土星の衛星
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2019年には、新たに20個の不規則衛星の発見が報告され、これにより2000年以来では初めて木星を追い抜いて土星は既知の衛星の総数が最も多い惑星となった[4][7][13]

2019年、研究者の Edward Ashton、ブレット・J・グラッドマン、そして Matthew Beaudoin による研究チームは、口径 3.6 m のカナダ・フランス・ハワイ望遠鏡 (CFHT) を使用して土星のヒル球の範囲内のサーベイ観測を実施し、新たな不規則衛星の候補天体を複数の観測データ内から合わせて約80個発見したと発表した[9][39]。これらの候補天体は2019年から2021年にかけてフォローアップ観測が行われ、最終的には2021年にこれらのうち先駆けて S/2019 S 1 の発見が発表され[39]、さらに62個の衛星の発見が2023年5月3日[40]から5月16日[41]にかけて発表された[1][42][43]。これにより総数は145個にまで増加した[1]。その1週間後には、フェーベと同じような軌道を公転している新たな衛星 S/2006 S 20 の発見が公表され[44]、総数は146個となった[5]2022年末から2023年2月にかけて木星の衛星が新たに15個確認されたことで、一時的に最も衛星の総数が多い惑星は木星となったが、この一連の衛星の発見報告で土星が再び衛星の総数が最も多い惑星となり、また、人類が初めて100個以上の衛星の存在を確認した宇宙で初めての惑星となった[1][42]。この新たに発見された衛星は全て暗く小さなもので、直径はいずれも 2 km を超える程度しかなく、見かけの等級は25 - 27等級となっており[9]、5個から8個の親衛星が破壊されて形成されたと推定されている[5][45]。この一連の衛星の発見には「シフト・アンド・スタック (shift and stack)」と呼ばれる、複数の画像を組み合わせることで衛星からの光を強く反映させ、単一の画像では暗すぎて観測できない衛星を観測する技術が用いられた[1][42]。2019年の研究では、土星の不規則衛星の数は大きさが小さいほど大量に存在していることが分かり、それらが数億年前に起こった天体衝突の結果により生成された破片である可能性が高いことが示唆された。この研究では、直径が 2.8 km を超える不規則衛星の実際の数は 150 ± 30 個であると推定された。これは、木星を公転しているとみられる同じく直径 2.8 km 以上の不規則衛星の約3倍の数となっている。したがって、この大きさの分布の度合いがさらに大きさが小さい衛星にも当てはまる場合、土星は本質的に木星よりも多くの不規則衛星を多く持つことになる[9]
名称「衛星の命名」も参照

現代で用いられている土星の衛星の名前は、1847年ジョン・ハーシェルによって提案されたものである[17]。彼はローマ神話に登場するティーターン(巨神族)であるサートゥルヌスギリシャ神話におけるクロノスに相当)に関連する神話上の人物の名前から命名することを提案した[17]。このとき既に知られていた7個の衛星にはティーターンの男性と女性、そしてギガース(巨人族)の名前が与えられた[22]。この提案は、シモン・マリウスが現在のガリレオ衛星に対して行った神話に関連する名称の命名計画に似ていた[17]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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