地中海
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この時期、とくに19世紀に入って以降、従来の地中海沿岸諸国に加え、地中海への入り口を確保したオーストリア帝国(のちにオーストリア・ハンガリー帝国)が、アドリア海の湾奥にあるトリエステ港を整備し[25]、ここを拠点として地中海進出を進めていた。
現代

第一次世界大戦では、地中海は重要なシーレーンと戦場になった。地中海沿岸に領土や権益を持つ諸国が、英仏伊の連合国と、オーストリア・ハンガリー帝国とオスマン帝国、ドイツ帝国中央同盟国に分かれたためである。特にアドリア海はイタリア海軍オーストリア=ハンガリー帝国海軍の間で、オトラント海峡海戦などいくつかの海戦が起こった。英仏は地中海を経由してオスマン帝国本土へ遠征(ガリポリの戦い)。連合国側で参戦した日本第二特務艦隊を地中海へ派遣した。

第一次世界大戦後、オーストリア・ハンガリー帝国は崩壊。アドリア海沿岸の旧領は、イタリアとセルビア王国の後継であるユーゴスラビア王国が獲得した。

第二次世界大戦においては、地中海は第一次世界大戦よりさらに大規模な戦いの舞台となった。イタリアとナチス・ドイツを主力とする枢軸国と、イギリスなど連合国の間に地中海の戦いと総称される多数の戦闘が起きた。イギリスはマルタ島を基地として枢軸軍の補給を脅かし続けた。

第二次世界大戦終結後、1956年スエズ動乱によってイギリスはスエズ運河の支配権を完全に喪失し、ガマール・アブドゥル=ナーセル率いるエジプト政府がスエズ運河を国有化した。しかし1967年第三次中東戦争が勃発し、大勝したイスラエルシナイ半島を占領下に置き、スエズ運河東岸を支配した。これによりスエズ運河は通行不能状態となり、地中海を経由する東西交易は一時完全にストップし、古い喜望峰回りのルートへの移行を余儀なくされた。この状態は1973年10月の第四次中東戦争まで続いたが、この戦争後両国は歩み寄りを見せ、1975年に運河通航は再開されて、これにより地中海経由の東西貿易も再び復活した。

地中海は欧州他地域と同様に北大西洋条約機構(NATO)とソビエト連邦などとの東西冷戦の舞台ともなり、沿岸に領土を持たないアメリカが第6艦隊を展開するようになった。
政治2008年7月に発足した地中海連合の参加国 .mw-parser-output .legend{page-break-inside:avoid;break-inside:avoid-column}.mw-parser-output .legend-color{display:inline-block;min-width:1.5em;height:1.5em;margin:1px 0;text-align:center;border:1px solid black;background-color:transparent;color:black}.mw-parser-output .legend-text{}  EU加盟国   EU非加盟国   斜線はオブザーバ国

1995年、バルセロナで開かれた欧州・地中海会議において、欧州と非欧州の地中海沿岸諸国(マシュリクマグリブ)との政治・経済・文化面での交流を深めるべく、欧州・地中海パートナーシップ(バルセロナ・プロセス)が発足した。この取り組みは一定の成果を上げ、この取り組みを下敷きとして2007年フランス大統領ニコラ・サルコジ地中海連合を提唱し、2008年欧州連合(EU)および地中海沿岸諸国の共同体として発足した。

2000年代より、政治・経済的混乱が続くブラックアフリカアラブ諸国から、難民が船を仕立てて地中海を渡り、北岸のEU諸国へと上陸する事例が多発し、問題となっている。特にアフリカ大陸に近いイタリア領のランペドゥーザ島などが主な目標となっている。ランペドゥーザ島には2000年代初頭以降ランペドゥーザ難民収容センターが設けられ、難民を収容しているが、押し寄せる多数の難民によって収容センターは人員を大幅に超過する状態が続いている。これらの難民船は老朽化したものが多く、海難事故も多発している。2013年10月3日には、リビアからイタリアへ向かう難民船が2013年ランペドゥーザ島難民船沈没事故を起こし、360人以上が死亡した。2014年9月10日には、マルタ沖で難民と密入国業者の間のトラブルから業者が故意に船を沈め、難民500人以上が死亡する事故が起こった[26]
経済

地中海は世界で最も海上交通の盛んな地域の一つである。古代から船と港を自然の脅威から守り貿易を支えてきた。沿岸の諸都市間を結ぶ近距離航路、ジブラルタル海峡やスエズ運河、ミディ運河を通り東西を結ぶ貿易航路によって常に混雑している。

近代からは海底ケーブルが多く敷かれ、戦後はスーパーグリッドが一帯を電化させた。そこへスマートグリッドを応用したスーパースマートグリッドが今は世界的な開発市場となっている。

また、地中海沿岸は特に夏に快晴に恵まれ、冬の寒さもそれほど厳しくないため、夏は海水浴、冬は避寒を目的に、陽光の少ない北ヨーロッパ諸国を中心とした世界各国から観光客の集まる大リゾート地が数多く存在する。こうしたリゾート開発は18世紀後半に王侯貴族のものとして始まったが、鉄道や蒸気船の開発によって交通の便が著しく向上した19世紀には富裕層全般に拡大。1970年代に入ると西欧諸国の労働条件の改善やバカンス制度の導入により、一般市民にも手の届くものとなり、一大産業となった[27]

地中海は観光地やリゾート地、大都市などが点在するため、こうした街々を結び、さらに地中海に美しい風景を楽しむためのクルーズ船も多く就航している。地中海クラブと呼ばれる観光企業も存在する。
主要な島

東部:
キプロスロドス島クレタドデカネス諸島

中部: シチリアマルタサルデーニャコルシカ

西部: バレアレス諸島

地中海で面積の広い島の上位10島は、以下のとおりである。

旗島面積(km2)人口
シチリア島25,4605,048,995
サルディニア島23,8211,672,804
キプロス島9,2511,088,503
コルシカ島8,680299,209
クレタ島8,336623,666
エウボイア島3,655218,000
マヨルカ島3,640869,067
レスボス島1,63290,643
ロドス島1,400117,007
キオス島84251,936

沿岸の国家と主要都市

ヨーロッパ: (西から順に東へ)
スペインフランスモナコイタリアマルタ(島)、スロベニアクロアチアボスニア・ヘルツェゴビナモンテネグロアルバニアギリシャトルコ(東トラキア


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