土星の衛星
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ムーンレット自身は非常に小さく、直径が 40 - 500 m 程度しかなく、小さすぎて直接観測することができない[8]

2007年には、さらに150個のムーンレットが発見され、それらは(エンケの間隙の外で見られた2つを除いて)土星中心から 126,750 km から 132,000 km のA環の3つの狭い衛星帯に限定されていることが明らかになった。それぞれの衛星帯の幅は約 1,000 km 程度で、肉眼で観測できる土星の環全体の幅の1%未満に過ぎない[8]。この領域は、より大型の衛星との軌道共鳴によって引き起こされる撹乱効果が比較的少ないが[8]、撹乱効果が全くみられないA環の他の領域には明らかに衛星が存在していない。ムーンレットはおそらく、より大型の衛星の分裂によって形成されたと考えられている[56]。 A環内には、大きさが 0.8 km を超えるプロペラ構造が7,000個から8,000個、0.25 km を超えるものは数百万個含まれていると推定されている[8]。2014年4月、アメリカ航空宇宙局 (NASA) の科学者らは、A環内にて新たな衛星が形成されている可能性を報告し、現在の衛星が土星の環の構造が今よりもはるかに巨大だった過去に同様の過程で形成された可能性があることを示唆した[32]

同様のムーンレットはF環内にも存在している可能性がある[8]。ここでは「ジェット」状の物質構造がみられ、これは近くを公転している衛星プロメテウスからの摂動効果によって引き起こされた、ムーンレットとF環のコア部分の衝突により形成されたものである可能性があるとされている。F環を公転している最大のムーンレットの一つが、まだ衛星としてははっきり確認されていない S/2004 S 6 である可能性がある。F環には、環のコア付近を周回する直径約 1 km のさらに小さなムーンレットから生じると考えられる、「ファン」と呼ばれる一時的な構造もみられる[57]

最近発見された衛星の1つであるアイガイオンは、G環にあるアークと呼ばれる明るい円弧部分の中に存在しており、ミマスとは7:6の平均運動共鳴の状態にある[29]。これは、アイガイオンが土星の周りを7周公転する間に、ミマスはちょうど6周公転することを意味する。アイガイオンは、この環の中において構成物質である塵の最大の発生源となっている[58]
羊飼い衛星土星の羊飼い衛星であるアトラス(上)、ダフニス(中)、パン(下)の実際の縮尺に合わせた画像。赤道付近には、周囲に存在していた環の構成物質が降着することで形成されたと考えられる明確に連なる尾根のような地形がみられる。詳細は「羊飼い衛星」を参照

羊飼い衛星は、惑星の環の内部または環のすぐ外を公転している小さな衛星である。羊飼い衛星はその重力で環の崩壊を防ぎ、周囲に空隙や間隙を形成させる。土星の羊飼い衛星には、パンエンケの間隙)、ダフニスキーラーの空隙)、アトラス(A環)、プロメテウスパンドラ(F環)が知られている[26][29]。これらの衛星は、後述する軌道共有衛星とともに、おそらく環の中に元々存在していた物質密度の高い部分である「核」へ砕けやすい環の内部の物質が降着の結果として形成されたと考えられている。現在知られている衛星の3分の1から半分程度の大きさを持つ物質の核部分は、それ自体がかつて環の中に存在していた衛星が崩壊したときに形成された破片である可能性がある[53]
軌道共有衛星「馬蹄形軌道#土星の衛星」および「エピメテウス_(衛星)#ヤヌスとの軌道の共有」も参照

ヤヌスエピメテウスは軌道共有衛星 (co-orbital moon) と呼ばれる[24]。両者はともに直径はほぼ同じで、ヤヌスの方がわずかに大きい程度である。ヤヌスとエピメテウスの土星からの軌道半径の差はわずか 50 km 程度で、これは両者が接近してすれ違おうとすると互いに衝突してしまうほど近い。公転周期の差により両者の衛星の距離は次第に近づいていくが、衝突することはなく、両者間の重力の相互作用により、4年ごとに軌道が「交換」されるという現象が発生している[59]
内大衛星群カッシーニが2005年に撮影したエンケラドゥスの画像。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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