埼玉県
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

県の東部は東武伊勢崎線[注釈 6]東武日光線首都圏新都市鉄道つくばエクスプレスと第三セクターの地下鉄である埼玉高速鉄道線が、県の西部は東武東上本線西武新宿線西武池袋線西武秩父線がそれぞれ東京都心に直結している。東武伊勢崎線と東武日光線は東京メトロ日比谷線東京メトロ半蔵門線[注釈 7]に、埼玉高速鉄道線は東京メトロ南北線[注釈 8]に、東武東上本線と西武池袋線は東京メトロ有楽町線東京メトロ副都心線[注釈 9]に乗り入れる(西武池袋線は西武有楽町線経由で乗り入れ)。

このように東京都心に直結して県内を南北に縦断する路線が多い反面、県内を東西に横断する路線は少ない。このうち県南部を横断して多数の路線と接続する武蔵野線が最も輸送人員が多く、JR東日本の東京メガループの対象路線に指定されている。さらに、武蔵野線の貨物線を活用した大宮駅への直通運転(むさしの号・しもうさ号)も行なわれている。同じく県南部の横断路線では、大宮駅に接続する東武野田線および川越線が該当するが、東武野田線は春日部駅以東に、川越線は日進駅以西に単線区間を残している。なお、川越線は「日本一混雑する単線路線」として知られる。坂戸駅から西側に分岐する東武越生線は2008年からワンマン運転が行われているが、南側にある川越線よりも運転本数は多い。熊谷駅に接続する秩父鉄道秩父本線は、羽生駅から秩父市方面へ県北部を横断しているが、全線単線で利用者数が少なく、県が設備整備に対して補助金を交付している[241]

県の西部を南北に縦断する全線単線の八高線は、高麗川駅を境に電化区間と非電化区間に分けられており、高麗川駅より北側は県内で唯一の非電化区間である。したがって、運行系統は高麗川駅で完全分断されており、高崎駅方面は事実上すべての列車が同駅始発となる。同様に川越線も川越駅で運行系統が終日完全分断され、東側は同駅を始発として大宮駅から埼京線・りんかい線へ、西側も同駅始発として高麗川駅から八高線を経由し県境を跨ぎ八王子駅まで乗り入れている。

所沢駅の隣駅である西所沢駅から西側に分岐する西武狭山線は、戦前から行楽客輸送のための観光路線であったが、1970年代に買収により福岡市から移転して来たプロ野球(NPB)球団・西武ライオンズの本拠地(ファームチームも同様)として建設した西武ライオンズ球場へのアクセス路線に変貌した。更に、西武新宿線側(西武拝島線西武多摩湖線経由)のアクセス路線として、関東の大手私鉄としては唯一の軽便鉄道軌間の観光路線だった西武山口線を新交通システム路線に改修してこれに対応した。西武山口線は後に「レオライナー」の愛称が付けられ、西武池袋線側からも西武園ゆうえんちへのアクセス路線として、最寄駅である西武園ゆうえんち駅へ接続している。埼玉西武ライオンズの準本拠地である県営大宮球場、隣接する大宮アルディージャ大宮アルディージャVENTUSの本拠地であるNACK5スタジアム大宮へは、大宮駅または東武野田線北大宮駅大宮公園駅がそれぞれ最寄駅となる。浦和レッズの本拠地である埼玉スタジアム2002へは埼玉高速鉄道線浦和美園駅が最寄駅となるが、浦和駅からシャトルバスで向かうサポーターが多い。三菱重工浦和レッズレディースの本拠地・浦和レッズの準本拠地である浦和駒場スタジアムは、北浦和駅が最寄駅となる。埼玉ワイルドナイツの本拠地である熊谷ラグビー場(練習フィールドのさくらオーバルフォートも含む)へは、熊谷駅からのシャトルバス(主にラグビーロードのルートが多い)がアクセス手段となる。また県内に本拠を置くプロ野球(NPB)球団のファームチームとして、東京ヤクルトスワローズヤクルト戸田球場千葉ロッテマリーンズロッテ浦和球場へは共に武蔵浦和駅が最寄駅となっている(いずれも将来的に移転計画が発表されている)。

2022年度現在、県内で朝ラッシュ時の混雑率が最も高い路線は埼京線の149%であり、最混雑区間は板橋駅池袋駅間である、次いで武蔵野線東浦和南浦和間、148%である[242]。2010年度まで混雑率が200%を超えていたが、広幅車体の導入により2014年度に190%を下回った。京浜東北線の南行は長い間上野駅御徒町駅間で200%を超えていたが、2014年度に上野東京ラインが開業したことで同区間の混雑が大幅に緩和され、2015年度から最混雑区間が川口駅 → 赤羽駅間に変更された。当初は貨物線として計画された武蔵野線はラッシュ時の本数が少なく、2006年度まで混雑率が200%を超えていたが、本数の増加により2015年度に180%を下回った。

東武伊勢崎線は1974年に関東私鉄で初めて複々線化を行い、2001年に北千住駅 - 北越谷駅間、2021年現在、JR以外では最長の18.9kmで複々線化が完了した。朝ラッシュ時は東急田園都市線京王線と匹敵する輸送量を記録しているが、混雑率は160%を下回る。1974年の北千住駅 - 竹ノ塚駅間の複々線化竣工前の1969年度の秋季交通量調査では、朝ラッシュの最混雑区間である小菅駅 → 北千住駅間の混雑率は248%を記録し、当該年度では大手私鉄の路線で最高値を計上していた[243]。西武池袋線は千鳥停車を採用して速達性を確保しつつ混雑の平準化を図ったが、1993年度まで混雑率が200%を超え、当時の関東私鉄で小田急小田原線と匹敵して最も混雑率が高い路線だった。1994年に西武有楽町線の全線が、1997年に都営地下鉄大江戸線新宿駅まで延伸開業したことで輸送量が減少し、2000年度に混雑率が170%を下回った。

東武東上本線は1962年から特急車両が存在しなかったが、2008年に関東私鉄で初めてクロスシートとロングシートに転換できるマルチシート車両を導入した。ラッシュ時はクロスシートでTJライナーなどの優等列車に充当し、日中はクロスシートで優等列車(川越特急)、ロングシートで一般列車の運用に充当する。2017年に西武池袋線でも同様の機能を持つ車両を導入し、S-TRAINとして平日は東京メトロ有楽町線に、土休日は東京メトロ副都心線・東急東横線経由で横浜高速鉄道みなとみらい線に直通する。東武伊勢崎線でもTJライナーと同様の車両を2020年に導入して、東京メトロ日比谷線に直通するTHライナーの運行を開始した。

地下鉄事業者の東京メトロは上記の通り大手私鉄や準大手私鉄路線との直通運転で当県に乗り入れているものの[注釈 10]、同じように大手私鉄や準大手私鉄路線などと相互直通運転を行っている都営地下鉄神奈川県千葉県に乗り入れてるものの、東京都に隣接している大手私鉄路線の運用エリアの当県には唯一乗り入れていない。
バス乗合バス事業者の一覧については「関東地方の乗合バス事業者」を参照

川口市周辺は国際興業バスが、秩父市周辺は西武観光バスが路線バスを一手に引き受けているが、それ以外の地域では路線の競合が見られる。県内最大のターミナル駅である大宮駅では、東口に国際興業バスと東武バスが、西口に東武バスと西武バスがそれぞれ乗り入れている。

東武線・東上線沿線は東武バスが、西武線沿線は西武バスが多数の路線を担っている。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:364 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef