土星の衛星
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これらが本物の衛星なのか、それともF環内に存在する一時的に物質が集まって形成された単なる粒子塊 (clump) なのかは明らかになっておらず、また、これらの天体が同一である可能性も残されている[2][26][97]

名称画像直径 (km)軌道長半径 (km)[59]公転周期 (日)[59]位置発見年現状
S/2004 S 3S 4[注 14]? 3?5? 140,300? +0.619F環周辺20042004年11月に行われた周辺の画像調査ではその姿は確認されず、一時的に粒子塊として集まった後に消失した可能性がある[59]
S/2004 S 6? 3?5? 140,130+0.6180120042005年までは明確に確認され、中心部に微細な塵に覆われた非常に小さな核が存在している可能性がある

存在しなかった衛星

現在知られている衛星の他に、2個の衛星が別々の天文学者によって発見されたと過去に主張されたことがあるが、いずれも再び観測されることはなかった。両者は共にタイタンとヒペリオンの間の軌道を公転しているとされている[98]

キロン(英語: Chiron)は、1861年ヘルマン・ゴルトシュミットによって発見が主張されたが、その他の人物による観測では発見されなかった[98]

テミス英語: Themis)は、フェーベを発見したウィリアム・ヘンリー・ピッカリングによって1905年に発見が主張されたが、その後、再度観測されることはなかった。にもかかわらず、1950年代から1960年代にかけては多くの年鑑や天文学の書籍にテミスが土星の衛星として掲載されていた[98]。ピッカリングの計算では、テミスは土星からの平均距離が146万 km で、離心率が 0.23 の楕円軌道で土星を公転しているとされた[98]

仮説上の衛星

2022年、マサチューセッツ工科大学の科学者らは、カッシーニによって得られた観測データを用いて、かつて土星には現在は存在していない衛星が存在していたという仮説を提唱し、この仮説上の衛星をクリサリス(英語版)(英語: Chrysalis)と呼称した。クリサリスはタイタンとイアペトゥスの間を公転していたが、その軌道が徐々に楕円形になっていったことで最終的に土星からの潮汐力破壊され、その質量の 99% が土星に吸収されて、残りの 1% が現在の土星の環を形成したとこの仮説では考えられている[99][100]
一時的な衛星

木星と同様に、小惑星彗星が土星に接近することは滅多に無く、ましてや土星の周回軌道上に捕らえられることはさらに稀である。2020年に発見されたレナード彗星 (P/2020 F1) は、1936年5月8日に土星から 978,000 ± 65,000 km にまで接近したと計算されており、これはタイタンの軌道よりも土星に近く、このときの彗星の軌道の離心率は 1.098 ± 0.007 であった。この以前にレナード彗星 (P/2020 F1) は一時的な衛星として土星の周りを公転していた可能性があるが、重力ではない力をモデル化するのは難しいため、それが本当に土星の一時的な衛星となっていたのかどうかは不確かである[101]

他の彗星や小惑星も、ある時点で一時的に土星の周りを公転する衛星となった可能性があるが、現時点ではそのような天体は知られていない。
形成

土星の周りにあるタイタン、それに次ぐ大きさを持つ複数の中型衛星、そして環からなる構造は、木星のガリレオ衛星に近い構成から発展したと考えられているが、詳細は分かっていない。 タイタンと同程度の大きさを持っていた別の衛星が分裂して環と内側を公転する中型衛星が形成されたか[102]、または2つの大きな衛星が衝突して合体されたことでタイタンを形成し、その衝突によって飛散した氷の破片が集まって中型衛星が形成されたという説が提案されている[103]。土星などとの潮汐力によって発生しているエンケラドゥスの地質活動と、テティス、ディオネ、レアの軌道にかつて大規模な軌道共鳴の状態にあったという痕跡がみられず、形成されたときから軌道が大きく変化していない可能性に基づいた研究では、タイタンより内側の衛星は形成されてからわずか1億年しか経っていない可能性が示唆されている[104]
関連項目

太陽系

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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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