地下街
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これに対して、地下通路を通じて他の地下街と連絡している大阪の『阪急三番街』や、構造的には地下街と見なせる名古屋の『エキワン』は、駅施設直下にあるため地下街とは定義されない[10]

なお、法的な地下街とは別に、駅やビルの地下も含めた「実質的な地下街」を網羅したデータは2011年時点で存在しないとされる[10]
道路法

道路法(昭和二十七年法律第百八十号)は成立当時から、道路占用の対象として地下街を位置づけている。その後、1957年に発出された「道路の管理について」[11]及び「道路の管理に関する取扱いについて」[12]により、地下を含む占用の取扱いが明確化されている。地下については、原則として地上交通の緩和的施設に限ること、地下道、地下室等の出入口は、原則として道路敷内に設けないこと等が定められている。

また、特に駅前広場に関しては、「駅前広場における地下施設の設置に関する日本国有鉄道・建設省間の覚書」(1956年)により特定の駅に限定し都市計画事業として実施することとされ、その後、「駅前広場における地下施設の設置に関する日本国有鉄道・建設省間の申し合わせ」(1969年)により、地下道の幅員、施行者基準、地下付帯店舗の面積割合等の計画基準が規定された。この計画基準は、1972年「地下街に関する基本方針について」[13]に引き継がれている。

なお、1997年の建設省道路局長通知「地下鉄施設への二次占用について」[14]により、「地下街に関する基本方針について」に定められた要件、手続きを経ずに道路の地下に商業施設が設置されるケース[† 1]が出てきたが、これらはキヨスク等と同様の駅の利便施設とされ、地下街には定義されない。
建築基準法

建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)の成立時から、避難階に至る直通階段までの歩行距離の規制をしているが、地下街という用語はなく、地下街を規制の対象とする積極的な意図も特になかった[15]とされている。その後、1959年12月4日の同施行令改正により令第128条の3を追加、地下街の各構えと接続する地下道の基準を規定し、地下街の各構えは地下道に2 m以上接すること等が規定された。さらに、1969年旭川駅地下ステーションデパート火災、1970年地下鉄新宿駅構内火災、1972年大阪千日デパートビル火災等を踏まえて、各構えの耐火性能、防火区画の強化、避難の歩行距離を規定を追加している。
消防法

1967年消防審議会「超高層建築物及び地下街の防災対策について答申」に基づき、翌1968年に消防法改正[16]、同法に第8条の2を追加し、超高層建築物及び地下街等の防火管理が整備された[17]。また、1974年に消防法施行令を改正し別表1に16-2を追加し[18]、消防施行令に地下街が位置づけられた。従来、地下街については地下工作物内の店舗、飲食店、事務所等をそれぞれ個々の防火対象物としてとらえ、それぞれの用途及び規模に応じて消防用設備等に関する規定を適用していたが、この改正で地下街を令別表第1(16の2)項に掲げる防火対象物として追加したことにより、同表(1)項から(16)項までに掲げる防火対象物が連続して地下道に面して設けられ地下街を形成しているときは、これら防火対象物は、同表第1(1)項から(16)項までに掲げる個々の防火対象物としてではなく、別途地下街としても規制されることとされた[19][† 2]。その後、1980年8月静岡駅前地下街ガス爆発事故を踏まえ、1981年消防法施行令を改正[20]、準地下街に対する規制の新設(同施行令別表1に16-3を追加)をするとともに、地下街等に対するガス漏れ火災警報設備の設置を義務づけるようになった[17]
地下街の取扱いについて、地下街に関する基本方針

1972年千日デパート火災を機に、1973年建設省消防庁警察庁運輸省通達「地下街の取扱いについて」[21]により、地下街新設は厳に抑制することを基本にし、ただし、ただし、公益上真にやむを得ないものについては、防災、衛生、発生する交通の処理その他の観点から、設置計画及び管理運営方法に関して、あらかじめ十分な措置を講ぜしめるとともに、供用開始後の指導監督を強力に行なうものとされた。翌1974年には建設省通達「地下街に関する基本方針について」[13]により、事業手法、事業主体、構造など具体的な規制が定められた。1980年8月静岡駅前地下街ガス爆発事故[22]を踏まえ、同年10月に資源エネルギー庁を加え5省庁による改正通知により、地下街の新設又は増設は厳に抑制することが再確認されている。しかし、1980年代後半以降は、利便性向上や経済活性化の推進、防災技術の向上などにより通達が改正[23]され、規制緩和が進む方向となった。その後2001年地方分権一括法施行に伴い、本方針ほか関連通達はすべて廃止され、地下街等に関する基準は、各自治体が独自に定めることとなった。

地下街に関する基本方針では、以下のような地下街の設置計画策定に関する基準を定めていた。

地下街の延床面積は、付属公共地下駐車場の延床面積以下とする。(機械室・防災センターなどの管理運営上必要な施設、交番公衆便所・授乳室・行政施設などの快適性・利便性向上施設を地下街の面積から除くことができる)

店舗等の延床面積は、公共地下歩道の延床面積以下とする。(エレベーターエスカレーター動く歩道などの歩行者支援施設は、公共地下歩道の面積に含めることができる)

地下通路の有効幅を6 m以上とする。

地上の道路との連絡通路の幅は1.5 m以上とする。

全ての地下歩道から歩行距離50 m以内に、2つ以上の地上への直通階段と、排煙・採光のための地上への吹き抜けのある地下広場を設置する。

店舗・地下通路は1層とする。

原則として店舗を200 m2以下の防火区画に区切る。

消防警察と即時・直接の通信できる防災センターを設置する。

消防用設備を設置する。

地下街・建築物相互間の地下で直接接続する通路には、防火・水防用の施設を完備する。

地下街等に関する水防上の規定


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