朝鮮戦争時には、一部の在日韓国人が大韓民国への義勇兵として朝鮮半島に戻った。これは1950年に在京韓国代表部が義勇兵の組織化をGHQに提案したことが契機となったもので、同年8月以降、朝鮮半島に向けて在日韓国人の義勇兵が送り込まれたものである。義勇兵の選出には北朝鮮系の分子が潜り込まないように慎重に行われている。朝鮮半島に送り込まれた実数は定かではないが、約1年後には126人が韓国内で活動していることが報告されている[42]。
在日韓国・朝鮮人の国籍と政治的スペクトルは必ず同一であるとは言えない。在日韓国・朝鮮人のうち、韓国籍、日本籍でありながら、朝鮮総連系の教育を受けたなどの理由により、自らを北朝鮮公民と自己規定する者も少なくない[43]。
在日朝鮮人の帰還事業などで北朝鮮に帰国した在日朝鮮人は、配偶者として渡朝した日本人女性の「少し上」程度の最下層として扱われ飢餓に苦しみ、北朝鮮住民から「ジェッキ(朝鮮語表記不詳)」又は蔑称として「チェポ(朝鮮語:??)」と呼ばれていた。財産を有して帰国した一家は資産を没収させられ、日本に残留した家族・親戚からの送金による資金源や日本からの科学技術獲得に役に立たないと見なされた者らとその子孫約10万人は、政治犯として脱北者と共に収容所送りにされ処刑される者もいた。また、北朝鮮政府や傘下の朝鮮総連(在日本朝鮮人総聯合会)は、帰国した家族・親戚も利用しながら、民族意識を歴代世襲独裁者の金日成、金正日、金正恩一族への個人崇拝に誘導して、一部の在日朝鮮人を日本国内でスパイ活動に利用しているともされる[44][45][46][47][48]。
朝鮮語の能力に問題がある在日韓国人は韓国では日本人として差別[49]を受けることがある[50]。
1980年代には韓国政府が自国民へ留学行為解禁、旅行解禁したため、それ以前から在住した旧在日韓国人とは別タイプの在日韓国人が誕生している(新在日韓国人)。
今日では若い世代を中心に新しい価値観が広まり、日本定住を前提とした帰化、民団・総連など民族団体離れが、進行している。朝鮮籍の人でさえも、本国である北朝鮮や朝鮮総連と距離を置きたいと考える人も少なくない。在日韓国・朝鮮人社会に詳しい関係者も「今の子供たちは在日4世、5世の世代で、日本定住が大前提。朝鮮の言葉や文化を継承してほしいと願う祖父母や両親の影響が強くない限り、あえて朝鮮学校には通わせないだろう」と在日社会の朝鮮学校離れも述べている[51][52]。 オールドカマー在日韓国人とその子孫中心の全国的民族団体として、韓国を支持する在日本大韓民国民団(韓国民団ないし民団)と北朝鮮を支持する在日本朝鮮人総聯合会(朝鮮総連ないし総連)がある。最後に確認できる2021年末の数値では、民団には帰化者も含めた全在日同胞(僑胞)の66%である299,686人が登録されている[53]。この他にも新宿区のコリアンタウンを中心とする東京都内在住のニューカマーが中心となった在日本韓国人連合会(韓人会)[54]、2001年に日本の保守派の国会議員らによって新しい日本国籍取得法案が検討され始めたことを契機に結成された在日朝鮮人弁護士協会[55]、民団傘下の在日韓国人法曹フォーラム[56]などがある。 帰化者も含めた全在外同胞の12%である在日韓国人への2012年の韓国政府の支援額は78億ウォンで在外同胞交流支援予算の67%を占め、また他国ではプロジェクトごとに予算が付けられているのに対し、予算執行の管理・監督に手抜きが指摘される民団には毎年継続的に一定額が支援されている[57]。
団体
韓国系、在日本大韓民国民団本部ビル(東京都港区南麻布・左)
北朝鮮系、在日本朝鮮人総聯合会本部(東京都千代田区富士見・右)
詳細は「Category:在日韓国・朝鮮人の団体」、「在日本大韓民国民団」、および「在日本朝鮮人総聯合会」を参照