地球温暖化の原因
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牛肉は、牛乳、豚肉、卵、すべての作物製品と比較して、タンパク質1 kg当たりを生産するのにGHGの排出量が最も多く非効率的であるとされる[35]。2018年10月、気候変動に関する政府間パネルはレポート「Global Warming of 1.5 oC」の中で、「肉の消費量が健康ガイドラインより多い場合には、肉やその他畜産物の需要をターゲットにすることで、食品システムからの総排出量を減らすことができるという合意が高まっています。」[41]と述べるなど消費量を減らすことが求められている。

排出地域では、発展途上国の排出量が多い傾向にあり[42][43]、家畜の排出量のうち低・中所得国の家畜は反すう動物からの排出量の70%、単胃動物(豚や家禽のような反すう動物の消化過程をもたない動物)からの排出量の53%を占めており、これらの国では畜産物の需要が増加するにつれてGHGも増加すると予想されている[35]。南アメリカとカリブ海諸国は、年間1.3 GtのCO2を排出し、家畜からのGHG排出量の中で最も高い割合を占めている。一方で西欧と北米は家畜生産からのGHG排出量は0.6Gtと少ないが北米では家畜の排出量の3分の2が牛肉の生産に関連している[34]

日本の家畜からは0.014Gt(消化管内発酵、家畜排せつ物等、家畜排せつ物 の管理 の合計)が排出されている[44]。また、1997年の研究では植物を食べる家畜(動物性たんぱく質)を育て、食肉生産する過程で使われる化石燃料(石炭・ガスなどで燃やすと二酸化炭素、窒素酸化物など発生させる)は、大豆などの植物性たんぱく質の生産過程使われる化石燃料より8倍多く必要とされるとの研究がある[45]

GHG削減対策として、腸内発酵の抑制する技術により、世界全体で年間0.12?1.18 Gtが削減でき、厩肥管理の技術開発により、世界全体で年間最大0.26 Gtである。これらの技術開発により2050年までに農畜産業からの排出の42%が緩和できる可能性を持っている[34]

また、例えば野菜中心の健康的な食事に切り替えることで、土地部門からの排出量を世界全体で年間0.7?8 Gt CO2e削減できる[35]。健康的で持続可能な食事の例としては、エネルギー消費の多い動物由来食品や、嗜好品的食品(甘味飲料など)の量が少なく、雑穀、豆類、野菜及び果物や、ナッツ及び種子が多く、炭水化物の閾値がある食事など。もし、世界人口の半数が肉からのタンパク質の量を1日60gに制限した食事をした場合、GHG排出量を2.2Gt削減することが出来るとされる[34]。2018年、Scienceに掲載された論文[46]によると各食品の二酸化炭素排出量を算出したところ、豆が0.4kg、牛乳1.6kg、卵2.1kg、家禽肉2.9kg、豚肉3.8kg、牛肉17.7kg(タンパク質50gあたり)という結果であった。また、乳製品は豆乳やライスミルク、アーモンドミルクと比較して約3倍の温室効果ガスを排出すると試算されている[47]。2016年のオックスフォード大学は「食肉消費を大幅に削減すれば、環境にも健康にもよく、温室効果ガスを最大3分の2削減、世界全体で約242兆円のコストを節約できる可能性があるという研究を発表した[48]

また、代替肉(植物製品由来)、培養肉などが注目されているが[49]、IPCCは代替肉(植物製品由来)、培養肉、昆虫などの肉の類似品は、カーボンフットプリントや受容性が不確かであるとしている[35]

食肉を大量生産をする食肉会社も問題とされ、2017年のランドマーク調査によれば、家畜を大量生産をする食肉会社大手のJBSカーギルタイソン・フーズの3大企業は、2016年にフランス全土よりも多くの温室効果ガスを排出したと試算した。大量生産大量消費ではなく小規模で適切な量の肉や乳製品を提供する持続可能なものへとシフトし、公的資金を小規模な事業の支援へ向けるべきだとしている[50]
土地利用温室効果ガスと土地利用の増加率

森林とサバンナの食料及び飼料生産への開発転換は、2010年の食料部門からの全GHG排出量の19%(CO2換算2.67 Gt )に寄与した。自然の草原やサバンナは森林よりも開発が進んでいるが、そこには450Gtの炭素(地表に含まれる炭素の5分の1)を貯蔵してるとされる。それらの開発転換(森林減少、森林劣化、泥炭地転換、沿岸湿地転換)を減少さることで、年間4.6 GtのCO2削減が見込める[34]
畜産の土地利用

