地図
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地図の種類

地図学上の分類である一般図と主題図については「地図学#地図の種類」を参照。
作製方法による分類

地図には広義の測量の直接的な成果として得られる実測図とこれを編集して作製される編纂図がある[12]

このうち実測図はさらに基準点測量を基礎として細部を地形測量で測図した地形図と、単に地形測量や特殊測量のみによって測図される略測図に分けられる[12]

書店等で一般的に入手可能な地形図は、西緯度経度が指し示されて、等高線による土地の高低差、河川のような水域、行政区画、道路や建物の位置などの多くの情報が網羅されている。地形図について日本では国土地理院により測量が行われている。従来使われてきた測地系(座標を決める基礎情報)が、GPSなどで使われるものと大きく異なっていたため、測量法の改正により2002年4月1日に「日本測地系」を「世界測地系」に変更した。その前後の緯度、経度は座標変換が必要になる。

また、編纂図も実測図をもとに実地調査・統計・文献調査の成果を取り入れ編纂・図化した一般編纂図(地勢図地方図など)と、特定の事象についてのみ表現を目的とする特殊編纂図(土地利用図や人口分布図など)に分けられる[12]
縮尺による分類

地図は縮尺によって、縮尺100万分の1より小さい小縮尺図、縮尺100万分の1から10万分の1の中縮尺図、縮尺10万分の1より大きい大縮尺図に分けられる[12]。また日本の国土地理院地形図は慣例として、1/500?1/2500を大縮尺、1/1万?1/5万を中縮尺、1/10万より小さい場合を小縮尺という。

なお大縮尺(図)のほうが、細かいところまで描かれている地図である。「縮め方の大きな地図」という意味ではないので注意。
投影法による分類

地図には目的に応じた投影法が用いられる。地図は投影面の種類によって、平面図法、円錐図法円筒図法、便宜図法に分類される[12]。また、正しく表現する対象により、正主距離図(正距図)、正積図、正角図に分類される[12]。詳細は「投影法 (地図)」を参照
収容地域による分類

地図は収容地域によって、世界地図、半球図、日本地図のような各国の地図、市町村図などに分類される[12]
様式による分類

地図はその様式により、調製地域となる範囲を画した上で一定の経緯度で分割し一区画ごとに作製した切図(地形図や地勢図など)、用途に応じて一葉の形式あるいは折本や掛図とした全図(世界全図や日本全図など)、地勢図などを規格を統一して一冊の形式にまとめた地図帳に分類される[12]
目的による分類

地図は一般図と特殊図に分けられ、一般図は基本図と編纂図、特殊図は地籍図(土地事業用図、都市計画図、地質図など)と土地利用図(人口密度図、交通図、統計図など)に分けられる[12]
地図の要素ヨーロッパの人口分布を記した地図。人口の多い地域を大きく描いているため、実際の地形とは大きく異なる。

地図の要素には (1) 距離・面積、(2) 位置・方向、(3) 高さ、(4) 地形・地物・地名などがある[13]
距離・面積

地図上の距離・面積は縮尺によって定まる[14]
位置・方向

地図上の位置・方向は投影法によって定まる[14]
高さ

地図上の高さは水準測量によって定まる[14]
地形・地物・地名

地形は水平曲線(等高線、等深線)あるいはボカシ・ケバ・段彩などによって表現される[14]

地物には都市・集落・鉄道・道路・河川など縮尺化して地図上で真形を表すことのできる骨格地物と、縮尺化しても地図上では真形を表すことのできない記号地物がある[14]。記号地物はさらに、独立樹や井戸などの小物体、学校など建物の性質を示す副記号、水田や森林など地類の状況を示す地類記号などに分類される[14]

地図上の地名とは国名、地理的地名、路線名など図形で表現することが困難なもので、日本の地図では漢字、かな、数字などで記載される[14]
立体地図地球を平面に描いた地図

立体地図(りったいちず)、あるいは3次元地図(さんじげんちず)とは、地形の起伏(大縮尺の場合は建築物の高低を含む)を見る人に感じさせる地図の総称であり、大別すると平面の紙に記したもの、模型で起伏を表したもの、コンピュータのデータで高さの情報を持っているものがある。
平面地図を用いた手法

隣接した視点からとった2枚の平面状の図を見ることによって、人間は脳内に立体的な像を再現することができるという立体視の技術によって作成された地図で、ステレオグラムとも称する。裸眼で見たり、赤色・青色の色眼鏡をかけて見る。この原理は写真測量法においては、標高が不明な2枚の航空写真から、写真内の地点の標高を求める際にも用いられる。
模型

工作物で高さを表す。「浮き彫り」のことをレリーフと呼ぶことから、レリーフ地図ともいう。また、ジオラマと称することもある。児童・生徒の工作の場合など、等高線の形に切り取った厚紙を重ねて作成することもある。なお、地球儀を立体地図の一種として扱う場合もある。
コンピュータ地図ケラヴァのコンピュータ地図

コンピュータ内のデータとして3次元情報を持ち、これを3次元コンピュータグラフィックスの技術によって画面上に地図として表示する。コンピュータ地図の一般として拡大・縮小・移動(スクロール)ができるほか、立体視特有の操作として空中の一点を「目」の位置として、ここから視線を上下左右に移動して見ることができる場合が多い。

データは、離散的な点の3次元座標を数値標高モデル(DEM)の形式で持ち、ここから地表面をポリゴンで表すようにソフトウェア処理する場合と、はじめからポリゴン形式で持つ場合がある。カーナビゲーション用の地図などで都市の建物の3次元情報を持つ場合はポリゴン形式が多い。
地図と法的関係
日本における権利

著作権法
地図は
著作権法第10条1項6号で図形の著作物として例示されており、同法で保護される[15]。保護期間はおよそ次のように定められている。

個人が著作権を持つときは、同法第51条において著作者の死後70年[16]

法人その他の団体が著作の名義を有するときは、同法第53条において公表後70年[17]

無名で公表されたときは、同法第52条において公表後70年[18]
なお、古い地図の中には『版権』と記されているものがあるが、これは『著作権』の旧称である。
不動産登記法による地図

不動産登記法第14条(地図等)には、登記所には、地図及び建物所在図を備え付けるものとする。地図は、一又は二筆以上の土地ごとに作成し、各土地の区画を明確にし、地番を表示するものとする。

と定められている。地図という普通名詞では紛らわしいので、一般に法14条地図と呼ばれている。この地図は、地籍調査に基づいて作成された地籍図、土地区画整理事業や土地改良事業に基づいて作成された土地の所在図などの、精度の高い測量成果に基づいて作成されている。


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