地球温暖化に対する懐疑論
[Wikipedia|▼Menu]
また、中国でも中世は気温が高かったという研究結果も出ている。[28]つまり中世に温暖化が起こっていたことを示している。もしも中世に現在程度の温暖化が起きていたとしたら、温暖化はGHG(温室効果ガス)が原因でなく、それ以外の自然変動よって、現在と同程度の温暖化は起きうるということである。IPCCの第5次評価報告では、CO2濃度倍増時の温度上昇として定義される気候感度は「1.5度と4.5度の間にある可能性が高い」とかなり不確実性の幅がある。実際には、現在の温暖化がどの程度GHGによるものなのか、あるいは自然変動によるものなのかは明確には分かっていない。GHGだけでなく自然変動も考慮する事は重要なことである[29]

(反論)氷期と間氷期の繰り返しは理論的に計算可能であり、それだけでは近年の地球温暖化は説明がつかず、近い将来に氷期が始まるとも考えられない。南極氷床の過去につくられた氷床コアを分析し復元(推定)した結果、気温が顕著に高い間氷期の間隔は約10万年であり、長期スケールの氷期と間氷期の繰り返しが明瞭にわかった。この気候変動の原因は、2万?10万年スケールの北半球夏季、地球の自転軸の傾きや軌道が周期を持って変動することより生ずる日射量変動に関係していることがわかっている(ミランコヴィッチサイクル)。地球では日射量変動や氷床や二酸化炭素(CO2)濃度の変化により、気温変化の増幅を繰り返しながら、気候が遷移したと考えられている。しかし、約2万1000年前の最終氷期から次の間氷期に遷移する約1万年間での4?7℃の全球気温上昇に比べて、20世紀後半から起こっている気温上昇速度はその約10倍も速いなど、20世紀後半から起きている気温上昇は、過去の推移とは明らかに異なる。そのため、ミランコヴィッチサイクルなどに起因する過去にもあった自然の気候変動の繰り返しでは、現代の温暖化の傾向を説明することができない。[25]

(反論)中世に現在と同程度に温暖であった地域は限定的であり、地球全体での平均気温では現在よりも寒冷であったと見られる[30]

人為的要因が無ければ現在の世界の平均気温は1950年代以下であったと見られ[31]、自然要因による変動幅よりも人為的な上昇幅の方が大きく[32]、実際には世界の平均気温は上昇を続けている[31][33]。今後の変化についても、主要な気候モデルの全てにおいて、少なくとも今後100年以上は気温の上昇が続くと予測されている[34]

(懐疑論)今後、自然サイクルにより寒冷化が始まる[35][36][37]

(反論)彼ら自身のインパクトファクターが付与されるような学術論文が論拠として示されている訳ではなく、近年の科学的結論によって否定されている[38][39][40][41]


太陽活動太陽活動と気温の変化

(主張)氷床コアの二酸化炭素濃度の変化が必ずしもその時代の二酸化炭素濃度の変化を反映していないので、二酸化炭素ではなく太陽活動が原因である(ヤヴォロスキら)[42][43][要検証ノート]。

(反論)ヤヴォロスキの主張は複数の間氷期の氷床コアデータの比較結果などとの矛盾がある[44][45]

(反論)20世紀半ば以降の太陽活動はほぼ横ばいか減少傾向を示し、太陽活動の活発化が原因とは考えられない[46]。観測された太陽放射の変動は0.1%程度で、地球の平均気温に与える影響も0.1?0.2℃程度である[47]

(宇宙線や太陽磁場の影響については#宇宙線・紫外線・太陽風節参照)

(主張)太陽活動が極小期を迎え、その前後数十年間は小氷期のように寒冷化する[48][要検証ノート]。

(反論)太陽活動の低下期であっても、人為的要因による気温上昇幅の方が大きいとかんがえられる[49][50]マウンダー極小期でさえ地球全体で0.1?0.2度程度の低下であり、そのレベルの太陽活動の低下でも温暖化の一時的、部分的抑制にしかならない[51][52]


宇宙線・紫外線・太陽風

(主張)可視光より変動の大きい
紫外線や太陽磁場が気候変動に少なからず影響している。宇宙線に誘起され形成される地球を覆うの量が変化して間接的に気温の変動をもたらしている(スベンスマルク効果を参照)[53][54]

(反論)宇宙線量の変化が実際の雲量や気候に影響を与えているという確たる証拠は見つかっておらず[55]、過去に観測された宇宙線量の一時的変化に対する雲量の変化も見られない[56][57][58]。影響があったとしても、観測されている温暖化の数%以下である[59]スベンスマルク効果を参照)。


二酸化炭素の温室効果についての議論近年の二酸化炭素と気温の変化二酸化炭素の赤外線の吸収と放出

(主張)既に地球放射エネルギーのうち95%は吸収されて飽和状態に近く、二酸化炭素が今後増加しても、大気の窓領域と重なる波長は限られており、それほど気候に変化は起きない[60]

(反論)二酸化炭素が温暖化を促進する効果には、十分な物理学的な証拠がある[61]。鉛直方向の大気全層に相当する二酸化炭素による1回の吸収による放射透過率を波長別に計算すると、確かに波数630から700/cm付近では吸収が飽和している。しかし、それは二酸化炭素による赤外線の射出をゼロとして、吸収の効果のみを計算した場合の話である。実際の大気では、地表面から射出された赤外線は温室効果ガスによって吸収・射出を繰り返し上空へと放出される。大気中の二酸化炭素濃度が増加すれば、この吸収・射出の平均回数が増加するため、温室効果は増加する。つまり、大気全層による一回の吸収が飽和しているからといって、二酸化炭素が増加しても温室効果は増加しないというのは誤りである[1]
次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:179 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef