地球時
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精密計時、天文学ラジオ放送の国際コミュニティーは、パルサーの観測に基づく新しい正確な時間尺度を作ることを検討してきた。この新しいパルサー時間尺度は、TTを計算するための独立した手段として役立ち、最終的にTAIの欠陥を特定するのに有用である。
近似

場合によっては、TTによって記述された時間は、TTの詳細な理論的特性が重要でない状況で処理されることもある。ミリ秒(またはそれ以上)程度の精度で十分である場合、TTは次のように近似できる。

ミリ秒の精度でよい場合、TTは国際原子時(TAI)と同じ時間間隔で進行するとみなせる。TTはTAIよりも早く、TT≒TAI + 32.184秒と近似することができる[5](オフセットの32.184秒は歴史的なものである[6])。

TTはまた、GPS時間尺度とも同じ時間間隔で進行するとみなせる。GPS時間尺度は国際原子時との一定の差(TAI-GPS時間= +19秒)を有する[7]。よって、TT ? GPS時間 + 51.184秒 と近似できる。

TTは実質的に以前の暦表時(ET)の続き(ただし均一性がより正確)である。TTはETとの連続性のために設計されており[8]、それ自体がETの秒を使った較正から得られるSI秒の速度で動作する。

TTは、ΔT = TT-UT1と呼ばれる量だけ、UT1(グリニッジ平均太陽時を補正したもの)より少し先行している。ΔTは、2015年1月1日の0時(UTC)で+67.6439秒と測定された[9]。遡及計算では、ΔTは1900年ごろにゼロに近づいていた。差異ΔTは、詳細までは予測不可能だが、増加し続けることが予想され、UT1とTTとのずれは大きくなってゆく。

相対論的関係

相対的に動いていて高度が異なる、異なる場所にいる観察者は、相対性理論によって記述された効果のために、お互いの時間の進み方が違って見える。その結果、TTは(理論上の理想としても)、全ての観察者の固有時に一致しない。

相対論的に言えば、TTはジオイド(本質的に平均海面)に位置する時計の固有時として記述される[10]。しかし[11]、TTは実際には座標時として定義されるようになった[12]。再定義はTTを定量的に変更するのではなく、既存の定義をより正確にした。 事実上、それは、無限に高い高度に位置する概念的な観察者と比較して、特定の高さの重力による時間の遅れに関してジオイド(平均海面水準)を定義した。

TTの現在の定義は、地球から無限に離れていて(故に重力による時間の遅れの影響を受けない)、地球に対して静止している概念上の観察者の固有時である、地心座標時(TCG)の線形尺度である。TCGは主に天文学における理論的目的のために使用されている。地球表面上の観察者の視点から見ると、TCGの秒は、観察者のSI秒よりもわずかに小さい。TTに対する観察者の時計の比較は、観察者の高度に依存する。それらはジオイドで一致し、より高い標高での時計がやや速くなる。
関連項目

太陽系座標時

地心座標時

脚注[脚注の使い方]^ The 1991 definition refers to the scale agreeing with the SI second "on the geoid", i.e. close to mean sea level on Earth's surface, see ⇒IAU 1991 XXIst General Assembly (Buenos Aires) Resolutions, Resolution A.4 (Recommendation IV). A redefinition by ⇒resolution of the IAU 2000 24th General Assembly (Manchester), at Resolution B1.9, is in different terms intended for continuity and to come very close to the same standard.
^ TT is equivalent to TDT, see IAU conference 1991, Resolution A4, recommendation IV, note 4.
^ IAU conference 1991, Resolution A4, recommendation IV, part 2 states that the unit for TT is to agree with the SI second 'on the geoid'.
^Resolution B1.9 of the IAU XXIV General Assembly, 2000
^ IAU conference 1991, Resolution A4, recommendation IV, note 9.
^ 原子時間尺度A1(TAIの前身)は、1958年1月1日の従来の開始日にUT2と等しく設定された(L Essen, ⇒"Time Scales", Metrologia, vol.4 (1968), 161-165, at 163を参照)。そのときのΔT (ET-UT)は約32秒であった。オフセットの32.184秒は、「現在の値に連続性を与え、暦表時の使用を実践する」ための、1976年の暦表時(ET)とTAIとの差の推定値である(IAU Commission 4 (Ephemerides), Recommendations to IAU General Assembly 1976, Notes on Recommendation 5, note 2を参照)
^ Steve Allen. “ ⇒Time Scales”. Lick Observatory. 2017年8月13日閲覧。
^ P K Seidelmann (ed.) (1992), 'Explanatory Supplement to the Astronomical Almanac', at p.42; also IAU Commission 4 (Ephemerides), Recommendations to IAU General Assembly 1976, Notes on Recommendation 5, note 2.
^ US Naval Observatory (USNO) data file online at ftp://maia.usno.navy.mil/ser7/deltat.data (accessed 27 October 2015).


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