堅固に保護された条項
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この保護のための抑制の仕組みは、アイルランド人による総督への勧告の掌握により、また上院(en:Seanad_Eireann_(Irish_Free_State))が妨げであると証明したときに、削除された。
マレーシア

別の例として、マレーシア憲法(en:Constitution of Malaysia)の一部の保護がある。それはマレーシア憲法の一部でマレーシアの社会契約(en:Social_contract_(Malaysia))に関する部分であって、中国系(en:Chinese_Malaysian)およびインド系(en:Indian_Malaysian)の実質的な移民に対して、現地のマレー人の特別な地位を認めることの代わりに市民権を保護することを明記している。マレーシア憲法には、当初は条項の保護はなかった。それどころか、後に保護対象となった項目の一つ第153条は、当初は失効することを意図されていた。しかし、人種問題の暴動(en:May_13_incident)が1969年5月13日に発生した後、1971年に議会は憲法改正を通過させた。この改正で第152条、第153条、第181条、および第3部に異議を唱えることを犯罪として扱うことが認められた。

第152条はマレー語公用語としている。第153条はマレー人の特別な特権を認めている。第181条はマレー人の支配者(複数)(en:Malay rulers)の地位を扱っている。そして第3部は市民権に関する事項を扱っている。制限は議会のメンバーにもおよび、憲法のこれらのセクションの改廃について、事実上修正不可能にしている。しかし、それらをさらに保護するために、第159条(5)の改正がされた。それは憲法改正に関する内容であり、第159条(5)と同様に、統治者たち(マレー州の統治者(複数)および他の州の知事で構成される、選挙で選ばれたのではない会)の協議会(en:Conference_of_Rulers)の同意なしには、前述の複数の項目の改正を禁止している[10]
モロッコ

モロッコ憲法(en:Constitution of Morocco)には、永遠の条項が存在し、いくつかの規定が改変不可能であることを保障している。その中には、イスラム教国教としての役割、および法律におけるモロッコ国王(en:King of Morocco)の役割が含まれている[11]
南アフリカ

南アフリカ連邦の最初の憲法も、改変からの保護に失敗した例となる。この憲法の堅固に保護された条項は、いくつかの有色人種を含めて選挙権を保護していた。しかし、有色人種選挙権の憲法危機(en:Coloured vote constitutional crisis)として知られている、上院と最高裁判所を政府の支持者で固めた事件の後、彼らは選挙権を失った。
トルコ

トルコ憲法(en:Constitution of Turkey)の第1部の第4条には、「第1条の共和国としての形態を制定している規定、第2条の共和国の特性についての規定、および第3条については、改正されるべきでなく、改正が提案されるべきでない」と記述されている。
アメリカ合衆国

アメリカ合衆国憲法の認められない改正(en:inadmissible constitutional amendments)の例として、第5条(en:Article Five of the United States Constitution)は二つの堅固に保護された条項を含んでいる。

一つは、国際的な奴隷貿易に関してあらゆる憲法改正を禁じていた。この条項は1808年に失効した。

もう一つは今でも有効で、「各州は、同意なしには、上院での平等な選挙権を奪われない」と書かれている。この条文は、上院の構成を変える改正は満場一致の承認を要すると、解釈されてきた[12]

しかし、条文は、もし各州の平等な代議権が維持されるならば、上院の規模は通常の改正より変更可能であると、示している。この条項は、それ自身を保護していないように見える。つまり、それに明記された文言で自身の改正ないし廃止を禁じていない。ゆえに、誰かが、まずこの条項の廃止を行い、そして続く改正で上院の平等を廃止することが可能である。

奴隷制に関する憲法改正を禁じる内容のコーウィン改正(en:Corwin_Amendment)(1861年)も、堅固に保護された条項となる可能性があったかもしれない。
イギリス

イギリスは、これまで軟性憲法の例とされており、議会主権すなわち「エントレンチメント(entrenchment)の禁止」が当然であった[13]。しかし、EUとの関係において、例えば基本的人権は議会といえども侵害できないと明言されるべきものとなり、2005年に最高裁判所に法律を審査する権限が付与された。詳細は「en:Constitution of the United Kingdom#Parliamentary supremacy」を参照

この結果、イギリスにおいても議会主権の例外となる硬性化/堅固な保護が生まれたとする見解がある[14]
日本「憲法改正論議」も参照

日本国憲法が作成された過程において、国民に保証する権利などについて改正を不可能とする条項が、検討された[15]。また、別の案として、特定の章についてのみ改正に国民投票を要するとしたものもあった[16]。しかし民政局での議論等を経て最終的には、どの条文の改正も同じルール(国民投票を要する)とする内容となった[17]
企業の規定

法人の規約にも堅固に保護された規定が設けられることもある。ある種の株式会社(en:Company_limited_by_guarantee)の定款および規約はその例であり、共有制の原則が堅固に守られていることがある。この慣行は、会社のメンバーが会社を解散すること、資産をメンバーで分配することを、ほぼ不可能にする。この考えは、英国で最近、アセットロック(en:asset lock)を具体化するCIC(en:community interest company)の発明により拡張されている。
脚注^ 二本柳高信「エントレンチメントと合衆国憲法の契約条項」『産大法学』第46巻第4号、京都産業大学法学会、2013年2月、3頁、.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}CRID 1050001337417728896、hdl:10965/866、ISSN 02863782。 
^ Gunlicks, Arthur B. (2003). The Lander and German federalism. Manchester University Press. p. 146. ISBN 978-0-7190-6533-0.
^ 佐藤潤一訳、スリ・ラトナパーラ『 ⇒議会制民主主義を機能させる権利章典:カント学徒,帰結主義者,並びに制度主義者の懐疑主義』大阪産業大学 教養部、2013年、訳者注釈
^"Weblio辞書 英和和英"
^ Speech by the Hon. David Jull, MP ? Minister for Administrative Services 2001 ⇒[1]
^ Anne Twomey. ⇒Manner and Form
^ エジプト憲法第 (英語) 
^ https://www.egypttoday.com/Article/2/68378/Before-vote-Know-about-powers-granted-to-president-by-constitutional
^Honduran Constitution “Republic of Honduras: Political Constitution of 1982 through 2005 reforms; Article 374” (Spanish), Political Database of the Americas (en:Georgetown University), ⇒http://pdba.georgetown.edu/Constitutions/Honduras/hond05.html Honduran Constitution 
^ Khoo, Boo Teik (1995). Paradoxes of Mahathirism, pp. 104–106. Oxford University Press. ISBN 967-65-3094-8.
^ Gerhard Robbers (2006). Encyclopedia of World Constitutions. p. 626. ISBN 978-0816060788. https://books.google.co.jp/books?id=M3A-xgf1yM4C&pg=PA626&lpg=PA626&source=bl&ots=YdnxLlYGpo&sig=6JeZzSC2H1Ms2nzztB6w7F1N7H8&hl=en&sa=X&ei=CLNJULKMOYXL0AWJ6YHICw&redir_esc=y 
^ Chico State Inside: ⇒Alan Gibson, "It Is Broken, but No One Wants to Fix It: A Call for Reform of the United States Constitution", accessed July 18, 2011


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