埴谷雄高
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これに対し普段は温厚な埴谷が「お前になんか殺されてたまるか!」と電話口で激怒すると、その中上の電話は不意に切れたという[10]

他の作家や編集者から「埴谷先生」と呼ばれると、「私は人にものを教えている訳ではありませんから、先生ではありません。『埴谷さん』でいいです」と常に答えていたという。

文庫本は発表後1世紀以上を経た作品のみにすべきとの考えから、自分の作品は文庫化しないと公言していた。事実、生前には文庫本は一切出される事はなく、没後『死靈』と『埴谷雄高評論選』が文庫化された。

埴谷は妻の死後に武蔵境の自宅を@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}講談社の子会社・音羽建設[要検証ノート]へ売却。その売却益で生計をたてていた。そして「群像」へ「死霊」の原稿を書き告ぐ約束でそのまま武蔵境の自宅に住み続けた。

18歳の時、演劇をしていた頃、素人女優に一目惚れされて「惚れたんなら来ればいいだろう」の一言で結婚した。のちに「女房よりいい女がたくさんいる」ことに気づき、後悔した時に日本共産党に入ったという[11]。のち、40歳を過ぎてから結核が治ったので、おくてながら遊蕩を始めたという[12]

「自分でいろんなことを考える決着がつくまでは子供は作らない」との思いから、戦前に妻が3回ほど妊娠した際も、出産を望まなかった。堕胎が犯罪とされていた時代だが妻は医者を見付けて堕胎し、その後、子宮の不調から戦時中に子宮を摘出したため、その後も子をなすことはなかった。妻は子供を産まなかったのを恨み、埴谷も「女房は非常に気の毒だ」と振り返ったが、戦後になって妻は「子供がなくてよかった」と言ったこともあるという[13]

著書
単著

フランドル画家論抄』洸林堂書房、1944(宇田川嘉彦名義)

ロダン』洸林堂書店、1942(作品編著、宇田川嘉彦名義)


『死靈』第1 真善美社 1948

『不合理ゆえに吾信ず Credo, quia absurdum.[アフォリズム集]』月曜書房 1950、現代思潮社 1961

『濠渠と風車』[評論集]未來社 1957

『鞭と独楽』[評論集]未來社 1957

『幻視のなかの政治』[評論集]中央公論社 1960、未來社 1963

『虚空』[小説・戯曲] 現代思潮社 1960、新版1973

『墓銘と影絵』[評論集] 未來社 1961

『罠と拍車』[評論集] 未來社 1962

『垂鉛と弾機』[評論集] 未來社 1962

『闇のなかの思想?形而上学的映画論』三一新書 1962、潮出版社 1978 増訂版

『甕と蜉蝣』[評論集] 未來社 1964

『振子と坩堝』[評論集] 未來社 1964

『ドストエフスキイ?その生涯と作品』日本放送出版協会NHKブックス〉1965。ラジオでの講話

『弥撒と鷹』[評論集] 未來社 1966

『影絵の世界?ロシア文学と私』平凡社 1967、筑摩叢書 1991、平凡社ライブラリー 1997。自伝エッセイ 

『渦動と天秤』[評論集] 未來社 1968

『闇のなかの黒い馬 夢についての九つの短篇』[小説] 河出書房新社 1970

『姿なき司祭 ソ聯東欧紀行』河出書房新社 1970

『埴谷雄高作品集』全15巻別巻1 河出書房新社 1971-1981

「作品集 第10巻 ドストエフスキイ論集」1987 


『欧州紀行』中公新書 1972

『埴谷雄高評論選書』全3巻 講談社 1973、講談社文芸文庫 2004(立石伯編)

第1巻 政治論集、第2巻 思想論集、第3巻 文学論集


『死靈 定本』(1-5章)講談社 1976

『石棺と年輪?影絵の世界』[評論集]未來社 1976

『戦後の文学者たち』[作家・評論集]構想社 1976

『影絵の時代』[随筆集] 河出書房新社 1977

『蓮と海嘯』[評論集] 未來社 1977

『薄明のなかの思想 宇宙論的人間論』筑摩書房(ちくまぶっくす) 1978

『埴谷雄高ドストエフスキイ全論集』講談社 1979

『光速者 宇宙・人間・想像力』[評論集]作品社 1979

『埴谷雄高準詩集』水兵社 1979

『内界の青い花 病と死にまつわるエッセイ』[随筆集] 作品社 1980

『天頂と潮汐』[評論集] 未來社 1980

『死靈 六章』講談社 1981

死霊T、死霊U 講談社 1981、同時期に刊(1-3章と4-6章)


『戦後の先行者たち 同時代追悼文集』影書房 1984

『暈と極冠』[評論集] 未來社 1984

『死靈 七章』講談社 1984

『死靈 八章』講談社 1986

『ラインの白い霧とアクロポリスの円柱』[紀行・評論集] 福武書店 1986

『謎とき『大審問官』』[評論集] 福武書店 1990

『雁と胡椒』[評論集] 未來社 1990

『滑車と風洞』[評論集] 未來社 1991

『虹と睡蓮』[評論集] 未來社 1995

『螺旋と蒼穹』[評論集] 未來社 1995

『死靈 九章』講談社 1995

死霊V  講談社 1996(7-9章)


没後刊行


『埴谷雄高エッセンス』(編・石井恭二)河出書房新社 1997

『散歩者の夢想』角川春樹事務所(ランティエ叢書)1997


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