日本国憲法第93条第1項は「地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。」としている。憲法93条は単に「議事機関として議会を設置」と規定しているだけで権限等は憲法上明確でないという指摘がある[1]。
また、日本国憲法第93条第2項は「地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。」としている。
憲法93条は地方政府のあり方を定めたものとも解されるが、2項には「住民」が登場することから住民を含む意味で用いられているとも解される[1]。なお、地方自治法では、町村では条例で議会を設置せずに選挙権を有する者全員による町村総会をもって議会に代えることができるとしている(地方自治法94条)[1]。 日本国憲法第94条は「地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。」としている。 憲法94条の規定にいう「条例」には議会が定めるもののほか首長や委員会等が定める規則まで広く含む[1]。憲法94条は地方政府の権限を定めたものとも解されるが、条例は住民によって構成される町村総会(地方自治法94条・95条)でも定めることができるので住民を含む意味で用いられているとも解される[1]。 日本国憲法第95条は「一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。」としている。 憲法95条は特定の地方政府の権限について異なる扱いをすることを想定したものとされ、内閣法制局の見解でも「一の地方公共団体のみに適用される特別法」は「特定の地方公共団体の組織、運営、権能、権利、義務についての特例を定める法律」を意味していると解しているが、英米法の個別的地域法(private local act)をモデルにしたものと理解すれば当該住民についての異なる扱いについても適用が想定されているのではないかとする指摘がある[1]。 地方自治法上の「地方公共団体」には以下のような種類がある(地方自治法1条の3 このほか「市町村の合併の特例に関する法律」に規定する特別地方公共団体として合併特例区がある。なお、指定都市の区又は総合区は指定都市の下位にあるが独立した地方公共団体ではない。 地方自治法上の位置づけにより「地方公共団体」は以下のようにも区分される。 地方公共団体は法人格を有する(地方自治法第2条 なお、以下の地方公共団体は廃止されている。
地方公共団体の権能
地方特別法
地方自治法上の地方公共団体
地方公共団体の種類
普通地方公共団体
都道府県(47)1都(東京都)、1道(北海道)、2府(大阪府、京都府)、43県(青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、神奈川県、新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県)
市町村(1,718)市(792) - 町(743) - 村(183)
特別地方公共団体
特別区(23:東京都区部)特別区は、都のみに置かれる特別地方公共団体であるが、都が処理する業務以外の部分では市に準じる。
地方公共団体の組合(一部事務組合及び広域連合)
財産区
基礎的地方公共団体
市町村と特別区がこれにあたる。
包括的地方公共団体(広域的地方公共団体)
都道府県がこれにあたる。
特別市(特別地方公共団体の一種)
全部事務組合(地方公共団体の組合の一種)
役場事務組合(地方公共団体の組合の一種)
地方開発事業団
かつての特別地方公共団体の一種。