殿は増上寺の中で有力な支院で寺は反対したが、独立を阻止できなかった。

改葬後の増上寺徳川家墓所に立つ宝塔と被葬者は下記の通り。

旧・崇源院宝塔(石造) - 第二代将軍秀忠(台徳院)、同夫人(崇源院)の墓塔。台徳院宝塔は戦災で焼失したため、元の崇源院宝塔に夫妻が合祀されている。墓所内、入口から見て右列のもっとも奥にある。

旧・文昭院宝塔(銅造) - 第六代家宣(文昭院)、同夫人(天英院)の墓塔。墓所内、左列のもっとも奥にある。

有章院宝塔(石造) - 第七代家継(有章院)の墓塔。墓所内、右列の秀忠夫妻墓の手前にある。

惇徳院宝塔(石造) - 第九代家重(惇徳院)の墓塔。墓所内、右列の家継墓の手前にある。

慎徳院宝塔(石造) - 第十二代家慶(慎徳院)の墓塔。墓所内、右列のもっとも手前にある。

昭徳院宝塔(石造) - 第十四代家茂(昭徳院)の墓塔。墓所内、左列の家宣夫妻墓の手前にある。

静寛院宮宝塔(銅造) - 家茂夫人和宮(静寛院)の墓塔。墓所内、左列の家茂墓の手前にある。

合祀塔(石造) - 墓所内、左列のもっとも手前にある。家宣の父・綱重(清揚院)、五代綱吉の生母・桂昌院、十一代家斉正室広大院、十三代家定の正室・天親院、家宣の側室・月光院、家斉の側室・契真院、家慶の側室である見光院殊妙院。その他計35名の将軍家ゆかりの子女が合祀されている。合祀以前はそれぞれ宝塔が独立していた。2021年(令和3年)現在の合祀塔は、元は月光院宝塔であった。
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