現時点で83個の衛星が命名されておらず[2]、B環内を公転しているムーンレットである S/2009 S 1 を除いてその全てが不規則衛星となっている。今後命名される際には、衛星が属しているグループに基づいてケルト神話、北欧神話、イヌイット神話に登場する人物から命名されるであろう[13][14]。 望遠鏡による天体写真撮影が登場する前は、8個の衛星が光学望遠鏡を使った直接観測で発見されていた。土星最大の衛星タイタンは1655年にクリスティアン・ホイヘンスによって、彼自身が設計した、口径 57 mm[15] の対物レンズを用いた屈折望遠鏡を使って発見された[16]。テティス、ディオネ、レア、イアペトゥスは、1671年から1684年にかけてジョヴァンニ・カッシーニによって発見された[17]。カッシーニは自身が発見したこの4個の衛星をまとめて「ルイの星」を意味する Sidera Lodoicea
発見口径 12.5 in (31.75 cm) の望遠鏡を使って露出オーバーで撮影した土星。周囲にイアペトゥス (I)、タイタン (T)、ディオネ (D)、ハイペリオン (H)、レア (R) が写っている。
初期の発見
長時間露光による写真乾板の登場により、さらなる衛星の発見ができるようになった。この方法によって最初に発見されたフェーベは、1899年にウィリアム・ヘンリー・ピッカリングによって発見された[22]。1966年に土星の環の近くを公転している第10衛星がオドゥワン・ドルフュスによって発見され、このとき土星は春分点付近に位置し、環は地球に対してほとんど見えなくなる真横になった状態で観測されていた[23]。この衛星は後にヤヌスと命名された。数年後、1966年に行われたこの「第10衛星」の全ての観測結果は、ヤヌスの軌道と同様の軌道を持つ別の衛星が存在していた場合にのみ説明できるということが判明した[23]。この別の衛星は現在、第11衛星のエピメテウスとして知られている。この2個の衛星は太陽系内の既知の衛星としては唯一、互いに軌道を共有しあっている軌道共有衛星 (Co-orbital moons) として知られている[24]。