地域
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また、スチュワードが主張した「特定地方」に相当する、国民国家の内部の部分領域を「地域社会」とする用法もある[19]
経済学における定義

経済学で用いられる「地域」の語は、理論的文脈では往々にして不明瞭に扱われ、実証的分析では定義が厳密ではない[20]。このため、取り扱うテーマやデータの利用可能性に合わせて意味合いの変化する概念である[20]。『マグローヒル現代経済学辞典』では、地域(Region)について以下のような説明がなされている[21]

都市地域の一部分から,大陸の一地方にいたるまで,さまざまの広さに用いられる用語。たとえば,合衆国では,地域あるいは,地方の資料は,都市地域,地区,,おもな地域の州群,たとえば,ニューイングランドやミドルアトランテック州のような形で得られる。」

(後略)

経済学における地域は、一般に資本労働の移動の制約が小さく、移動可能性の高いものとして捉えられる[20][22]。ゆえに、現代は移動可能性が高まっていることから『マグローヒル現代経済学辞典』の定義を超えて、宇宙地球も地域であると考えられる[22]。また、人類歴史をたどれば、地域は都市と農村という2つの定住形態からなり、国家が消滅しても存続する概念である[23]

上記のように、国家の枠を超越した大規模な空間を地域として捉える一方で国家の内部の狭い空間を地域として捉えることもある[23]。よって、地域経済学に関する文献では、地域がさまざまな範囲を指す言葉であることを示した上で、国家の内部の狭い空間を対象とする旨を述べたものもある[24]
言語学における「地域」

言語学において、地理的に近接した言語同士は、しばしば一群の音韻的・文法的特徴を共有していることが知られており、そのような地域特徴により規定される言語群は「言語連合 (: Sprachbund)」ないし「言語領域」(: linguistic area) と呼ばれる[25]。言語連合の範囲は、行政上の地方区分や、自然的・歴史的・文化的な観点から行われた地域区分と一致するとは限らない。例えば、バルカン言語連合の分布地域は、歴史的・文化的な「バルカン」と概ね一致している一方、大陸部東南アジア言語連合は、通常東南アジアの一部とは見做されない地域の言語、すなわち北方官話を始めとする中国語諸方言が含まれる[26]
脚注[脚注の使い方]
注釈^ a b 木内『地域概論』83ページでの表現
^ 中村ほか『地域と景観』109ページでの表現
^ 『地域と景観』112ページでは「形式地域」を"formal region"と訳した場合、「等質地域」と同じになってしまい、用語の混乱を来すことを紹介している。
^ 阿部ほか編(1999)『現代政治学小辞典 新版』有斐閣、金森ほか編(2002)『有斐閣経済辞典第4版』有斐閣、大学教育社編(1998)『新訂版現代政治学事典』ブレーン出版など。いずれも地域から始まる用語を掲載するが、「地域」そのものの項目はない。

出典^ 中村ほか、1991、107ページ
^ a b 中村ほか、1991、108ページ
^ 中村ほか、1991、113ページ
^ 朝野ほか、1988、38 - 39ページ
^ a b c d 中村ほか、1991、110
^ 木内、1968、84ページ
^ 水津、1982、18 - 41ページ
^ a b c 水津、1982、20ページ
^ 木内、1968、83ページからの引用
^ a b 中村ほか、1991、109ページ
^ 木内、1968、87ページ
^ a b 中村ほか、111ページ
^ 中村ほか、112ページ
^ a b c 『地域政策入門』ミネルヴァ書房、2008年、14頁。 
^ a b 『地域政策入門』ミネルヴァ書房、2008年、14-15頁。 
^ a b 『地域政策入門』ミネルヴァ書房、2008年、16頁。 
^ a b 矢野(1987):11ページ
^ 矢野(1987):12ページ
^ 清水ほか(1996):4ページ
^ a b c H.アームストロング・J.テイラー(2005):2ページ
^ ダグラス・グリーンワルド編(1968):390ページ
^ a b 原(2000):4ページ
^ a b 宮本ほか(1990):3ページ
^ 宮本ほか(1990)『地域経済学』や原(2000)『地域の経済学』など。
^ .mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}田口善久(著)「言語連合」。斎藤純男、田口善久、西村義樹(編)『明解言語学辞典』三省堂、2015年、75頁。
^ Enfield, N. J. (2018), Mainland Southeast Asian Languages: A Concise Typological Introduction, Cambridge University Press, doi:10.1017/9781139019552, ISBN 9781139019552 

参考文献

朝野洋一
寺阪昭信北村嘉行『地域の概念と地域構造』(日本の地域構造1、大明堂、1988年5月17日発行、ISBN 4-470-51001-7 、37 - 40ページ)

木内信蔵『地域概論?その理論と応用?』(東京大学出版会、1968年2月29日初版発行、1972年3月15日第3刷、82 - 93ページ)

清水昭典十亀昭雄・蓮池穣・山本佐門『増補新版 地域からの政治学』1996年3月25日第2版発行、窓社、233pp. ISBN 4-943983-88-X

水津一朗『地域の構造?行動空間の表層と深層?』(大明堂、1982年6月30日発行、ISBN 4-470-43014-5 、18 - 41ページ)

ダグラス・グリーンワルド編『マグローヒル現代経済学辞典』山田雄三・千種義人 監訳、好学社、昭和43年4月20日、730pp.

中村和郎・手塚章・石井英也『地域と景観』(地理学講座 第4巻、古今書院、1991年6月15日初版第1刷発行、ISBN 4-7722-1230-2 、107?110ページ)


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