地質時代
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概要地質学時標図[注釈 2]

138億年前の宇宙誕生(ビッグバン)から3分の2経過した今から46億年前に太陽系に地球が誕生した。この数十億年に渡る地球の過去を考察する場合、地球誕生から、の形成、海洋誕生、大陸の形成分裂、造山運動火山活動、巨大隕石の衝突、気候変動などの天文学的・地学的な絶対年代区分とは異なった、時代を発掘された化石や地層等から相対的に区分する手法が用いられており、これを地質時代と呼ぶ。この地質時代区分は地球史絶対年代とは異なるが、絶対年代上の重要事象の結果として多くの生物相の変化が起きたわけであり、地質時代と絶対年代に定義の差はあるが、相関性はある[6]

地球の過去は岩石や地層の中に封じ込められており、幾重にも亘る地層には、本の頁のように、地球の過去の事件やその時代の生物などが記録されている。これらの地層は、含まれる岩石や化石の放射年代測定により年齢を推定することが出来る。こうして地層の頁を紐解き、岩石という原子時計を測り、含まれる化石を見出すことにより地球の過去を知ることが可能となる。顕生代の生物多様化と大量絶滅詳細は「古生物学」および「層序学」を参照

地質時代の区分は発見される化石によるため、各時代はそれら生物の時代とも言え、その絶滅が時代を区分している。言い換えれば地質時代は生物の繁栄と絶滅の記録である[7]。一部の例外を除き各紀の境界では大量絶滅が発生している。右図参照。
地質時代研究の歴史

詳細は地質学の歴史および古生物学の歴史(英語版)を参照。

古代から中世にかけて現生生物とはかけ離れた化石の発見から古生物の存在や、貝の化石が海から離れた場所で見つかることから現在の陸地が昔は海であった可能性などの推察があった。一方で、化石は生物起源ではない変わった形の岩石であり、『創造論』に基づいた時代認識が近世まで続いていた。近世に入りルネサンスを経て自然科学の発展が始まり近代につながる地球科学の各分野が誕生した。
16世紀


1548年、「鉱物学の父」と呼ばれるドイツのゲオルク・アグリコラが『化石の本性について』を出版し、化石は生物に類似した形になった鉱物ではなく、生物起源であると発表した。

1555年、スイスの博物学コンラート・ゲスナーが化石を図入りで記載した『化石の全種類について』を出版した。

17世紀


1669年、デンマーク人のニコラウス・ステノがイタリアのトスカーナ地方の化石や地層について記述した地質学の先駆的な著書である『固体の中に自然に含まれている固体についての論文への序文』を出版、地層累重の法則を提唱し、層序学の基礎を作る。
17世紀から18世紀にかけて化石が大洪水天変地異説)による過去の生物の遺骸であるとの認識が広まる[8]
18世紀


1709年、スイスのヨハン・ヤーコブ・ショイヒツァーが植物化石をまとめた『洪水植物誌』を出版した。

1735年、「分類学の父」と呼ばれるスウェーデンのリンネが『自然の体系』を出版、分類学の基礎を作る。

1759年、イタリア地質学者ジョヴァンニ・アルドゥイノ(英語版)が、イタリアの南アルプスの地層の分析から地質時代を第一紀(化石の出ない時代)、第二紀(化石が出るが現生生物とは遙かに異なる)、第三紀(現生生物に近い生物の化石が出る時代)に分類した。後に第四紀が追加されるが、その後の研究の進展から第一・第二紀は使われなくなり、第三紀は古第三紀と新第三紀に分割され、第三紀は使われなくなった。
18世紀後半になると産業革命に伴う鉱山開発から岩石や化石に関する関心も高まり、地質学や古生物学の基礎が形作られる[8]

ドイツの地質学者アブラハム・ゴットロープ・ウェルナーが鉱物分類法・構造地質学の基礎を築く。水成論(水成岩起源説)を提唱した。

1795年、イギリスのジェイムズ・ハットンが『地球の理論(Theory of the Earth)』を出版、斉一説および火成論を提唱、地殻運動の証拠となる「不整合」を発見。

19世紀


1809年、フランスの博物学者ジャン=バティスト・ラマルクが『動物哲学』を出版し、軟体動物化石の研究から進化論を提唱した。

「英国地質学の父」、「層位学の父」と呼ばれるウィリアム・スミス地層累重の法則示準化石による年代決定法(地層同定の法則)を編み出し、イギリスの地質図(1815年)を作った。

1831年、フランスの博物学者ジョルジュ・キュヴィエが『骨化石の研究』を出版した。比較解剖学の創始者。

1859年、チャールズ・ダーウィンが『種の起源』を発表し進化論を提唱する。

20世紀


1912年、ドイツの気象学者アルフレート・ヴェーゲナー大陸移動説を提唱した。

1922年、ソ連の化学者アレクサンドル・オパーリン化学進化説を提唱した。

1929年、松山基範が、東アジア各地の岩石の残留磁気の測定結果から地球磁場反転説を提唱した[注釈 3]
1940年代に質量分析器が開発され、50年代に放射性炭素年代測定が始まる。

1960年代代後半にプレートテクトニクスが確立。

1975年、米国のウィリアム・ハートマン(英語版)とドナルド・R・デイヴィス(英語版)が月の生成に関するジャイアント・インパクト説を再提唱。

1980年、恐竜絶滅の隕石衝突説が提唱され、1991年に衝突跡がチクシュルーブ・クレーターと特定された。

1992年、雪玉地球仮説が提唱された。

21世紀


縞状鉄鉱床の研究や炭素硫黄などの同位体の分析から提唱されている質量非依存同位体分別効果(英語版)[9]に関連し大酸化イベント(英語版)と呼ばれる遊離酸素濃度の急激な上昇が研究されている。

定義

区分の仕方は大きくは古い方から冥王代太古代原生代顕生代の4つの累代、さらに細かくと分類されている。これらの区分は化石帯区分と呼ばれ、地層や化石の研究から導きだされたものである。これらの時代区分は動物化石を基に分類されているので、植物相の変異とはズレがある。また第四紀に関してはヒト属の時代という区分である。

地球年代学層序学地質年代区分年代層序区分定義数および概年数
累代eon累界eonothem4累代、各5億年以上
era界erathem10代、数億年程度
period系system22紀、数千万?数億年
epoch統series34世、数千万年
age階stage99期、数百万年

時代と層の対比
後期late上部upper
中期middle中部middle
前期early下部lower

地球年代学(: Geochronology、地質年代学とも)で定義する累代、代、紀、世、期に相応する地層を層序学: stratigraphy)および地質年代層序学(: chronostratigraphy)では累界、界、系、統、階と呼ぶ。また地球年代学で言う前期、中期、後期に対しては下部、中部、上部となる。


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