この項目では、地球科学における「塩分」「塩分濃度」について説明しています。その他の分野については「塩分」をご覧ください。
塩分濃度(えんぶんのうど、英: salinity)は、水に溶けている塩(えん)の量である。ここで言う「塩分」とは、塩化ナトリウム(NaCl) だけでなく、硫酸マグネシウム(MgSO4) や硫酸カルシウム(CaSO4)そして炭酸水素塩などの塩類を含める場合が多い。
オーストラリアや北アメリカでは、この語が往々にして土壌に含まれる塩分を示唆し得る。 水(H2O)中に溶けている陰イオンの中で最も濃度が高いハロゲン化合物(特に塩化物)の濃度が指標として着目される場合も多く、これはハリニティ(英: halinity)と呼ばれる[1]。 塩分濃度は、単位体積または単位質量に対して水(H2O)に溶解している塩分(正確には溶解している固形物質全て)の量である[2]。両者の値にそれほど大きな差は発生しない[3]が、正確な値が必要な場合にはその区別に注意する必要が有る。 塩分濃度は周りに住む生物にとって極めて重要である。 例えば、地表の水溜りだけではなく地下水もまた陸上植物に影響を与える。塩分濃度が高い環境に適応している塩生植物や極限環境微生物の好塩菌にも塩分濃度は甚大な影響を持つ。なお、塩分濃度が大きく変化しても生きていける生物は好塩性
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勿論ながら、人間にとっても塩分濃度の影響は重大である。水(H2O)を摂取する場合には、その塩分濃度が体内の塩分濃度よりも低くなければならない。しかし、塩分を除去するには非常に手間を要する手順が必要となる。 海洋学では、塩分濃度は、絶対塩分と呼ばれる、質量に対する千分率(単位;‰またはppt)[4]が伝統的に用いられてきた。これによって、水(H2O)は淡水・鹹水(汽水・海水)・塩水に区分される。なお、「塩分濃度」のように濃度を付けるのは誤りで、単に塩分という単語を使うべきだという意見もある[5]。 かつては、塩分濃度は硝酸銀滴定や蒸発残渣の量で求められることが多かったが、これはいずれも手間が掛かるうえに正確な測定も困難だった。1960年代以降は、液体用の電気伝導率の測定が発達したため、それは試料と標準海水(英: primary standard water)の電気伝導率を検塩計で比較して求めることが多くなった。当初は、「海洋調査常用表」[6]の編纂者であるマルティン・クヌーセンらによって1900年に国際海洋探求会議
絶対塩分と実用塩分尺度
因みに、日本は、戦前に輸入途絶という事態に絡んで、独自に「日本標準海水」の作成を試みた歴史[8]が有る。また、遣独潜水艦作戦においてドイツ軍占領下のコペンハーゲンから標準海水5アンプルを入手しており、「日本標準海水」の検定に用いたと考えられている[10]。
その後の1978年に、海洋学者は、標準海水の替わりに、塩化カリウム(KCl) の標準液を作成して試料とそれとの電気伝導率の比率で塩分濃度を表す実用塩分尺度(PSS)(英: Practical Salinity Scale)を提案した[11][12]。この単位は無次元であり、通常は千分率で表記される。時にPSU(実用塩分単位)(英: Practical Salinity Unit)として表記される場合もある[5]。
絶対塩分による区分分類淡水(英: fresh water)鹹水(英: salty water)塩水(英: briny water)
汽水(英: brackish water)海水(英: marine water)
塩濃度< 0.05 %0.05 % - 3.5 %3.5 % - 5%> 5 %
なお、他分野においては、例えば、物理化学では溶媒に対する千分率が用いられ、分析化学では溶液に対する比重量で塩分濃度が表されていた。