地理学
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この計量革命によって、それまでの地誌学は個性記述的・非科学的であるとして衰退していった[24]。1970年代後半以降、北米を中心に地理学は一旦は衰退したが、地理情報システム(GIS)や地球環境に関連した応用的な研究が盛んになった[2]。また1960年代から1970年代にかけて計量地理学への反動から、ラディカル地理学人文主義地理学が成立した[25]
下位分野

地理学は、大きく系統地理学地誌学に分類され、系統地理学はさらに自然地理学人文地理学に分けられ[26][27]、それぞれがまた細かく分類される。ただし、自然地理学の諸分野は地球科学の影響を受け、その中でも時に生態学気象学地質学などと連携されることが多い。人文地理学は歴史学社会学経済学などの近隣分野の影響を受け、それらの知識ならびに隣接分野の理論の十分な理解が要求される学問である。また、自然地理学・人文地理学ともに現地調査(フィールドワーク)やエクスカーション(巡検とも呼ぶ)を実施し、実地調査に基づく観察を重視する傾向があるのが特徴である。
系統地理学
自然地理学

自然地理学に該当するもの。大気圏を扱う気候学、水圏を扱う水文学、地表圏を扱う地形学、生物圏を扱う生物地理学、土壌圏を扱う土壌地理学、そして雪氷圏を扱う雪氷地理学といった専門分野に分かれており、また第四紀学のように学際的な研究分野も多く存在する[28]。いずれの場合も、学問上で厳格な線引きは存在せず、例えば気候地形学のような自然地理学の中でも分野のまたがった研究も往々にされている。ほとんどの場合、これらの学問成果をあげるには、現地調査(フィールドワーク)が要求される。
気候学
主に気候と人々との関係を考察する。都市気候ヒートアイランドエルニーニョなどもこの分野で扱う。
水文学
湖沼地下水を主な研究対象とする。
地形学
あらゆる地形の成因、変遷などを考察。対象は山地丘陵平野など。
植生地理学
植生分布に関する地理学。フィールドワークによる場合と、花粉分析法を用い、泥層などから採取した花粉の年代測定をし、解明していく方法がある。
動物地理学
動物の生態・分布に関する地理学。生態学と密にしている場合が多い。植生地理学などと共にしばしば生物地理学と総称されることも。
土壌地理学
土壌に関する地理学。第四紀学などと連携を密にすることが多い。
第四紀学
主に第四紀の間に起きた環境の変遷、氷期/間氷期(第四紀氷河時代(英語版))の問題などを取り扱う。
人文地理学

人文地理学に該当するもの。これらもほとんどの場合、学問成果をあげるには、現地調査(フィールドワーク)が要求される。いずれの場合も、学問上で完全に独立しているわけではなく、例えば都市地理学と経済地理学の複合分野を研究対象にするということも可能である。
経済地理学
経済活動の空間的異質性を説明する地理学。各種産業に注目した産業地理学(農業を扱う農業地理学工業を扱う工業地理学商業を扱う商業地理学などがある)、消費者行動に注目した消費地理学、産業等の立地展開に注目した経済立地論などが主要なテーマ。これらは、人文地理学の中でも議論されることが多い分野である。そのほかの分野として、近年、英米の地理学者を中心に、小売の立地的側面、金融的側面、消費者行動的側面など小売業を多面的に扱った新しい小売業の地理学や、経済活動の文化的側面に注目する傾向、そして、グローバルな経済活動がもたらすさまざまの問題を帝国主義や世界覇権とのかかわりで論ずる批判地理学が現れている。だが日本ではこの分野の研究者は少なく、発展途上の段階にある。経済地理学は地理学の専売特許ではなく、経済学においても研究されている。
社会地理学
社会階層社会構造など社会学に関するテーマに対する地理学。具体的には、民族問題や過疎・過密、女性問題や共同体の問題などを扱う。
政治地理学
政治に関する地理学。過去には、軍事侵略や植民地に関するテーマを扱っていた。現在は、学区域の問題や国政や地方行政や国際関係と地理との関係を主流にする。最近では、地理学で政治を扱うと、学問の性質上、地方自治に焦点があてられることが多いので、この分野を敢えて行政地理学という表現をすることもあったが、近年では、国際的な政治の問題も、新しい地政学などとしてしばしば取り上げられる。
都市地理学
都市特有の現象を扱う地理学。交通網・移動、犯罪非行や、都心郊外に関するテーマなどを扱う。経済地理学・社会地理学と連携を密にすることが多い。また、都市計画学都市工学都市社会学などの分野ともしばしば連携される。
歴史地理学
地理学では、通常時間軸は現在であるが、歴史地理学は過去である[29]。歴史的な現象・事柄の文献学的な意義のみならず、地理学的な意義を求める分野である。歴史学の一分野としても扱われるが、通常は地理学の分野である。民俗学と連携をとることもある。
文化地理学
文化風俗を扱った地理学。宗教施設や、祭りなどを考察対象とする。民俗学・文化人類学・社会学などとの連携をとることもある。
宗教地理学
宗教に関する地理学。地理学では、多くは宗教の教義思想的なアプローチは行わず、宗教の社会的・文化的役割とその関係を見ることがほとんどである。上記、文化地理学の一分野でもある。
人口地理学
人口現象の地理的分布や移動から地域構造を理解することを目標とする[30]人口分布(人口規模の空間的パターン)、人口構造の空間的パターン、人口変動の空間的パターン、人口移動などを研究対象とする[31]
集落地理学
人間の居住形態である集落というものに対する地理学。大きな括りをすれば、農村地理学や都市地理学もこの一分野である。
農村地理学
農村に関する地理学。集落地理学や農業地理学との連携が大きい。
交通地理学
交通に関する地理学。交通網の発達と立地展開の関係、日々の人々の移動に関する研究などを扱う。計量的に分析することが多く、鉄道網や道路網に対する知識や関心はその前提と見なされている。都市地理学や経済地理学などとの連関が多い。
医学地理学(英語版)
伝染病風土病などの疾病の地理的な分布・伝播を扱った地理学。医学の専門的な知識を求められるため、地理学の一部門でありながら、人文地理学で論じられることは稀である。
言語地理学
言語方言に関する地理学。方言の分布などを探る。ただし、社会言語学的な性質が強く、人文地理学の一分野と見る論者は少ない。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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