地球温暖化の原因
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大気中に放出されるメタンの約40%が湿地やシロアリからなどの自然起源であり、60%が畜産や稲作、化石燃料採掘、埋め立て、バイオマス燃焼などの人為起源である[16][17]。地球上に排出または発生するメタンガスは、野牛や家畜の牛・羊などによる呼吸だけで25%を超え、他に肥料、天然ガス水田ゴミ埋め立て化石燃料燃焼などで年に2億5千万トンが放出されている。2006年のFAOの報告では、メタンガスの37%が畜産から発生しており、主に反芻動物の消化器官から発生している[18]。そのため現在、家畜においては、バイオテクノロジーによる飼料の開発が進められている。海底から噴出するメタンに限定するなら、単体のメタン同様、近年、海底内に大量に存在することが発見されたメタンハイドレートによる影響も、(発見されて間もないために調査不足ながら、)少なからずあるとの主張も出てきている(構造や生成原因などについては、メタンハイドレート参照)。深海部の平均水温が2-3℃上昇すると、海水に接しているメタンハイドレートが一気にメタンガスに変わり、メタンハイドレートの160倍以上のメタンとなるとされる。さらに、海底部の水温が上昇する環境下では、海水全体の温度が上昇し、二酸化炭素同様、メタンが水中に溶けきれず、空中に放出されてしまう。メタン単体は温暖化係数(電磁波の吸収率)が高く、温暖化現象を促進する。また、それがさらに海水温を上昇させ、ハイドレート融解に影響するといった形で、悪循環(正のフィードバック)にもつながるとされる。

メタンの赤外吸収のピーク波長は 7.6μm 付近にあり、水蒸気や二酸化炭素による赤外吸収がほとんどない窓領域と呼ばれる波長領域(8 - 14μm)に一部吸収が重なるため、微量ながらも温暖化効果は比較的大きいとされる。
一酸化二窒素

一酸化二窒素(N2O)または亜酸化窒素と呼ばれる主要な温室効果ガスである。排出量は少ないが強い温暖化効果を持つ。海洋や自然土壌からの自然起源が約60%、農場での窒素肥料や家畜からの堆肥製造、バイオマス燃焼、化石燃料などの人間活動から約40%が排出される[16][19][20]。2006年のFAOの報告では、亜酸化窒素の65%が畜産から発生し、主に排泄物から発生する[18]
水蒸気

水蒸気の赤外線吸収量は二酸化炭素やメタンに比べると桁違いに大きい[21]。加えて地球では大気中に大量に存在する。なお大気中の水蒸気量は気温に大きく依存する。

その一方、水蒸気は地上付近で熱を奪って蒸発し、となって日光を遮るなど、温暖化を抑制する働きも併せ持つ。代表的な例としては、下記のようなものがある[22]

高空で凝縮する際に放熱し、雪氷の形で地上に戻るサイクルを通じて宇宙空間への放熱を促進する。

雲が増えることで太陽光の宇宙への反射率が高まる。(アルベドを参照)

このように水蒸気は温暖化に関して、互いに相反する作用を併せ持つ。このため、水蒸気の影響の評価には雲や降雨を含めた大規模な数値シミュレーションが必要となる。

(ここに水蒸気フィードバック、および暴走温室効果に関する記述が欲しい。ただし出典を付記すること)
その他の温室効果ガス

上記の他、パーフルオロカーボン類(PFCs)や六フッ化硫黄(SF6)なども強力な温室効果ガスである。
自然破壊による温室効果ガスの放出

間接的に人類が関与している例として、環境破壊水質悪化により海底に生息するサンゴが減少し、海水中の二酸化炭素が取り込めなくなり、大気中に大量に放出されるという問題もある。また、森林の伐採焼畑農業による光合成の能力低下(成長に伴う細胞を構成する元素として取り込む炭素量の減少)による二酸化炭素量等、放出量や減少能力の潜在的低下が考えられている。
アルベドの変化

地球に向けて放射される太陽放射の反射率の変化も、地球の気温に大きく影響していると考えられている。あらゆる物体は、受け取った光の一部またはほとんどを反射する性質を持っており、反射率が高い物体は、それに応じて吸収率や透過率も低くなる。色に近いや雪氷(氷河)の表面はアルベドが高いが、色に近い森林や暗色の土壌はアルベドが低い。

大気中や地球表面にアルベドが高い物体が増えると、地表の気温を決める地表付近の放射量が減り、気温が低くなる。IPCC第4次評価報告書によれば、現在の気候を1750年と比べると、雪上のすすの増加によって0.0 - 0.2W/m2の放射強制力が増加したのをはじめ、土地利用の変化によって0.0 - 0.4W/m2の減少、雲のアルベドの増加によって0.3 - 1.8W/m2の減少がみられた。
エアロゾル

人為的に排出される他の汚染物質である硫酸エアロゾル日傘効果を持っており、この効果は20世紀中盤の寒冷化に関係しているという意見がある[23]
その他の影響要因
太陽放射20年間の太陽放射の変化

太陽放射は周期的に変化しており、地球の平均気温にも影響を与えている。ただし、IPCC第4次評価報告書では近年の地球温暖化に対する影響量は人為的な要因に比べて10分の1以下とされる。
オゾンの減少と温暖化の関係

(注:この節の内容は、IPCC第4次評価報告書の評価結果がまだ反映されていない可能性があります。)

オゾン層を破壊する」という理由により使用禁止もしくは使用制限されたフロン系ガス(代替フロンを含む)も温室効果ガスであり、その放射強制力は0.34±0.03W/m2、もしくは温室効果ガスのトータルの放射強制力の14%[24]と見積もられている。ただし、オゾン層減少による地球温暖化への影響量はさほど大きくないとされている。

オゾン層破壊と地球温暖化の関係についてはいくつかの相反する影響が考えられている。

二酸化炭素の放射強制力による温暖化は、おそらく成層圏を寒冷化させると予想される。一方この効果は、相対的にはオゾン層を減少させオゾンホールの発生頻度を増加させる。

逆にオゾンの減少は、気候システムで正の放射強制力を示す。

これについては、オゾンの減少は太陽放射をより通過させ対流圏を暖める効果と、寒冷化した成層圏が長周波の放射を減少させ対流圏を冷却するという、対立する効果がある。この結果、全体的に見ればオゾン層の減少によって寒冷化が進むことになる[25][26]、つまりオゾンホールには南極の温暖化を抑制してきたという一面もある[27]。南極のオゾンホールの縮小が、南半球の温暖化を加速する可能性があるとされる[28]IPCCは「過去20年観測された成層圏のオゾンの減少は、表層対流圏システムでは負の強制力 となる」[29]と結論付け、その値はおよそ-0.15±0.W/m2と見積もられている。

また、フロンガスによるオゾン層破壊を防ぐために代替フロンであるハイドロフルオロカーボン(HFC)が使われるが、この物質には強い温室効果があることが分かり、アンモニアなどのノンフロンの冷媒を使うことが求められている[30]
農畜産と食料システム食料、食品の生産から販売などのサプラチェーンから排出される温室効果ガス。反芻動物が最も多く、次いでチョコレート、コーヒー、養殖エビ、パームオイル、豚肉、鶏肉、オリーブオイル、大豆油、養殖魚、たまご、(以下略)などの順になっている[31]


農業林業その他土地利用(AFOLU)由来の温室効果ガス(GHG)の正味排出量及び除去量(CO2換算)。農業由来の温室効果ガス(GHG)の排出源別排出量(CO2換算)[32][33]


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