家畜の土地利用には、放牧地と飼料作物や飼料の生産に供される耕作地が含まれる。実際、畜産(放牧地と飼料作物の生産に使われる耕作地を含む)はすべての人為的土地利用の中で最大のものであり、その総面積は広大で2004年時点で全農地の70%であり[18]、2019年には77%まで拡大していおり、それは地球上の氷のない地表面の30%に相当する[51]。しかし、氷のない地表面の内41%が乾燥地帯であり、これらの土地の大部分は乾燥や低温によって作物を作るには不向であり、人もあまり住まないような土地である[52]。そこに世界の家畜全体の50%が存在しているとされる[53]
耕作地

水田からのメタン排出、泥炭地栽培からのCO2排出、肥料施用からの亜酸化窒素 (N2O)排出を含めたGHGは年2?3 Gt(CO2換算)と推定される。その3分の2は泥炭地の劣化に関連したものであり、次い多いのが合成肥料からのN2O排出、次に水田からのメタン排出である。アジア地域からの排出は多くとくに、インド、中国、インドネシアから多く排出されており、世界全体の耕作地からの排出量の約50%を占めるとされる[35]

また、土を耕すことでも温室効果ガスの排出に違いがあり、耕した土壌は、耕さない土壌よりも地球温暖化への寄与率が20%大きくなるとされる[34]
水産

水産養殖と漁業からの排出は2018年は年0.58Gt(CO2換算)に相当するとされ、その3分の2が水産養殖からの排出であり、3分の1が漁船の燃料使用によるものだとされる[35]
食品ロス

食料のロスと廃棄物の合計は、生産された食料総量の約15?30%、排出されるGHGは年4.4 Gtで世界の総排出量の8?10%に相当する[35][42]
解析手法

人類の活動の影響量、および将来の温暖化の影響に関する予測は、超長期を対象として地球全体の大気や水の状態を計算する必要があり、膨大な計算量を必要とする。
気候モデル

(注:この内容は未整理です。最新のIPCC第4次評価報告書の評価結果も、反映されていない可能性があります)

温暖化の研究ではコンピュータモデルを用いた気候研究が行われている。使われるモデルは、実際の気候変化(季節変化や北大西洋振動エルニーニョなど)の観測事実とシミュレーション結果が良く一致するものが使われる。これらの全てのモデルの結果が、温室効果ガスの増加は将来的に気候を温暖にするであろうと示している。しかし、温暖化の程度予測はそれぞれのモデルによって異なり、これは雲についての評価の違いなどが反映していると思われる。

気候モデル第4次報告書でも用いられ、1980 - 1999年と比較した2090 - 2099年の世界平均地上気温は1.1℃から6.4℃上昇すると予想している。また、気候に対する放射強制力として働く(自然原因および人為的な)様々な要素をシミュレーションした結果を、これまで実際に観測されたデータと比較することによって、近年の気候変化の原因を推測することも出来る。最新の気候モデルでは、過去1世紀の地球規模の気温の観測データとよく一致する結果が得られた[54]。これらのモデルでは、1910年から1945年頃に起こった温暖化が自然の変化なのか人類の影響なのかは明らかに示されてはいない。しかし、1975年以降の温暖化は人類が排出した温室効果ガスの影響が極めて大きいものであると示唆している。

第3次報告書による将来の気候変動は次のシミュレーション結果にもとづいて見積もられている。

全ての結論は、GCM(全球気候モデル)を使って数百km以上のいくつかのスケールに適用したシミュレーションにもとづいている。それぞれの気候変動シミュレーションは1990年から2100年の期間にわたって行い、温室効果ガス濃度の変動と硫酸エアロゾル排出の直接影響の変動の様々な予想によるシナリオ全体の幅にもとづいている。

沢山あるモデルのうちで数少ないAOGCM(大気-海洋結合モデル:atmosphere-ocean coupled general circulation model)ではオゾンによる影響や間接的なエアロゾルの影響も考慮している。ほとんどのモデルでは、重要視されていない強制力やまだよく分かっていない強制力、例えば陸上表面の変動や、黄砂などの土壌粒子、ススなどなどについては全く考慮されていない。また、AOGCMシミュレーションであっても、太陽放射強度や火山灰濃度の変動などは考慮されていない。なお、AOGCMシミュレーションは計算機資源に対して複雑すぎてほとんど行えなかったため、結論はずっと単純なモデルにもとづいて見積もられた。したがって、結論はAOGCMによるものとはやや異なっている。


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