国際通貨基金
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英語: Board of governors(一般的に総務会と訳される)」は、各国につき1人の総務(財務大臣中央銀行総裁など)と1人の総務代理で構成される最高意思決定機関で、年1回開催される[1]。投票権は出資金の支払い比率に応じて与えられる。この出資金がIMFの財源であり、経済規模に応じて定められている。

英語: Executive board(一般的に理事会と訳される)」は、24名の理事によるIMFの通常業務に関する執行機関。投票権の少ない国は複数国で一つの理事室を形成している。[29]
幹部

理事は2016年現在24名で構成されている[30]。理事はすべて加盟国によって選出される。

かつてはIMFの上位出資国五か国(アメリカ合衆国イギリスフランスドイツ日本)が任命理事を各国一人ずつ選任し、残りの加盟国が選出理事を投票で19名選出していたが、IMFの機構改革の一環として任命理事を廃止し、24名すべての理事を加盟国によって選出することとする第七次協定改正が行われた(2010年12月総務会決議[31]、2016年1月26日発効[27])。

英語: managing director(一般に専務理事と訳される)」は、理事会の議長と国際通貨基金の代表を務める。専務理事は理事会によって選出されることとなっている。[32]世界銀行の総裁に米国出身者が選出されているのと同様、国際通貨基金の専務理事には欧州出身者の就任が慣例となっている。(また、理事が任命する副専務理事のうち、筆頭副専務理事はこれまで常に米国出身者が務めている。)なお、過去の選出過程では、カムドシュの後任として日本の榊原英資元財務官が、またストロスカーンの後任にメキシコ中央銀行のカルステンス総裁の起用が検討されたこともある。

代専務理事国就任退任
1カミーユ・ガット(英語版) ベルギー1946年5月6日1951年5月5日
2イヴァル・ルース(英語版) スウェーデン1951年8月3日1956年10月3日
3ペール・ヤコブソン1956年11月21日1963年5月5日
4ピエール=ポール・シュバイツァー(英語版) フランス1963年9月1日1973年8月31日
5ヨハネス・ヴィトフェーン(英語版) オランダ1973年9月1日1978年6月16日
6ジャック・ド・ラロジエール(英語版) フランス1978年6月17日1987年1月15日
7ミシェル・カムドシュ(英語版)1987年1月16日2000年2月14日
8ホルスト・ケーラー ドイツ2000年5月1日2004年3月4日
代行アンネ・オズボーン・クリューガー アメリカ合衆国2004年3月4日2004年6月7日
9ロドリーゴ・ラト(英語版) スペイン2004年6月7日2007年10月31日
10ドミニク・ストロス=カーン フランス2007年11月1日2011年5月18日
代行ジョン・リプスキー(英語版) アメリカ合衆国2011年5月18日2011年7月5日
11クリスティーヌ・ラガルド フランス2011年7月5日2019年9月12日
代行デーヴィッド・リプトン アメリカ合衆国2019年7月2日2019年10月1日
12クリスタリナ・ゲオルギエヴァ(英語版) ブルガリア2019年10月1日(現職)

出資額と議決権

IMFの融資財源の大半は、主に加盟国が払い込むクォータ(出資割当額)を原資としており、更に一部加盟国からの借り入れによってクォータ資金を補っている。低所得国向けの譲許的融資及び債務救済は、別途、拠出ベースの信託基金により賄われている。[33]

IMFでの議決権は一国一票ではなく、下記のクォータ(出資額)による。各加盟国は基礎票(約750票)に加え、出資額100,000SDRごとに1票が与えられる。[34]2010年のクォータ改革によって新興国の占める比率が大幅に高まり、BRICs4国は常時10か国入りした。出資比率は2018年1月現在下記の通り。現在第15次一般クォータ見直しの議論が進行中であり、2019年秋の年次総会までに見直しを完了することとしている。[35]

2018年現在の出資上位10か国と票数[36])

順位国出資額(クォータ) 単位:100万SDR割合票数総投票数に対する割合
アメリカ合衆国82,994.217.46831,40716.52
日本30,820.56.48309,6706.15
中国30,482.96.41306,2946.09
ドイツ26,634.45.60267,8095.32
イギリス20,155.14.24203,0164.03
フランス20,155.14.24203,0164.03
イタリア15,070.03.17152,1653.02
インド13,114.42.76132,6092.64
ロシア12,903.72.71130,5022.59
10 ブラジル11,042.02.32111,8852.22

全189か国計475,472.9100.05,031,614100.0


日本とIMFの関係

日本は、1952年8月に第53番目の加盟国としてIMFに加盟。国内では財政法が改正され、国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律が施行された。その後、日本の経済力が上昇していく中で上記のとおり為替自由化が求められていくようになり、1964年(昭和39年)には国際収支の赤字を理由に為替制限ができる14条国から、それができない8条国へ移行した。

1965年(昭和40年)には、IMFについて2億2500万ドル(邦貨換算810億円)、国際復興開発銀行について1億660万ドル(邦貨換算383億7600万円)の追加出資[37]。この負担金の拠出を理由に戦後初めて日本国債が発行された(当時は首相は佐藤栄作日本銀行頭取は宇佐美洵[38]1970年(昭和45年)には出資率の上昇により、任命理事を選出できるようになった。2006年(平成18年)には、小寺清が日本人として初の世銀・IMF合同開発委員会の事務局長となり、2010年まで4年間にわたりその職にあった[39][注釈 1]1964年、8条国移行に関する外為法改正について、通商産業大臣閣議を求めることに関する通商産業省の決裁文書。

2018年1月現在、日本はIMFへの第2位の出資国であり、単独で理事を選出している。総務(Governer)は財務大臣、総務代理(Alternate)は日本銀行総裁が担当。また、2021年12月現在4人在籍する副専務理事のうち、1人は日本の元財務官である岡村健司が務めている(2021年12月着任)[40][41]

なお1997年以降5代連続で、日本人から副専務理事が選出されている。ただし、2017年1月現在日本人職員は59名(全体の2.2%)に留まる[42]。また、IMFアジア太平洋地域事務所が、アジア太平洋地域における窓口として、東京都千代田区内幸町に設置されている[43]


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