地球温暖化の原因
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マウナ・ロアのデータでは年間平均値は315ppmから単調的に増加し(キーリングのカーブ)[8][9]、2015年には濃度は400ppmに到達したが[10]、南極でもほぼ同様の変化を見せている[11]

火山など自然要因の増加も考えられるが、IPCC第4次評価報告書ではその影響量は人為的なものに比べて少ないとされている。これに対して異論を唱える者もいるが、学術的に広く認められてはいない(#懐疑論・異論の節を参照)。
二酸化炭素ハワイのマウナロアで1958から2004年までに観測した大気中の二酸化炭素濃度(絶対基準表示)二酸化炭素の量による赤外線(熱)の吸収と放出と、地球へ戻る赤外線を表した図[12]

二酸化炭素は温室効果係数が小さいながらも環境中での寿命が長いこと、地球放射スペクトルに対する吸収波長の重なりが大きいことから、放射強制力が大きいとされる。

人為的に発生する二酸化炭素量は、石炭を用いた火力発電自動車の排気ガス、工場の排気など化石燃料の燃焼がもっとも多い。熱帯雨林を破壊する焼畑農業も主要な原因であると考えられている。また火山活動や山火事など、自然現象によっても発生する。2006年の国際連合食糧農業機関(FAO)の報告では、二酸化炭素の9%が畜産から発生しており、交通から発生するよりも多い[13]

世界自然保護基金(WWF)は、2030年までに、最大でアマゾン熱帯雨林の60%が破壊され、この影響で二酸化炭素の排出量が555億トンから969億トンに増える可能性があることを報告した[14]。2006年の国際連合食糧農業機関(FAO)の報告では、伐採された森林の90%が放牧地へと転換されている[13]

二酸化炭素は海中にも直接取り込まれ、降雨に溶け込み湖沼に流れ込み、最終的に海洋にも流れ込む。海中のサンゴ炭酸カルシウムなどとして海水含有分から取り込まれ、森林の木々の組成には大気中や地中の水分などから固定される。この両者の固定されている炭素量は、人類による環境破壊や資源としての利用の結果、年々減少傾向にあり、そのことも、間接的にも人為的に二酸化炭素を増やす要因となっている。

人間の呼吸からも二酸化炭素は発生し、一人が1日に排出する二酸化炭素を約1kgとすると1年間に全人類が吐き出す二酸化炭素の量は約24億トンの計算となる。これは化石燃料の消費によって全世界から排出される二酸化炭素量の約9%に相当する。しかし、人間が体内に取り入れる炭素は、植物や植物を食べる動物などの食物から摂取する有機物からであり、元は植物が太陽エネルギーと二酸化炭素を利用して光合成によって生産したものである。よって人間の出す二酸化炭素はカーボンニュートラルとなる計算となる[15]

なお、二酸化炭素の増加そのものが生態系に及ぼす影響も指摘されている(地球温暖化の影響#主たる報告書の概要を参照)。
メタン

排出されるメタンガスは温室効果ガスの約16%占める。大気中に放出されるメタンの約40%が湿地やシロアリからなどの自然起源であり、60%が畜産や稲作、化石燃料採掘、埋め立て、バイオマス燃焼などの人為起源である[16][17]。地球上に排出または発生するメタンガスは、野牛や家畜の牛・羊などによる呼吸だけで25%を超え、他に肥料、天然ガス水田ゴミ埋め立て化石燃料燃焼などで年に2億5千万トンが放出されている。2006年のFAOの報告では、メタンガスの37%が畜産から発生しており、主に反芻動物の消化器官から発生している[18]。そのため現在、家畜においては、バイオテクノロジーによる飼料の開発が進められている。海底から噴出するメタンに限定するなら、単体のメタン同様、近年、海底内に大量に存在することが発見されたメタンハイドレートによる影響も、(発見されて間もないために調査不足ながら、)少なからずあるとの主張も出てきている(構造や生成原因などについては、メタンハイドレート参照)。深海部の平均水温が2-3℃上昇すると、海水に接しているメタンハイドレートが一気にメタンガスに変わり、メタンハイドレートの160倍以上のメタンとなるとされる。さらに、海底部の水温が上昇する環境下では、海水全体の温度が上昇し、二酸化炭素同様、メタンが水中に溶けきれず、空中に放出されてしまう。メタン単体は温暖化係数(電磁波の吸収率)が高く、温暖化現象を促進する。また、それがさらに海水温を上昇させ、ハイドレート融解に影響するといった形で、悪循環(正のフィードバック)にもつながるとされる。

