地雷
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70-130kgほど、または100-300kgほど[3]の垂直加重で起爆するようにされており、これは、武器などを携帯した兵士が踏んだだけでは起爆せずに、車両が通過するときに爆発させて攻撃するためである。磁気吸着式により、車両に吸着させるタイプや、有人管制により手動で起爆させるタイプもある。敵による地雷除去を防ぎ、破壊力を上げるために、複数の対戦車地雷を重ねて、あるいは対人地雷とセットで埋設されることがある。人間が踏んでも起爆装置の中心点を踏めば起爆しないが、少しでも中心点を外れた部分を踏めばテコの要領で起爆する重量に達してしまい起爆してしまう。そのため、現在[いつ?]の陸上自衛隊での教育時にも、対戦車地雷だからと言って踏んでも問題ないわけではないことを十分に教育している。

対戦車地雷に対抗するためには、車両底部の装甲を厚くしたり、二重にする、車両床を高い位置にし爆風を逃がすV字型にする、装輪車であれば車輪の数を増やすなどの方法がある。

爆薬が不足している武装勢力においては、榴弾砲迫撃砲砲弾航空爆弾を地面に埋め込み、対戦車地雷として利用した例がある。

第二次世界大戦中の日本軍の場合、兵士が地雷や爆発物を背負って敵戦車の前に身投げしたり、タコツボ(一人用の)内で爆弾を抱えてうずくまり、敵の接近に合わせて信管を叩いて起爆させる「人間地雷」戦術を実行している。また、ソ連軍は、エンジンをかけた自動車の下で餌を与えることにより、条件反射で自動車の下にもぐりこむように訓練したイヌに爆薬をくくり付けてドイツ軍の車両を破壊する地雷犬を実戦に投入している。さらに、各国でも地雷を埋めておくだけではなく、兵士が自陣を蹂躙する敵戦車の履帯前に投げ出す、棒や板の先に付けて突き出す、ロープに結んでおき離れた場所から引き出す、時限式信管を取り付けて機関部やハッチの上に載せたり車体の下に投げ込むなどして破壊するという戦術も取られた。

パレスチナでは、重装甲で知られるイスラエル国防軍メルカバ Mk.3戦車を、遠隔操作により地中に埋めた手製の爆薬で、イラクでは対戦車地雷を積み重ねることによりアメリカ軍M1A2SEP エイブラムス戦車を、完全に撃破した事例がある。
対人地雷対人地雷の一種、クレイモア地雷PFM-1空中撒布地雷の模擬弾

近代の主な対人地雷 (Anti-personnel mine) には、踏みつけた人間のの踝(くるぶし)や脛を吹き飛ばす小型で低威力の爆風型地雷や、仕掛け線や踏圧などで信管が作動すると最初に少量の火薬で炸裂部を1-2mほどの高さに打ち上げ、続いてそれが炸裂することで内部の鋼球などを撒き散らして周囲数十mの敵を倒す方式の、対人地雷としては比較的大型の破片式の跳躍地雷と呼ばれるものなど、一般には地下に埋設する形式が多いが、これらとは別に、物陰などに固定しておき仕掛け線などを用いて信管が作動すると主に水平方向に扇状に鋼球などを撒き散らして殺傷する、破片式でも地上設置型のものがある[3]

炸裂した時、一定の方向に扇形に散弾を発射する性質(指向性)を持った地雷(クレイモア地雷など)を指向性対人地雷、または指向性散弾といい、危害範囲が非常に広いのが特徴である。これは地中に埋設するのではなく、付属した簡易な三脚や四脚に載った形で地上に設置され、水平方向に散弾や弾片を射出する。また、張られたワイヤーに兵がひっかかることで作動するだけでなく、遠隔操作で任意のタイミングで炸裂させることもできる。これにより兵が密集していた場合、一度に10名以上が殺傷されることもある。

安価で数多く使われる小型のものは、敵兵の即死による殺害ではなく負傷による無力化を目的としている。敵兵1人の即死はそのまま兵力の1減であるのに対し、1名が重傷を負えば看護や後送にも人員が割かれるため、前線兵力は2以上減となり、また、苦痛を訴え続ける味方兵の存在は、戦意高揚を困難にする要素となる。

小型の地雷は、空中投下によって撒布することが可能である。しかし、正確な撒布場所が分からなくなるので被害を出しやすい危険な方法である。広く流布した話に「小型地雷に子供の興味を引くぬいぐるみやおもちゃのようなものを取り付けてばら撒き、触れた子供の手足や生命を奪う」とするものがあるが、事実として確認されていない[注 1]

