国際連合
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各国が1票を有し、決定は過半数で行われる[80]

経社理は、年間を通じて多くの準備会議、円卓会議、市民社会メンバーとのパネル・ディスカッションなどを開催するほか、毎年7月、ニューヨークとジュネーヴで交互に4週間の実質的な会期を開く。もっとも、経済社会分野の実質的な活動は、諸計画・基金、専門機関、関連機関によって担われており、これらの機関は経社理に報告を行ったり、勧告を行ったりする[81]。経社理のあり方については、形骸化しており決定に実効性がない、総会討議と重複している、世界銀行グループのような専門機関に対する指導力がないといった批判がある[82]

また、経社理は、資格を有する非政府組織(NGO)と協議をすることができる(国連憲章71条)。2870以上のNGOが経社理と協議する地位を与えられている。NGOは特別の経験や専門知識を持ち、国連と市民社会とを結びつける貴重な存在であると考えられており、国連と提携NGOとの関係は、時代の進展とともに増大している[83]
信託統治理事会

信託統治理事会は、未独立の信託統治地域が自治・独立に向けた準備をすることができるようにすることを目的に設立された。1994年までに、すべての信託統治地域が自治または独立を達成したことから、その任務をほぼ完了したとして活動を停止した[84]
国際司法裁判所ハーグの国際司法裁判所

国際司法裁判所(ICJ)は、国連の主要な司法機関である(国連憲章92条)。所在地はオランダのハーグである。15名の裁判官で構成され、そのうちのいずれの2人も同一の国籍であってはならない(国際司法裁判所規程3条)。実際には、西欧・北米5名、東欧2名、中南米2名、アジア3名、アフリカ3名という地理的配分の原則がとられている。任期は9年で、3年ごとに5名が改選される(規程13条)[85]

すべての国連加盟国は自動的に国際司法裁判所規程の当事国となり(憲章93条)、ICJは同規程当事国のすべてに開放されている。国際組織や個人は当事者となることができない。もっとも、ICJが事案を審理し、判決を下すのに必要な管轄権を有するためには、当事国の同意がなければならない(規程36条)。判決は、出席した裁判官の過半数により決定される(規程55条)。判決は、当該紛争の当事国間において、かつ当該事件についてのみ拘束力を持つ(規程59条)。当事国は判決に従う義務がある[86]。国際司法裁判所は判決を執行する能力が無いので、当事国の政府が判決に従わなければ、判決は履行されない。

そのほか、総会と安保理、また総会の許可を受けたその他の国連機関(経社理およびほとんどの専門機関など)は、いかなる法律問題についても、ICJに勧告的意見を求めることができる(憲章96条、規程65条)。国家は勧告的意見を求めることはできない。勧告的意見は、国連憲章の解釈や権限の行使の適法性などについて述べられるものが多い。勧告的意見は法的拘束力がないので、紛争を解決できた実績はない。また、裁判の強制権が無いため、裁判を申し込まれた国が拒否すれば裁判を行うことができない。
事務局第9代事務総長・アントニオ・グテーレス

事務局は、国連の日常業務を遂行する機関であり、他の主要機関に役務を提供するとともに、それらの機関が決定した計画・政策を実施する。事務総長が統括する。1年以上の契約を持つ事務局職員は約2万5530人、短期契約職員は約3万0500人である。事務総長および事務局職員は、いかなる国の政府からも、国連以外のいかなる当局からも指示を受けない(国連憲章100条)[87]

事務総長は、国連の行政職員の長であるとともに(国連憲章97条)、総会、安保理、経社理、信託統治理事会から委託される任務を遂行する(同98条)。また、国際の平和・安全の維持への脅威について、安保理の注意を促すことができる権限が与えられている(同99条)。事務総長が公的または私的に行う国際紛争の「あっせん」は最も重要な役割の1つであり、キプロス東ティモールイラクリビア中東ナイジェリア西サハラなどの紛争に際して行われてきた。現在の事務総長はポルトガル出身のアントニオ・グテーレスである[88]
国連事務局に置かれている部局

国連事務局には次のような部局が置かれている[89]

事務総長室(OSG)

内部監査部(英語版)(OIOS)

法務部(OLA)

政治・平和構築局(DPPA)

軍縮部(英語版)(DDA)

国際防災戦略(ISDR)

平和活動局(DPO)

フィールド支援局(DFS)

人道問題調整事務所(OCHA)

経済社会局(DESA)

総会・会議管理局(DGACM)

グローバル・コミュニケーション局(UNDGC)[注釈 3]

管理局(DM)

安全保安局(DSS)

後発開発途上国、内陸開発途上国、小島嶼開発途上国担当上級代表事務所(UN-OHR-LLS)

国連の本部ビルはニューヨークにあるが、世界各地に事務所があり、その中で中心的な役割を担うのはジュネーヴ事務局(UNOG)、ウィーン事務局(UNOV)、ナイロビ事務局(UNON)である[90]
諸計画・基金

国連システムには、次のような計画・基金が含まれる。これらは国連憲章7条2に基づいて設置された総会の補助機関であるが、それぞれ個別の予算を持っている[91]。1960年代から1970年代にかけて第三世界から多数加盟した国々が総会で多数派となった結果、総会決議によりUNDPをはじめとする開発関係の補助機関が設置された(そのうちUNIDOなど、いくつかは専門機関に移行した)。他の国連機関と活動内容が重複するものもあるが、統廃合は進んでいない[92]

国際連合貿易開発会議(UNCTAD)

国連薬物犯罪事務所(UNODC)

国際連合環境計画(UNEP)

国連児童基金(UNICEF)

国際連合開発計画(UNDP)

国連人口基金(UNFPA)

国際連合難民高等弁務官事務所(UNHCR)

世界食糧計画(WFP)

国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)

国連人間居住計画(UN-HABITAT)

国連大学(UNU)

ジェンダー平等と女性のエンパワーメントのための国連機関(UN-Women)

このほか、総会の補助機関として、いくつかの調査訓練機関などがある。
専門機関

専門機関は、政府間の協定によって設けられ、経済・社会等の各分野において国際的責任を有する国際組織で、かつ国連との間で連携協定を締結しているものをいう(国連憲章57条、63条)。国連ファミリーに含まれるが、国連とは別個の国際法主体性を有する、独立した国際組織である[93]。中でも、国際金融機関である世界銀行グループとIMFは最も独立色が強く、規模も国連本体に並び、次いでWHO、FAO、ILO、UNESCOの4機関の規模が大きい。これらの専門機関が力を持つ余り、経社理が形骸化して経済社会分野の国連改革が進まないとの批判もある[94]

現在存在する専門機関は、次の通りである[95]

国際労働機関(ILO)

国際連合食糧農業機関(FAO)

国際連合教育科学文化機関(UNESCO)

世界保健機関(WHO)

世界銀行グループ

国際復興開発銀行(IBRD)


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