地球温暖化の原因
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なお大気中の水蒸気量は気温に大きく依存する。

その一方、水蒸気は地上付近で熱を奪って蒸発し、となって日光を遮るなど、温暖化を抑制する働きも併せ持つ。代表的な例としては、下記のようなものがある[22]

高空で凝縮する際に放熱し、雪氷の形で地上に戻るサイクルを通じて宇宙空間への放熱を促進する。

雲が増えることで太陽光の宇宙への反射率が高まる。(アルベドを参照)

このように水蒸気は温暖化に関して、互いに相反する作用を併せ持つ。このため、水蒸気の影響の評価には雲や降雨を含めた大規模な数値シミュレーションが必要となる。

(ここに水蒸気フィードバック、および暴走温室効果に関する記述が欲しい。ただし出典を付記すること)
その他の温室効果ガス

上記の他、パーフルオロカーボン類(PFCs)や六フッ化硫黄(SF6)なども強力な温室効果ガスである。
自然破壊による温室効果ガスの放出

間接的に人類が関与している例として、環境破壊水質悪化により海底に生息するサンゴが減少し、海水中の二酸化炭素が取り込めなくなり、大気中に大量に放出されるという問題もある。また、森林の伐採焼畑農業による光合成の能力低下(成長に伴う細胞を構成する元素として取り込む炭素量の減少)による二酸化炭素量等、放出量や減少能力の潜在的低下が考えられている。
アルベドの変化

地球に向けて放射される太陽放射の反射率の変化も、地球の気温に大きく影響していると考えられている。あらゆる物体は、受け取った光の一部またはほとんどを反射する性質を持っており、反射率が高い物体は、それに応じて吸収率や透過率も低くなる。色に近いや雪氷(氷河)の表面はアルベドが高いが、色に近い森林や暗色の土壌はアルベドが低い。

大気中や地球表面にアルベドが高い物体が増えると、地表の気温を決める地表付近の放射量が減り、気温が低くなる。IPCC第4次評価報告書によれば、現在の気候を1750年と比べると、雪上のすすの増加によって0.0 - 0.2W/m2の放射強制力が増加したのをはじめ、土地利用の変化によって0.0 - 0.4W/m2の減少、雲のアルベドの増加によって0.3 - 1.8W/m2の減少がみられた。
エアロゾル

人為的に排出される他の汚染物質である硫酸エアロゾル日傘効果を持っており、この効果は20世紀中盤の寒冷化に関係しているという意見がある[23]
その他の影響要因
太陽放射20年間の太陽放射の変化

太陽放射は周期的に変化しており、地球の平均気温にも影響を与えている。ただし、IPCC第4次評価報告書では近年の地球温暖化に対する影響量は人為的な要因に比べて10分の1以下とされる。
オゾンの減少と温暖化の関係

(注:この節の内容は、IPCC第4次評価報告書の評価結果がまだ反映されていない可能性があります。)

オゾン層を破壊する」という理由により使用禁止もしくは使用制限されたフロン系ガス(代替フロンを含む)も温室効果ガスであり、その放射強制力は0.34±0.03W/m2、もしくは温室効果ガスのトータルの放射強制力の14%[24]と見積もられている。ただし、オゾン層減少による地球温暖化への影響量はさほど大きくないとされている。

オゾン層破壊と地球温暖化の関係についてはいくつかの相反する影響が考えられている。

二酸化炭素の放射強制力による温暖化は、おそらく成層圏を寒冷化させると予想される。一方この効果は、相対的にはオゾン層を減少させオゾンホールの発生頻度を増加させる。

逆にオゾンの減少は、気候システムで正の放射強制力を示す。

これについては、オゾンの減少は太陽放射をより通過させ対流圏を暖める効果と、寒冷化した成層圏が長周波の放射を減少させ対流圏を冷却するという、対立する効果がある。この結果、全体的に見ればオゾン層の減少によって寒冷化が進むことになる[25][26]、つまりオゾンホールには南極の温暖化を抑制してきたという一面もある[27]。南極のオゾンホールの縮小が、南半球の温暖化を加速する可能性があるとされる[28]IPCCは「過去20年観測された成層圏のオゾンの減少は、表層対流圏システムでは負の強制力 となる」[29]と結論付け、その値はおよそ-0.15±0.W/m2と見積もられている。

