地域
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なお、実質地域を既存の物理的・客観的な単位としてみるときの地域概念(後述の等質地域や機能地域・結節地域のような分類を含む概念)と捉え、後述の認知地域や活動地域に対する概念として用いられることもある[14]
等質地域と機能地域

地域概念の中で最も重要な類型である[12]

等質地域英語: uniform region又はformal region)地形(平野、台地、丘陵など)や土地利用(水田、畑作、工業など)などによって特徴づけられる空間的なまとまりを等質地域という[14]。ある空間が周囲とは異なる性格によって切り取られる場合、その空間を等質地域と言う。例えば、とある畑作地においてジャガイモの生産が卓越する区画とニンジンの生産が卓越する区画があったとする。この時、前者をジャガイモの等質地域、後者をニンジンの等質地域と考えることができる。このほか、有名な等質地域の例としては柳田國男が『蝸牛考』の中で示したカタツムリ方言分布(→方言周圏論を参照)が知られる。

機能地域英語: functional region)性格の異なる空間同士が一つないし複数の中心点(=結節点、ノード、node)を核として機能的に結び付くことで形成される。身近な例では生活圏や通勤圏が挙げられる。機能地域は結節点を有することから結節地域(nodal region)とも称する。厳密には機能地域は単に機能的結合がみられる場合、結節地域は中心地があり一般的に階層的な関係がみられる場合をいうとされる[14]

認知地域

実質地域を既存の物理的・客観的な単位として定義した場合に、これに対して自宅や職場など個人や社会集団の主観的で構造的なまとまりを認知地域という[15]。認知地域には地域アイデンティティや地域観などがみられる[15]
活動地域

実質地域を既存の物理的・客観的な単位として定義した場合に、これに対して既存の構造ではなく新たな都市計画や市場開拓の際の対象として捉えられる地域を活動地域という[16]。活動地域は一定範囲の社会や集団を組織化する側面がある[16]
全域と基域

木内信蔵が地域の属性として挙げた第5番目の「より大なる地域の部分である」の「より大なる地域」が全域(ぜんいき)、「部分」が基域(きいき)に当たる。つまり、基域の集合体が全域である。

例えば、四国は日本全体から見れば一部分であるから、日本は全域、四国は基域である。また見方を変えて、四国を全域と考えれば、香川県は基域である。更に香川県を全域とすると、高松市は基域である。
政治学・経済学における定義

政治学経済学においても「地域」の語は用いられるが、地理学ほど地域そのものについて議論されることは少なく、政治学や経済学の辞典では、地域から始まる用語は掲載されていても、「地域」という項目がないものも多い[注釈 4]
政治学における定義

政治学及び地域研究においては、ジュリアン・スチュワードの「世界地域」の説明が「地域」の定義として受容、定着している[17]。スチュワード自身は、以下の5つをすべて「地域」として捉えた[17]
世界地域(world area)…世界的な重要性を持った区域。例えば、ロシア極東東ヨーロッパなど。

文化地域(culture area)…共通の文化を持つと考えられる区域。例えば、ラテンアメリカ近東マヤなど。

国家(nation)

植民地

特定地方(specific region)

これに対する批判としては、「世界地域」の概念によって地域研究が政策科学の性格を帯びるようになったこと、きわめて恣意的なくくり方をした人為的区画をもって「地域」と称することができる面があること、が挙げられる[18]

また、スチュワードが主張した「特定地方」に相当する、国民国家の内部の部分領域を「地域社会」とする用法もある[19]
経済学における定義

経済学で用いられる「地域」の語は、理論的文脈では往々にして不明瞭に扱われ、実証的分析では定義が厳密ではない[20]


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