を得る。なお、下添字 x は点x に関する積分であることを表している。
得られた式を見ると、領域積分が1つだけ残っている。これを消し去るために、関数u* は次式を満足するように与える。 ∂ 2 u ∗ ∂ x 1 2 ( x ; ξ ) + ∂ 2 u ∗ ∂ x 2 2 ( x ; ξ ) + δ ( x − ξ ) = 0 , {\displaystyle {\frac {\partial ^{2}u^{*}}{\partial x_{1}^{2}}}({\boldsymbol {x}};{\boldsymbol {\xi }})+{\frac {\partial ^{2}u^{*}}{\partial x_{2}^{2}}}({\boldsymbol {x}};{\boldsymbol {\xi }})+\delta ({\boldsymbol {x}}-{\boldsymbol {\xi }})=0,}
この関数u* は基本解と呼ばれており、ラプラス問題では、 r = 。 x − ξ 。 {\displaystyle r=|{\boldsymbol {x}}-{\boldsymbol {\xi }}|} (2点間の距離)として、 u ∗ ( x ; ξ ) = − 1 2 π ln r , {\displaystyle u^{*}({\boldsymbol {x}};{\boldsymbol {\xi }})=-{\frac {1}{2\pi }}\ln r,}
で与えられる。u* は、空間内の点ξに大きさ 1 の単位わきだしがあったときの、点x で観測されるポテンシャル値を与える関数、と解釈することができる。そのため、 ξ {\displaystyle {\boldsymbol {\xi }}} はソース点、 x {\displaystyle {\boldsymbol {x}}} は観測点と呼ばれる。
この定義式を上の積分方程式に代入すると、 u ( ξ ) = ∫ Γ u ∗ ( x ; ξ ) q ( x ) d Γ x − ∫ Γ q ∗ ( x ; ξ ) u ( x ) d Γ x , ( ξ ∈ Ω ) {\displaystyle u({\boldsymbol {\xi }})=\int _{\Gamma }u^{*}({\boldsymbol {x}};{\boldsymbol {\xi }})q({\boldsymbol {x}})d\Gamma _{x}-\int _{\Gamma }q^{*}({\boldsymbol {x}};{\boldsymbol {\xi }})u({\boldsymbol {x}})d\Gamma _{x},\quad ({\boldsymbol {\xi }}\in \Omega )}
を得る。この式は、境界上のポテンシャルとフラックスの分布が得られている時に、領域内部の点x におけるポテンシャル値を計算する際に用いることができる。ラプラス問題や静弾性問題などでは、観測されるポテンシャル値に及ぼす境界上の解の変動の影響は距離が離れると共に小さくなるため、境界要素法によると内部の点でのポテンシャル値は精度よく計算できると考えられている。
次に、この積分方程式において、ポテンシャル値を評価する点ξを領域内部から境界上の点に移動させる。基本解u* ,q* は r = 0 で関数値が無限大に発散するため、点ξの境界上への移動は、境界積分が有限確定値となるように注意しながら、極限の意味で考える必要がある。その結果、先に示した積分方程式は、極限操作によって次のようになる。 c ( ξ ) u ( ξ ) + ∫ Γ q ∗ ( x ; ξ ) u ( x ) d Γ x − ∫ Γ u ∗ ( x ; ξ ) q ( x ) d Γ x = 0 , ( ξ , x ∈ Γ ) {\displaystyle c({\boldsymbol {\xi }})u({\boldsymbol {\xi }})+\int _{\Gamma }q^{*}({\boldsymbol {x}};{\boldsymbol {\xi }})u({\boldsymbol {x}})d\Gamma _{x}-\int _{\Gamma }u^{*}({\boldsymbol {x}};{\boldsymbol {\xi }})q({\boldsymbol {x}})d\Gamma _{x}=0,\quad \quad ({\boldsymbol {\xi }},{\boldsymbol {x}}\in \Gamma )}
ここで、c (ξ) は、点ξの境界形状から決まる定数で、境界が滑らかであれば 1/2、かど点であれば当該点での内角の大きさから与えられる。この式が境界積分方程式 (Boundary Integral Equation) であり,境界要素法の離散化の出発点となる重要な方程式である。
境界積分方程式の離散化[1][2][3]