また、フロンガスによるオゾン層破壊を防ぐために代替フロンであるハイドロフルオロカーボン(HFC)が使われるが、この物質には強い温室効果があることが分かり、アンモニアなどのノンフロンの冷媒を使うことが求められている[30]
農畜産と食料システム食料、食品の生産から販売などのサプラチェーンから排出される温室効果ガス。反芻動物が最も多く、次いでチョコレート、コーヒー、養殖エビ、パームオイル、豚肉、鶏肉、オリーブオイル、大豆油、養殖魚、たまご、(以下略)などの順になっている[31]


農業林業その他土地利用(AFOLU)由来の温室効果ガス(GHG)の正味排出量及び除去量(CO2換算)。農業由来の温室効果ガス(GHG)の排出源別排出量(CO2換算)[32][33]

農林業・土地利用全体から排出されるGHGは直接排出量は総排出量(CO2換算)の約24%とされ、エネルギー利用で間接に排出量されるGHGは全体の0.87%に相当する。農畜産業および土地利用、貯蔵、輸送、包装、加工、小売および消費など食料に関わる全て合わせた食料システム活動からのGHG排出量は最大37%になるとされる[34]。この推定値は、農場内での農作物や家畜の活動からの排出量が9?14%、森林破壊や泥炭地の劣化を含む土地利用や土地利用の変化からの排出用が5?14%、サプライチェーン活動による排出量が5?10%となっている[35]。供給側からの主な排出源は農畜産であり、農畜産業の中で反芻家畜の消化管内発酵が40%(CO2等価)、家畜糞尿が16%と農畜産業全体の56%と畜産が多くを占めている [36]。農場内の作物及び畜産活動から年142+-42Tgのメタン(CH4)と年8.0+-2.5Tgの亜酸化窒素(N2O)を排出し、CO2排出量は森林減少および泥炭地劣化などの土地利用変化からは年4.9±2.5 GtCO2/年を排出している[35]。2016年の農畜産部門に関連しているのはGHG全体の21%にすぎないが、電力などエネルギー部門からの排出は、エネルギー利用効率の向上と再生可能エネルギー源への移行によって、ゼロにまで削減することが可能である。また人口増加や経済発展により食料生産量は増加すると予想され、また、農畜産は複雑で多様な生物的物理的プロセスのため削減することは困難である。そのため、必然的に農業部門のGHGの排出量割合が大きくなっていく[37]。IPCCによると農畜産と食料システムの排出量削減のために対処をしない場合、2050年までに約30-40%増加する可能性が高いとされる[35]。また、IATPの試算によると2050年には世界全体のGHGが51Gt(2016)から13Gtに減少する一方、畜産の排出量は7.14Gt(2016)から10.53Gtに増加し、全体の81%を占めるようになると予測している[38]。農畜産からの排出と吸収源は、地球規模の炭素と窒素の循環の一部である。したがって、農畜産部門の緩和可能性を最適化するためには、これらの循環と農業活動がこれらとどのように相互作用するかを理解することが必要である[37]。農畜産と食料システムは、地球規模の気候変動への対応の一つの鍵である。効率的な生産、輸送、加工などの供給サイドの行動と、食料選択の修正、食料ロスと廃棄物の削減などの需要サイドの介入を組み合わせることで、GHG排出量を削減し、食料システムの強じん性を高めることが可能だとされる[35]

2021年には、食糧農業機関(FAO)の、持続可能な食料システムを維持するために、価格を歪め環境に配慮しない金融支援の問題に関する報告書の中で、農畜産への金融支援について、パリ協定の目標を達成するためには、特に高所得国において、世界の温室効果ガス排出量の14.5%を占める巨大な食肉・酪農産業への支援を転換する必要があり、低所得国では、有毒な農薬や化学肥料や、単一栽培への支援の転換が必要であるとしている[39]
畜産家畜とメタンの増加率


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