国際連合平和維持活動
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検問所の任務は移動の統制・密輸防止・難民統制・その他の監視所の準任務である[19]
不測事態対処

不測事態とは作戦計画の立案で予測不可能な事態であり、これに対処するための不測事態対処計画が策定される。この対処は平和維持軍に部隊を派遣する全ての国家の部隊から所要兵力を抽出して編成された予備隊によって実施される。この予備隊の任務は国連の存在の顕示、武力の示威、緩衝地帯の支援、緊張状態が発展する前に両勢力の間に割り込み、危機的な状況に陥った平和維持軍を支援・救出などである。その部隊は装甲車中隊が中核となり、航空、通信、衛生、整備、補給の部隊が支援する[20]
武力行使

武力行使は常に最低限、統制的に実施しなければならない。これは受入国の信頼、派遣地域の緊張状態、平和維持軍参加国の態度を悪化させる危険性が高いからである。ここでは武力は人員・装備・施設を一切傷つけずに物的な力を使用した無撃的武力と損害を与える物的な力を使用した加撃的武力の二種類がある。

無撃的武力は車両による道路封鎖など、加撃的武力は小火器の使用などが挙げられる。最終的手段としての加撃的武力の行使は自衛戦闘においてのみ認められている。自衛戦闘に該当する場合の例として兵士個人または部隊の一部が危険に陥った場合、対立勢力の一方が平和維持軍を撤退させようとして平和維持部隊の安全が脅かされる場合、武力で平和維持軍の武装解除を行おうとする場合、平和維持要員を逮捕・誘拐しようとする場合、平和維持軍の資産を武力で侵犯した場合などが挙げられる[21]

国連2001年に、アフガニスタンにおける治安維持支援目的のために有志国が集まって編成した、北大西洋条約機構 (NATO) が統率する国際治安支援部隊 (International Security Assistance Force, ISAF) の設立を承認したが(安保理決議1386)、ISAFは国際連合平和維持活動ではなく、湾岸戦争と同様、国際連合憲章第7章に基づき国連安保理に派遣を承認されたいわゆる多国籍軍である。
後方支援
兵站

兵站は平和維持軍の編成の段階から重大な事項である。何故なら平和維持軍が派遣される地域にしばしばいかなる支援拠点も有たないからである。また複数の軍事組織から編成される平和維持軍は装備や兵站組織が異なっているために、軍需品の複雑性が増大する。

またしばしば活動地域においては交通拠点の機能が停止しており、補給路の維持が困難である場合も多い。1個大隊の兵站支援部隊の部隊構成は1個戦闘工兵小隊、通信小隊、通信整備分遣隊、憲兵部隊などから成り、さらに栄養士・救急医・歯科医などの要員、または大型トラック・給水車・燃料車・調理車・電源などの装備、土嚢・弾薬・補給物資などの物資が充てられる。その兵站支援の方式としては平和維持軍に参加する一国が担当する一国支援担当方式、相互依存の原則に基づき複数の参加国が他国分担方式、地域ごとに担当区域を定めて行う分権方式がある[22]
通信

国連本部と平和維持軍司令部の通信は平和維持軍司令部の主任行政官の責任である。ただし体制が準備されるまでは国連本部と受入国政府の外交通信を用いることも多い。さらに派遣軍の基幹通信は派遣部隊全体の指揮統制に用いられ、これは師団通信組織の規模となる[23]
広報

平和維持活動が開始されると初期に報道機関の関心が集中する傾向にある。この際に適量かつ適当な情報を報道機関に提供することは以後の平和維持活動の効率にも関係してくる場合もある。何故なら報道機関は表現の誇張や扇動的な印象操作などを行い、かつそれを高速で情報伝達することが出来るからである。また情報があまりに少なすぎると誤った憶測が大々的に報道されることや、また提供する情報に偏りがあると側面的な報道が行われる危険性があり、それが平和維持活動に求められる公平性や紛争当事者の協力を得ることを困難にすることもある。

国連広報の原則的な方針としては報道機関が本来の役割を果たして活動・関心ある事項を観察することに、可能な限り便宜供与を行うこととしている。ただし報道機関が危険地帯への侵入には警告は行うが、それ以上の措置は行わない。また緩衝地帯における撮影は紛争当事者の作戦・兵力・装備・陣地の秘匿の観点から厳格に禁止する[24]
課題
安保理

平和維持活動を指導する安全保障理事会においては、常任理事国拒否権という権限が認められているが、冷戦期の安保理では米ソが拒否権の行使を繰り返したために機能不全となった。1946年から1990年におけるその回数は米国が68回、ソ連は115回と重ねられた。冷戦後には制裁決議や国連平和維持軍派遣の決議も採択され、国際政治におけるその役割を発揮するようになった[25]
指揮

平和維持活動は国連の指揮下に行われるものであり、安全保障理事会が付与する権限に基づいて国連事務総長が指揮する[26]。しかし第二次国連ソマリア活動では国連の指揮権は形式的なものに過ぎず、派遣国が指揮権を手放さなかった[27]。この背景として、軍需産業とジャーナリズムが国連要人と家族関係にあったことが指摘されている[28]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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