メタンの赤外吸収のピーク波長は 7.6μm 付近にあり、水蒸気や二酸化炭素による赤外吸収がほとんどない窓領域と呼ばれる波長領域(8 - 14μm)に一部吸収が重なるため、微量ながらも温暖化効果は比較的大きいとされる。
一酸化二窒素

一酸化二窒素(N2O)または亜酸化窒素と呼ばれる主要な温室効果ガスである。排出量は少ないが強い温暖化効果を持つ。海洋や自然土壌からの自然起源が約60%、農場での窒素肥料や家畜からの堆肥製造、バイオマス燃焼、化石燃料などの人間活動から約40%が排出される[16][19][20]。2006年のFAOの報告では、亜酸化窒素の65%が畜産から発生し、主に排泄物から発生する[18]
水蒸気

水蒸気の赤外線吸収量は二酸化炭素やメタンに比べると桁違いに大きい[21]。加えて地球では大気中に大量に存在する。なお大気中の水蒸気量は気温に大きく依存する。

その一方、水蒸気は地上付近で熱を奪って蒸発し、となって日光を遮るなど、温暖化を抑制する働きも併せ持つ。代表的な例としては、下記のようなものがある[22]

高空で凝縮する際に放熱し、雪氷の形で地上に戻るサイクルを通じて宇宙空間への放熱を促進する。

雲が増えることで太陽光の宇宙への反射率が高まる。(アルベドを参照)

このように水蒸気は温暖化に関して、互いに相反する作用を併せ持つ。このため、水蒸気の影響の評価には雲や降雨を含めた大規模な数値シミュレーションが必要となる。

(ここに水蒸気フィードバック、および暴走温室効果に関する記述が欲しい。ただし出典を付記すること)
その他の温室効果ガス

上記の他、パーフルオロカーボン類(PFCs)や六フッ化硫黄(SF6)なども強力な温室効果ガスである。
自然破壊による温室効果ガスの放出

間接的に人類が関与している例として、環境破壊水質悪化により海底に生息するサンゴが減少し、海水中の二酸化炭素が取り込めなくなり、大気中に大量に放出されるという問題もある。また、森林の伐採焼畑農業による光合成の能力低下(成長に伴う細胞を構成する元素として取り込む炭素量の減少)による二酸化炭素量等、放出量や減少能力の潜在的低下が考えられている。
アルベドの変化

地球に向けて放射される太陽放射の反射率の変化も、地球の気温に大きく影響していると考えられている。あらゆる物体は、受け取った光の一部またはほとんどを反射する性質を持っており、反射率が高い物体は、それに応じて吸収率や透過率も低くなる。色に近いや雪氷(氷河)の表面はアルベドが高いが、色に近い森林や暗色の土壌はアルベドが低い。

大気中や地球表面にアルベドが高い物体が増えると、地表の気温を決める地表付近の放射量が減り、気温が低くなる。IPCC第4次評価報告書によれば、現在の気候を1750年と比べると、雪上のすすの増加によって0.0 - 0.2W/m2の放射強制力が増加したのをはじめ、土地利用の変化によって0.0 - 0.4W/m2の減少、雲のアルベドの増加によって0.3 - 1.8W/m2の減少がみられた。
エアロゾル

人為的に排出される他の汚染物質である硫酸エアロゾル日傘効果を持っており、この効果は20世紀中盤の寒冷化に関係しているという意見がある[23]
その他の影響要因
太陽放射20年間の太陽放射の変化


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