地域に密着した編集方針や府県内における発行シェアを誇る意味で県紙や県民のための新聞[注釈 1](県民紙)を自称したり、そのように呼ばれたりすることもある。
全国紙のシェアが高い東京圏や大阪圏を除く地方部においては、一県一紙統制の経緯から、県紙がその県において圧倒的シェアを持ち、その論調や関連事業、発行元経営者が県政財界に強い影響力を持つこともある[注釈 2]。静岡新聞、新潟日報、信濃毎日新聞、京都新聞、神戸新聞、山陽新聞など有力な地方紙は、ブロック紙に匹敵する発行部数を有する。信濃毎日新聞や静岡新聞等は西日本新聞や河北新報等の一部ブロック紙の発行部数を上回っている[11]。京都新聞のように複数の県(京都府と滋賀県)で販売しているものもある。 県内における政治的対立や生活圏・経済圏の違いといった事情により、従来の県紙に対抗して創刊された新聞を指す。後述の「第二地方紙」に比べて、政治的意味合いが強い場合に使用される。県紙と比較すると発行部数や普及率などで劣勢に立っていることと、それゆえの経営基盤の脆弱さから1990年代以降廃刊に追い込まれる例も目立つようになっている(後述)。 都道府県内の一部地域のみで発行され、日刊ではない新聞もある。ただし、『デーリー東北』(青森県東部と岩手県北部の南部地方)のように複数の県にまたがって配布されているものもある。狭義の「地方紙」は、地域紙を含まない。 有力な日刊地域紙は、地元市町村で県紙や他の新聞を上回る世帯普及率に達し、地元社会への影響力も大きい。一部は小規模な県紙に匹敵する発行部数を持ち、日本新聞協会に加盟している発行元もある。 地域紙が存立する経緯や要因は下記のように地理や歴史的経緯など様々である。 また、東日本大震災(2011年)で大きな被害を受けた岩手県大槌町では、既存地方紙すら必要な情報を十分伝えていないと考えた町民によって『大槌新聞』(2012?2021年)が創刊されたような例もある。 『日本地域新聞ガイド2016―2017』(日本地域新聞図書館)では週5回以上発行される日刊紙を扱う発行元が約110社掲載されているが休刊・廃刊も相次いでいる[3]。その要因としてはスマートフォンなどによりインターネットでの情報収集が容易になったこと(デジタル化[3])、読者の高齢化[3]と地方の人口減少、生活・経済圏の広域化、県紙や全国紙との競争が挙げられる。 一方でデジタル化は、紙の新聞を印刷・配達するコストなしでマスメディアを運営できる利点もある[3]。2017年春に休刊した茨城県南地域の『常陽新聞』元スタッフが同年秋にニュースサイト「NEWSつくば」(茨城県つくば市)を発足させたほか、みんなの経済新聞ネットワーク系列の各サイトは、大都市の繁華街を含む単位でビジネスやイベントの情報を発信している。 メジャー紙(全国紙)の対義語として、地方紙や地域紙を包含する意味あるいは地域紙を指して用いられる。発行エリアや発行部数が少ないことを強調する文脈で使用されることがある。 紙面構成は概して政治、経済、健康、娯楽(主にスポーツ)、社会、地域の6分野で構成され、この点は全国紙とさほど変わりない。しかし、ニュースの配分が販売領域とする地方を重点的に置くことが特徴である。また、テレビやラジオのローカル局を系列会社として経営する地方紙も多い。 取材網は発行エリアに限られるため、国政、日本経済全体に関するニュースや国際面はその多くが共同通信社・時事通信社などから提供された記事であり、提供記事が紙面の半分以上を占める場合も少なくない[12]。ただし、販売地域内出身の政治家やスポーツ選手もしくは販売地域内に本社や大規模工場をもつ企業をクローズアップして記事を掲載することがある。記事や社説も市町村長・知事や地方議会の動向や、イベントに関する内容が多い。政論よりも生活密着、とも言える。 総じて関東地方や近畿地方、山口県などの一部地域では全国紙のシェアが大きいが、その他の地方では地方紙が圧倒的なシェアを持つことが多い[11]。2020年の読売新聞社の調査では、10都府県(茨城県・埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・滋賀県・大阪府・奈良県・和歌山県・山口県)を除く37道府県で地方新聞がシェア1位を占めた[11]。
第二県紙
第一地方紙と第二地方紙
各都道府県における全国紙、ブロック紙を除いた発行シェアトップを「第一地方紙」、それ以外を「第二地方紙」と呼ぶことがある。
地域紙(地域新聞)
同じ道県内でも、江戸時代までの旧国や藩、生活・経済圏が違う地域ごとの新聞が存続している場合[注釈 3]
離島[注釈 4]
県紙がなくなったり弱体化したりした県[注釈 5]
ローカル紙(ローカル新聞)
特徴
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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