ただし、人口減少が激しい自治体ほど、家賃補助のような経済支援による応急処置的な移住策を選択し、子育て環境の充実といった定住促進策を行うのが難しい状況にある。経済的支援は、若い世代の誘引策としては効果が一時的で持続的な定住策としては未知数である。過度に経済支援を行った場合、自治体の財政を悪化させ、かえって地域の弱体化に拍車をかける恐れがある。また、移住の呼びかけが過熱して自治体が人口を奪い合うようになれば、小規模自治体がさらに疲弊することが懸念される。そのため様々な側面から費用対効果を検証し、実態にあった施策をとることが必要であるとされる[6]。 観光によって観光業(宿泊業など)が盛んになると、小売業・卸売業などにも経済効果が波及し、域内の経済が活発になる。そのため、観光振興は地域経済の活性化につながる[7]。 地元住民にとって「当たり前」で「何でもないこと」(山・海・水・田園風景・棚田・雪原・星空・自然環境全般など)が、観光資源になる。 旅行先で人々と交流したり、現地独特の人々の生活様式をじっくり見たり実際に体験することでその人の「人生の一部」になるような旅を好む人々の割合が次第に増えてきている。そこで「農業体験コース」「漁業体験コース」などを設けるという方法もある。 地元民が子供のころから何気なく食べている料理(地元の日常食・家庭料理・郷土料理)を、他の地域の人々も食べてみたいと思えるような形で提供し、上手に広報して多くの人々に知ってもらえば、商業ベースに乗ることもある。獣害が深刻な地域では、森や里山に自然の動物が出没するということなので、シカやイノシシの肉をジビエとして売り出すという方法がある(和歌山県など)[8]。また、風が吹き抜ける地域では、風力発電機(大規模な風力発電所・ウィンドファーム)を設置して、当該地域に必要な電力のかなりの割合をそれでまかない、その地域の経済的な強みとしたり、あるいは売電
産業の振興
地元の漁業・農業の振興
(農業地域)地域の農作物の品質向上・基準策定・地域ブランド化とその広報。新たな有望な農作物品種への挑戦と、成功した品種の地域内の農家への普及
道の駅を設置し、観光客に対し地域の農産物や特産物を直売し、生産者の収入や地元民の雇用につなげる
企業・工場の誘致(「企業が地方へ進出する際に発生する、何らかのメリット(用地確保、減税など)の提示」と「地元の人の雇用割合、地元枠のノルマの要求・確保・契約書のとりかわし」をワンセットで行う。ただ来てもらうだけでは、必ずしも地元の人の雇用につながらない)
観光資源の発掘・創出・再検討(後述)
文化戦略
上手くいけばメディアで話題となるが、他の地域が模倣することで埋もれてしまい、長期的には効果が薄くなってしまうことがある。ミニ独立国・ご当地キャラクター(ゆるキャラ)・B級グルメなどは、あまりに乱立が過ぎて、効果が激減してしまったといわれる。アート産業への多大な税金投入も問題となっている[9]。象徴的な事例ではあいちトリエンナーレの2019年の騒動が挙げられる。 箱物行政とは、日本の地域自治体などが美術館・博物館・スポーツ公園・リゾート施設などの公共施設(=箱もの)を建設すること。 安定成長期までは一定の成果があることもあったものの、失われた10年を経て負の遺産と化したものも多い。「箱物」は、各地域で似たようなものが乱立し、相対的に人を引き寄せる力が弱い。また、建造後の毎年の維持費(管理者の人件費、建築物の補修費など)が大きく、赤字になりやすい。そのため、地域衰退の要因のひとつにもなっている。また土建業者と、地元有力議員・助役・市長などの間の賄賂のやりとりや、談合が起きやすい。
箱物行政
目玉施設の整備
都市開発・再開発
インフラ整備
情報インフラの整備(情報格差の減少)
「ニューメディア」「IT革命」などのスローガンが使われた。
交通インフラの整備
利用が減少し、廃止の危機にある鉄道・路線バスへの運行経費や車両購入費用補助、コミュニティバスの運行、タクシー利用補助券の配布。
バスマップ(路線図・時刻表・乗り方・バスを利用して行ける施設を記載)の配布。乗り方教室・無料運行日の実施や、体験乗車券の配布。鉄道との乗り継ぎ時間を極力短くしたダイヤ編成。バスロケーションシステム(走行位置情報)の提供。学生・高齢者・障害者・運転免許証返納者向けに割引した定期券の発行。環境定期券制度の導入。観光施設入場料とセットになった割引乗車券の発売といった利用促進策