地震
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一方で群発地震の場合は、応力が比較的緩やかなスピードで増加することで地震が多数発生すると考えられている[11]
地震発生のきっかけ

地震発生までのメカニズムは徐々に明らかになっているが、地盤や岩盤に溜まった応力の解放を促している引き金が何であるかはほとんどが謎のままになっていて、はっきりとした特定はなされておらず、様々な説が展開されている。この引き金に関しては、相関性の比較により統計学的に相関を見出すことは可能であるが、それが因果関係であるかを同定するのは地震学的な研究に頼るもので、分野が少し異なる。
水分の流入
兵庫県南部地震フィリピン海プレートから生じた水によって誘発されたという説がある[12]。また東北大学によれば、新潟中越沖地震[13]岩手・宮城内陸地震など複数の地震は断層直下のマグマが冷えたことで発生した水分が潤滑油の役割を果たし引き起こされたという[14][15]。この他、7つの火山島からなるアゾレス諸島では雨が降ると2日後に小さな地震が起こったり[16]、鉱山の水没域では雨水が流れ込むことで地震を誘発したりする例もある[17]海洋プレートが沈み込んだスラブでは、カンラン石が高圧力環境で熱水と反応し脆い滑石を含んだ蛇紋岩化する[18]。滑石への変化と圧力勾配の変化が地震発生の原因となるという発表もある[19][20][21]
潮汐力
潮汐#地震との関係」も参照太陽との潮汐が発生の引き金になるとの見方もある。特に、満月新月時に強まった潮汐力が地震を誘発する可能性が指摘されており[22][23]スマトラ島沖では2004年の地震の8年前から潮汐力が強まった時間帯に地震が集中していたことも判明している。また、東北地方太平洋沖地震の誘発地震とみられる一連の長野県北部(栄村)地震では、約50 %という高い相関で潮汐による影響が確認されており[24]、さらに東北地方太平洋沖地震の震源域においても断層が動く方向にかかる潮汐力の強さと地震発生数(Mw5以上)の相関関係が2000年頃を境に見られ始め、本震(2011年)の数年前より顕著となったが、本震発生後には再びこの関係性が見られなくなっている[25]防災科学技術研究所では、歪みが溜まっている地域に関して潮汐力が地震の引き金になっている可能性が高いとしている[26]。この他、東京大学の地震科学研究グループらのは1万件以上の地震データから、潮汐力の強い時期に巨大地震の発生確率が上昇するという研究結果を英科学誌ネイチャー ジオサイエンス」(2016年9月12日付電子版)に発表し、小さな岩石の破壊が潮汐力によって大規模な破壊へと発展していく可能性を示唆した[27][28]
地震(誘発地震
大地震においては、遠地に地震波が到達し揺れている最中に地震が誘発されることがある。表面波の到達時に見られることが多く、これは動的な応力変化が原因とされている[29][30][31]。また、遠く離れた場所で発生した地震の地殻変動が動的な応力変化を生じ、時間をおいてからも別の地震を誘発するという研究報告がある[32]
地震の規模と揺れの指標
マグニチュード詳細は「マグニチュード」を参照

一般的に、地震の規模を表す指標としては、エネルギー量を示すマグニチュードを用い、「M」と表記する。マグニチュードには算定方法によっていくつかの種類があり、地震学では各種のマグニチュードを区別するために「M」に続けて区別の記号を付ける。地震学ではモーメントマグニチュード (Mw) が広く使われる。日本では気象庁マグニチュード (Mj) が広く使われる。

他にもそれぞれの観測機関によって使用されるマグニチュードのタイプが異なる場合もあるが、その値は差異ができるだけ小さくなるように定められている。これらは最初にマグニチュードを定義したチャールズ・リヒターのものの改良版であり、基本的に地震動の最大振幅の常用対数を基礎とする。モーメントマグニチュードを除き、いずれのタイプも8.5程度以上の巨大地震超巨大地震ではその値が頭打ちになる傾向を持つ[33]

この弱点を改善するために、地震学では地震モーメントから算出されるモーメントマグニチュード (Mw) が地震の規模を表す指標として用いられることが多く、これを単に「M」と表記することも多い(アメリカ地質調査所 (USGS) など)。

日本では、気象庁が独自の定義による気象庁マグニチュード (Mj) を発表しており、日本ではこれを単に「M」と表記することも多い。これに対し、多くの国では表面波マグニチュード (Ms) や実体波マグニチュード (Mb) のことを、単にマグニチュードと呼ぶことが多い。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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