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WASH(World Action on Salt and Health)という団体は食品の食塩量調査や、マスメディアでの減塩活動の推進を実施した[29]

ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに載せられた論文によると3.7年の調査の結果、1日7.6g - 15.2gの食塩相当の起床時の尿に基づく推定ナトリウム排出量に比べて、17.8gを超えた場合で主要な心血管疾患のリスクが15%増加、7.6g未満の場合でも27%増加と、グラフにしたときにJの字型にリスクが増えることが示されている(Jカーブ効果)。論文では高血圧の対象者のスコアを修正し、心血管疾患・糖尿病・癌の病歴のある人・喫煙者に加えて、調査開始2年以内の発症者を除いても考察は変わらないが、それでも逆因果関係の存在を否定出来ないとしている[30][31]

微弱な電気を流すスプーンや器などで塩味を強める仕組みや[32]塩化カリウムなどの塩化ナトリウム以外の塩味を感じる調味料の使用などが行われる[33]。中国では塩が貴重であった地域において、トウガラシと醸造酢を塩の代わりとし[34]、研究でも酸味やカプサイシンによる辛味で塩味を増強し減塩効果となることが確認された[35]。また、研究ではバジルによって塩味が増強されることが判明している[36]

減塩の最も簡単な方法は、外食よりも家庭で調理し、スパイスを使い、塩を使わないことである[37]

WHOによる『減塩に関するファクトシート』で、よくある誤解が解説されている[38][39]
過剰摂取

地球上の多くの生物は適量のナトリウムがないと生命を維持することができず、その供給源である塩は生命にとって欠かせないものである。特に陸生動物にとっては塩分の補給は重要であり、塩分を含む土壌や岩石からでも摂取する必要があった。

人類は発汗能力を発達させた代償に他の動物以上に多くの塩分を必要としており、塩味に対する嗜好も強い。狩猟採集時代は動物の血肉に含まれる塩分に頼っていたが、農耕が始まり穀物や野菜中心の食生活になると(野菜に含まれるカリウムによるナトリウム排出作用もあって)海水や湧水からの製塩岩塩採掘により塩の採取を行う様になった。しかし調味料として食物に塩をふんだんに利用するようになる[40] と、塩分の取り過ぎが高血圧(食塩感受性高血圧要参照)や腎臓病心臓病脳卒中などの遠因となった。そのメカニズムは完全に解明されてはいないが、一般には血中のナトリウムイオン濃度を一定範囲に保つため水分を取るようになり、血液を含む体液の量が増え血圧が高まるとともに、これを体外に排出する機能を司る腎臓に負担がかかるためとされている[41][42]

塩蔵された食品は胃癌のリスクが高まるとされる[43]。例えば、2007年11月1日世界がん研究基金アメリカがん研究協会によって7000以上の研究から分析したがん予防の報告書[44] では、中国広東式の塩蔵の魚は鼻咽頭癌のリスクを上げると報告している。

また動物実験では、N-メチル-N-ニトロソウレアと食塩とヘリコバクター・ピロリを同時に投与すると有意に胃癌が増えることが示されている[45]。厚生労働省による研究では、塩分濃度の高い食事を日常的に摂取する人たちは、そうでない人たちに比べて胃癌となるリスクが高いことが統計的に示されている[46]

ハーバード大学医学部によると、ナトリウム摂取量を追跡する人は、食事中のナトリウムの量を減らすことでより成功する[47]
摂取不足

しかし現在では、塩分の過剰摂取を恐れるあまり塩分を控える人が多くなったため、極端な塩分の制限により塩分の不足が起きることがある。大量の発で水分とともに塩分が流れ出てしまった場合など、昏睡状態となって病院に運ばれる者や死亡する者も出ている。命を取り留めても、慢性的に塩分が不足していた場合、血中のイオン濃度を低いレベルで一定範囲に保とうとするように体が変化してしまっているため、一般的な塩分の補給量ではすぐに塩分が排出されてしまう。このため長期間にわたって塩分を大量摂取する治療を行わなければならなくなる。

