地理学
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地誌学地域地理学)は、ある特定された地域内における地理学的事象を自然地理・人文地理両方の見地から研究する学問である[32]。自然地理・人文地理にかかわらず、実際に研究する際は、具体的な地域を選定しなくてはならないため、ひとつの専門分野というよりは地理学の共通基礎部分と認識されている。文学国際関係学方面の地域研究(学)との共通点もある。
研究方法

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主に: 分布図の作成後の研究法(分析方法の概説など) (2018年9月)

地理学では地域差があるものを取り扱うため、地図が必須であるとともに、地図を用いて事象の分析や原因の考察を行うことができる[33][注釈 2]。事物の分布を考察するにあたって、分布図の作成が挙げられる。分布図では、事物の位置や多寡、偏りの程度が表現されるため、分布について深く考察するうえで有効であり、このことによって地理的事象の地域性や一般性の解明につながる[35]。分布の性質を分析してきた研究の代表例として、高橋伸夫は『地理学への招待』にてチューネン孤立国クリスタラー中心地理論を提示している[36]
日本の地理教育・研究詳細は「日本の地理学」を参照
高等教育詳細は「地理学科」および「地学科」を参照

日本では主に文学部で地理学が教育・研究されている[37]東日本の国公立大学では理学部で教育・研究を行う大学もある[38]。また、教育学部にも設置されている[38]

ただし、文学部設置の大学でも自然地理学の研究も行われているうえ、理学部設置の大学でも研究や教育が自然地理学に限定されているわけでもない[37]。また、この他の学部でも地理学に関するコースが存在する大学もある[39]

地理学がカバーする範囲は極めて広く、大学において「地理学科」や「地学科」という名称でなくても改称したり分野別に再編したりして実質的に地理学教育を行っている学科・専攻は少なくない。

地理学の学際性から、大学院生大学教員レベルになると複数の学会に所属している者が多い。近年は地理情報システム(GIS)を用いた解析や一部モデリングが盛んに行われているほか、社会的課題が複雑化する中において地域を多角的・総合的に理解する学問分野として注目されている。

日本における地理学系学会としては、1925年に日本地理学会が設立されたのを皮切りに、1948年に人文地理学会、1954年に経済地理学会が設立されるなど、多くの学会が存在する。これらの学会は、日本地理学会の「地理学評論」や人文地理学会の「人文地理」といった学術誌を定期的に発行している[40]
初等・中等教育詳細は「地理教育」を参照

明治維新後、近代学制が整備される中で、地誌を中心とする地理学は国民意識を形成するために重視され、初等・中等教育の科目の1つとされた。これは第二次世界大戦後も変わらず、地理は小学校および中学校では社会科のうちの1つに位置づけられ、高等学校でも科目名に変遷はあれど1つの科目として地理は存在し続けている[41]

高等学校においては長らく「地理」は必修であったが、1970年告示の学習指導要領以降選択科目の1つとなり、さらに1989年告示の学習指導要領において「世界史」が必修になるとその影響で「地理」を選択する生徒が減少し、地理学へ興味・関心を持つ機会が減少していた。しかし、2018年告示の学習指導要領において、2022年4月より再び「地理」が必修化された[42]
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 英語のgeograhyは、古代ギリシア語のgeographiaが語源である。geographiaはgeo(=土地)とgraphia(=記載する)が合わさった語で、「地球とその住民に関することを記載する」という意味であった。地理学が学問としてまだ体系化されていない古代では、多くの自然・人文事象を個別的に記載するなど百科事典的であった[7]
^ フンボルトは気象や植生が高度により遷移することを観察し、縦軸を高度、横軸を緯度として垂直分布を図化して表現した。また、世界中の約58地点の年平均気温の情報をもとに等温線をひき、等温線と緯線が平行ではない理由を考察する研究課題を提示した。中村和郎によると、地理学の考察における等値線の導入は非常に有意義なことと言及していて、また等値線図地形図(標高)や天気図(気圧配置)などでも利用されている[34]

出典^ 「報告 大学教育の分野別質保証のための教育課程編成上の参照基準 地理学分野」平成26年(2014年)9月30日 日本学術会議 地域研究委員会・地球惑星科学委員会合同 地理教育分科会 2023年1月15日閲覧
^ a b “ ⇒公益社団法人日本地理学会『新ビジョン(中期目標)』” (PDF). 2018年7月7日閲覧。
^ “地理学科の内容|文学部|法政大学”. 2018年9月21日閲覧。
^ 益田 2018, p. 19.
^ a b 辻田 1971, p. 52,55.
^ 海野 2004, p. 48.
^ a b c d 日本地誌研究所 1989, p. 466.
^ 益田 2015, p. 1.
^ 益田 2018, p. 40,41.
^ 益田 2018, p. 41.
^ a b 田辺 2003, p. 211.
^ 浮田 2003, p. 191.
^ 広辞苑 2018, p. 1920.
^ a b c 中村ほか 1988, p. 174.
^ 野間ほか 2017, p. 212.
^ 野間ほか 2017, p. 213.
^ 「マシューズ&ハーバート 地理学のすすめ」p27-28 ジョン・A・マシューズ、デイヴィット・T・ハーバート著 森島済・赤坂郁美・羽田麻美・両角政彦訳 丸善出版 平成27年3月25日発行


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