以上のように、対人地雷は敵味方・軍民を問わず被害を受ける危険があるため、厳格な運用が必要とされる。しかし、紛争国では無計画に埋設された結果、除去困難に陥り戦後の紛争の後遺症として住民を苦しめ続ける例が見られる。そのため、規制が議論されている。そのような観点からオタワ条約が発効した。ただし、主要な地雷輸出国が批准しておらず、紛争地帯での地雷被害は減っていない。中には、残留日本人が被害に遭う事例があり、日本国内にも影響を与えている。
破片式地雷

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破片式地雷は対人地雷の一種で、手榴弾などと同様に爆発時に破片をまき散らすことで、作動させた本人だけでなく周囲の人間を巻き込んで殺傷するように設計されている。

通常の爆風型地雷では一個につき一人しか殺傷できないのに比べると殺傷効率が高いが、破片をまき散らす必要があるため、後述の跳躍地雷以外は地上に露出する形で設置される。

手榴弾本体を固定し、信管を即時起爆するものに付け替えたうえでトラップワイヤーを巻き付けることでも代用できる。This section is an excerpt from 手榴弾 § 罠用途.

手榴弾は、仕掛け爆弾としてブービートラップに利用することもある。これは、手榴弾を周囲に固定したうえで安全ピンに糸や針金を取り付け、対象物と繋ぎ、敵が対象物を動かすと安全ピンが抜けて起爆し炸裂するものである。また、糸を足の高さに張ることで地雷として使用したり、敵の死体などの下に安全ピンを抜いてレバーを固定した状態の手榴弾を設置し、手榴弾の上を覆う物体を敵が動かすと爆発するようにもできる。

罠として使用するための専用手榴弾ないし信管も存在しており、ピンを抜くと同時に起爆する事で敵の回避を困難にしている。なお、この罠専用手榴弾を一般の手榴弾のように使うと、投げた瞬間に自爆してしまうため、厳重に区別される。

ただし、手榴弾を対人地雷として使用することは対人地雷の使用、貯蔵、生産及び移譲の禁止並びに廃棄に関する条約に抵触するとされる。
杭地雷
イタリア製の杭地雷、V1地雷の図面。杭地雷(stake mine)とは、上記の破片式地雷の中では最も原始的なタイプで、の上部に地雷本体がはめ込まれている。杭を地面に差し込む形で設置し、本体上面の信管に結び付けたトラップワイヤーで作動させる。
跳躍地雷
詳細は「跳躍地雷」を参照跳躍地雷の作動プロセス。最初の爆発で本体を空中に飛びあげ、2度目の爆発で破片をまき散らす。跳躍地雷は、地雷本体が空中に飛び上がったのちに炸裂して破片をまき散らすタイプで、こちらは地面に信管を露出させる必要はあるものの、本体は地中に埋設することが可能である。代表例は第二次世界大戦前にナチス・ドイツが開発したS-マインで、その効果の高さと使い勝手の良さから、戦後は東西陣営を問わずにS-マインを模倣する形で多数の跳躍地雷が開発生産された。
指向性対人地雷(指向性散弾)
詳細は「クレイモア地雷」を参照指向性対人地雷は、前面のみに多数の鉄球を配置し、ミスナイ・シャルディン効果により扇状に鉄球を散布することで、殺傷効果をもたらすように設計された地雷である。ただし、前面以外の場所には全く危害を及ぼさない、というわけではない。こちらはワイヤートラップか有線・無線リモコンで作動させるように設計されており、リモコン起爆式はオタワ条約の規制対象外とされている。
戦場における地雷原の突破92式地雷原処理車から発射される地雷原処理用ロケット90式戦車に取り付けられている、92式地雷原処理ローラ

戦場において地雷原を突破する際には、以下のような方法が取られる。
地雷処理用の専用機材を用いる
もっとも望ましい方法であり、前述の地雷処理戦車や地雷処理用の機材(地雷原処理用のロケット弾発射機など)を使用する。以前は、戦車の前方方向に伸びた機材で対戦車地雷を捜索し爆破するスネークが使用されたこともある。また、地雷の探知に第二次世界大戦から使用され始めた金属探知機を用いる方法もあるが、これは地雷本体の材料に木材ガラスプラスチックなどの非金属性素材を用いた非金属性地雷に対しては効果を発揮できない。
地雷原に銃砲撃を加える
砲兵部隊の支援が受けられるならば、地雷原に砲弾を撃ち込み地雷を誘爆させるという方法もある。これは、砲兵でなくとも、進撃する戦車自身が搭載砲で道路を射撃することでも可能である。また、露出している地雷に対しては遠距離から対物ライフルなどで銃撃を加えることで安全に処理する。現在は大型の狙撃銃として知名度の高い、バレットM82スウェーデン軍に採用されたのは、元々爆発物処理用途としてであった。


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