また、上記ほどの塩分の不足でなくても、炎天下の運動の際等、汗をかいた際には水分だけでなく塩分も排出されるが、それにも拘らず水分だけを補給すると血中のイオン濃度が低くなる。体は血中のイオン濃度を一定範囲に保とうとさらに汗をかいたり排尿しようとしたりするため、さらに水分不足となり熱中症や痙攣を引き起こす場合もある。そのため、高温環境下で作業を行う鋳物工場などでは、作業員の塩分補給用に食塩が置かれている。猛暑時に野外作業やスポーツをする人向けに、塩分入りドリンクや経口補水液、塩、1個ずつ包装された梅干しなどが販売されている。
用途道路に除雪のため塩を散布するための車(fr)。20世紀になってから使用されるようになったが、地下水の塩濃度を高め飲用水として適さなくするとして問題となっている[48]。詳細は「塩化ナトリウム」を参照

アメリカ地質調査所が2023年に公表した用途のデータでは、道路の除雪に塩の消費量全体の約42%、塩素・苛性ソーダなどの化学製品の原料に約39%、卸売業者9%、食品加工業4%、農業3%、産業用2%、primary water treatment 1%である[49][50]
食品

塩味調味料 - 食卓塩

保存のために食品を塩漬けにする。岩塩には、食中毒の原因となるボツリヌス菌などを抑制する亜硝酸ナトリウムが含まれ、長期間保存するハムなどに利用された。

料理における塩
調味料についての日本の語呂合わせに「さしすせそ」というものがあり、「さとう、しお、す、しょうゆ、みそ」から取っている。

振り塩

化粧塩

立て塩

塩焼き - 塩だけで味付けされた魚などを焼く料理

塩釜焼き

塩の保存・配膳.mw-parser-output .ambox{border:1px solid #a2a9b1;border-left:10px solid #36c;background-color:#fbfbfb;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .ambox+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+link+.ambox{margin-top:-1px}html body.mediawiki .mw-parser-output .ambox.mbox-small-left{margin:4px 1em 4px 0;overflow:hidden;width:238px;border-collapse:collapse;font-size:88%;line-height:1.25em}.mw-parser-output .ambox-speedy{border-left:10px solid #b32424;background-color:#fee7e6}.mw-parser-output .ambox-delete{border-left:10px solid #b32424}.mw-parser-output .ambox-content{border-left:10px solid #f28500}.mw-parser-output .ambox-style{border-left:10px solid #fc3}.mw-parser-output .ambox-move{border-left:10px solid #9932cc}.mw-parser-output .ambox-protection{border-left:10px solid #a2a9b1}.mw-parser-output .ambox .mbox-text{border:none;padding:0.25em 0.5em;width:100%;font-size:90%}.mw-parser-output .ambox .mbox-image{border:none;padding:2px 0 2px 0.5em;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-imageright{border:none;padding:2px 0.5em 2px 0;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-empty-cell{border:none;padding:0;width:1px}.mw-parser-output .ambox .mbox-image-div{width:52px}html.client-js body.skin-minerva .mw-parser-output .mbox-text-span{margin-left:23px!important}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .ambox{margin:0 10%}}

この節の加筆が望まれています。

精製塩には業務用と家庭用があり、業務用は無添加だが、家庭用は塩の固化防止剤として炭酸マグネシウムを添加している[13]

塩を保管する際には吸湿などを防ぐために調味料シェーカー(英語版)(塩入れ)、ソルトセラー(英語版)などの容器で保管される。また、岩塩を削って粗塩のような粒度の大きい塩を食品にかけられるソルトミル(ドイツ語版)なども使われた。

塩は金属をサビさせるため、サビない木や陶器や金や銀の器、塩俵[51]、毛織物、角・牙で作った容器、動物の胃袋や膀胱等で作った袋などに入れた。イランの遊牧民ではナマクダンと呼ばれる動物が勝手に塩を取らないよう口がすぼまった毛織物袋に入れて塩要求がある家畜を引き連れていた[52][53]

日本においては、手塩皿(てしおざら)、おてしょと呼ばれる小皿に少量盛って味付けを調整した[54][55]

こういった塩入れは、塩が貴重だった時代のヨーロッパでは、上座の前にのみ置かれ、下位に渡されていくため、身分とステータスを示すものであったため豪華であった。その慣例から、慣用句 above the salt は上座に座っていることを示す[56]

調味料シェイカーに入った食塩

Cellini Salt Cellar(英語版)

16世紀、神聖ローマ帝国帝都ニュルンベルクのソルトセラー

フランスの椅子。


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