地理座標系
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測地高度

地球上、内、上空の地形学的な位置の特定を完成させるためには地球表面からの垂直の高さを決定する必要がある。「表面」や「垂直」という用語が曖昧なため、より正確な海抜等の測地系が用いられるのが一般的である。それぞれの国が自身の測地系を定めている。例えば、日本では日本水準原点に基を置いている[2]
デカルト座標系

球面座標系で表される全ての点は、三次元直交座標系で表すことができる。これは地図上の地点を記録するのに適した方法ではないが、距離の計算やその他の数学的操作を行うのには有益である。原点は通常、地球楕円体の中心に置く。日本では「地心直交座標系」として設定されている[3]
地球の形

地球の形は真球ではなく、おおよそ地球楕円体の形である。これは球の形に近いが、赤道部分が膨らみ、赤道周りの直径は極を結んだ直径より0.3%大きくなっている。短軸は自転軸とほぼ一致している。地図製作者は、地図を製作する領域を記述するのに最も適した楕円体を選択することができる。彼らはその後に楕円体を平面に表現するのに最も適した座標系を選択する。

初期の航海者は海を平面だと考えており、鉛直データが用いられたが、これは真実とはかなり異なる。地球はその重力場内で等しい位置エネルギーの層が何重にも重なったものだと考えることもできる。高さはその表面からの鉛直距離で測られる。これらの層の形は不規則であるが、おおよそ楕円体である。高さを定義するのにどの層を用いるかは任意である。我々が用いる基準の高さは、世界の海の平均海面高に近い値である。これはジオイドと呼ばれる[2][4]

地球は静的ではなく、プレート運動地盤沈下、月や潮汐力による日周運動によって、地点間の相対的な位置は常に動いている。日周運動は、メートルのレベルに達する。大陸移動は1年に10cm、1世紀で10mになる。高気圧に覆われた地域は5mm程度沈んでいる。スカンジナビア半島は、前の氷期にできた氷床が溶けることによって1年に1cmずつ隆起しているが、隣のスコットランドは0.2cmしか隆起していない。これらの変化は、地域のデータを使う際には大したことがないが、GPSのデータを使う際には考慮する必要がある。
長さの単位としての経緯度の表現

地球を理想的な回転楕円体と見立てたとき、楕円体表面上での子午線弧長は緯度によって異なる値となり、平均的なおおよその値は、緯度1秒で31m、緯度1分で1.8km、緯度1度で110kmである。経線で交わり、1秒当たりの東西間の距離(平行圏弧長)もやはり緯度に依存する。赤道上でのおおよその値は、経度1秒で31m、経度1分は1.9km、経度1度で111kmである。緯度30°の地点では、経度1秒に相当する平行圏弧長は約27m、緯度60°では約16mである(以上理科年表による)。

緯度 φ {\displaystyle \scriptstyle {\varphi }\,\!} の地点の経度1度当たりの平行圏弧長 l {\displaystyle \scriptstyle {l}\,\!} は、次の公式で表される(分や秒で表す時には、それぞれ60、3600で割ればよい)。

l = π 180 ⋅ a cos ⁡ φ 1 − e 2 sin 2 ⁡ φ {\displaystyle l={\frac {\pi }{180}}\cdot {\frac {a\cos \varphi }{\sqrt {1-e^{2}\sin ^{2}\varphi }}}}

ここで、 a {\displaystyle \scriptstyle {a}\,\!} は地球の赤道半径、 e {\displaystyle \scriptstyle {e}\,\!} は離心率で、扁平率 f {\displaystyle \scriptstyle {f}\,\!} と e = f ( 2 − f ) {\displaystyle e={\sqrt {f(2-f)}}} の関係がある。

以下の表では、地球の赤道半径および扁平率 a , f {\displaystyle \scriptstyle {a,f}\,\!} は、GRS 80地球楕円体の値を採用し、それぞれ(正確に)6 378 137 m、1/298.257 222 101としている。

GRS 80地球楕円体上におけるそれぞれの緯度での経度当たりの平行圏弧長緯度近傍の代表的な都市度分秒±0.0001°
60°サンクトペテルブルク55.80 km0.930 km15.50 m5.58 m
45°ボルドー78.85 km1.314 km21.90 m7.89 m
30°ニューオーリンズ96.49 km1.608 km26.80 m9.65 m
15°マニラ107.55 km1.793 km29.88 m10.76 m
キト111.32 km1.855 km30.92 m11.13 m

測地系詳細は「測地系」を参照

緯度や経度の値は、いくつかの異なる測地データに基づいている。そのうち最も一般的なものは、全てのGPS装置で使われているWGS 84である。しかしその他のデータも、それぞれの地域を表現するのに最も適しているとして、各国の地図製作組織に用いられているため、重要である。簡単な翻訳によって、ある作図法の座標系から別の系に変換できることもある。例えば、ETRF89 (GPS)からIrish Gridに変換するには、東に49m足し、北に23.4m引けばよい[5]。正確には、ヘルメルト変換(ドイツ語版、英語版)を行う必要がある。これには、球面座標系から直交座標系、またその逆への変換も含まれる[2]

主な地理情報システムのソフトでは、緯度/経度のデータは'Geographic Coordinate System'で表示されることが多い。例えば、1983年のNorth American Datum(NAD83)は、'GCS North American 1983'と表示される。
静止衛星詳細は「静止衛星」を参照

放送衛星など静止軌道の衛星は、地球の緯度0(赤道上空)で、一定の経度の位置に静止している。
脚注[脚注の使い方]^ https://www.gsi.go.jp/LAW/heimencho.html 平面直角座標系(平成14年国土交通省告示第9号)
^ a b cA Guide to coordinate systems in Great Britain v1.7 Oct 2007 D00659 accessed 14.4.2008
^ https://www.gsi.go.jp/LAW/chisincho.html 地心直交座標系(平成14年国土交通省告示第185号)
^DMA Technical Report Geodesy for the Layman, The Defense Mapping Agency, 1983
^Making maps compatible with GPS Archived 2011年7月21日, at the Wayback Machine. Government of Ireland 1999. Accessed 15.4.2008

参考文献

Portions of this article are from Jason Harris' "Astroinfo" which is distributed with
KStars, a desktop planetarium for Linux/KDE. See ⇒[1]

関連項目.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}ウィキメディア・コモンズには、地理座標系に関連するカテゴリがあります。ウィキデータには地理座標のプロパティであるP625があります。(使用状況)

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外部リンクプロジェクト 地理座標

“Mathematics Topics-Coordinate Systems”. 2012年3月1日時点の ⇒オリジナルよりアーカイブ。


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