平和維持活動を指導する安全保障理事会においては、常任理事国は拒否権という権限が認められているが、冷戦期の安保理では米ソが拒否権の行使を繰り返したために機能不全となった。1946年から1990年におけるその回数は米国が68回、ソ連は115回と重ねられた。冷戦後には制裁決議や国連平和維持軍派遣の決議も採択され、国際政治におけるその役割を発揮するようになった[25]。 平和維持活動は国連の指揮下に行われるものであり、安全保障理事会が付与する権限に基づいて国連事務総長が指揮する[26]。しかし第二次国連ソマリア活動では国連の指揮権は形式的なものに過ぎず、派遣国が指揮権を手放さなかった[27]。この背景として、軍需産業とジャーナリズムが国連要人と家族関係にあったことが指摘されている[28]。 平和維持活動の予算は1987年では年間2億3,580万ドルにも上ったが、その任務が多様化して予算も膨張し、1991年には6億210万ドルに膨れ上がった。さらに大型の平和維持活動の実行によって1992年には21億2,510万ドルに膨張して国連の財政を圧迫することとなった。1994年後期に国連は「財政状況に関する作業部会」を設置し、分担金支払いの促進や予算制度の見直しなどを議論し、1996年から実行している。しかしながら米国やロシアの分担金の未払いはまだ改善されていない[29]。 平和維持活動には作戦上、量的・質的な能力が求められており、特に強制措置を行うためには高度な軍事力が要すると考えられており、多国籍軍にその役割を委ねることとしている。また比較的に小規模な平和維持活動においても部隊行動、治安行動、武器使用、危機管理などの能力が必要であり、軍事教練を受けた正規の軍人が求められる[30]。現実には主要派兵国のバングラデシュのように、報酬を目当てに応募した農村部の貧困層を警察学校で短期間教育しただけという例もあり、士気の低さから派遣先でトラブルを起こすなどの問題が発生している[31]。 平和維持の実行には適切な訓練が必要である。これは平和維持が通常の軍事作戦とは異なった行動が求められるからである。また共同で行動するために多国間での訓練が必要である[27]。 ハイチやリベリア、南スーダンなどで支援物資と引き換えにPKO隊員から性的被害を受けたとの申し立てが6年間で480件に上ったことが2015年に報じられた[32]。また、2014年から2015年にかけて中央アフリカに展開した国連中央アフリカ多元統合安定化派遣団でも、ブルンジ出身の25人とガボン出身の16人の隊員が性的虐待を行ったとする証言が報告されている[33]。 150年以上、コレラの発生が認められていなかったハイチで、国連平和維持活動が開始された直後からコレラが蔓延。1万人以上の死者を出した。2016年12月1日、国連の潘基文事務総長が、ネパールの部隊がコレラを持ち込んだこと、排水処理を適切に行っていなかったことを認め、謝罪する声明を出している[34]
指揮
財政
能力
訓練
犯罪
衛生
現在活動中のPKO
アフリカ
西サハラ
国際連合西サハラ住民投票ミッション (MINURSO) 1991年4月 -
コンゴ民主共和国
国際連合コンゴ民主共和国安定化ミッション (MONUSCO) 2010年 -
スーダン
国連アビエイ暫定治安部隊(UNISFA) 2011年6月-
南スーダン
国際連合南スーダン派遣団 (UNMISS) 2011年7月 -
アジア
インド/パキスタン
国際連合インド・パキスタン軍事監視団 (UNMOGIP) 1949年1月 -
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